値段を言ったあと数秒あける理由とは?
そして、言葉のテクニックの中で特に重要なのが「間」だ。
「『間』は次の『有』を生み出す『無』であると思います。先ほど、情熱的に伝えることが大切だと言いましたが、一方的に自分の言いたいことを言っているだけでは、相手は聞いてくれません。これまでお話しした話し方のテクニックをどれだけ駆使しても、『間』がなければ、それは聞く人にとっては『あなたの言い分』でしかなくなってしまいます。
間というのは、伝え手が人を感じる瞬間の感覚であり、相手が考える時間でもあります。例えば私は、商品の値段を紹介する際、『お値段は1万9800円』と言ったあとにひと呼吸おいて、『金利・手数料はジャパネット負担!』と続けます。このひと呼吸の間を置くことで、聞いている人は『1万9800円』が安いのか、その一瞬で判断します。そして、そのあとに『金利・手数料はジャパネット負担!』と続けると購入の後押しになるのです。一方的に『安いです!』『お得です!』など自分の言いたいことだけを連呼していても、お客様にはまったく届かない。この2秒3秒の間、ほんの一瞬考える時間を与えることが重要なのです。
人は、間があって初めて次の言葉を待ちます。ただ、その言葉を待つ間が1秒なのか、5秒なのか、30秒なのかは一概にどれがいいとは言えません。商品を売るときだけでなく、親が子供を諭すときなども一方的に話すのではなく、子供に考えさせる間が必要です。それはもしかしたら10秒かもしれないし、30 秒かもしれない。最適な間は、その時々によって異なってくるので、話す相手のことをよく考え、感じることが大切だと思います。
私がテレビの前に立ったときも、カメラの先にいるお客様を思い浮かべて話をしていました。紹介する商品や当日の天気などによって話すテンポや間の取り方を変えていたので、同じ商品の紹介であっても日によって喋り方は全然違っていたものです」