プライベートカンパニーを設立してとにかく節税がしたいという人は考えを改めたほうがいいかもしれない。コンサルタントという本業の傍ら、自身でも多くの不動産を所有し、複数のプライベートカンパニーのオーナーでもある石川貴康氏はこう語る。

「プライベートカンパニーとは、自分でお金の流れをコントロールできるための箱です。箱だけ作ってもお金が入ってくる仕組みが作れなければ意味がありません。また、単に税金を払いたくないということが目的でもありません。税金はきちんと払ったうえで、お金の流れをコントロールする力を手に入れることが目的なのです」

税金は人に対して掛かるため、配偶者や親などへ課税対象を分散させることで節税ができる。その方法と考え方をご教授いただいた。(聞き手:ZUU online編集部)

石川貴康氏
石川貴康(いしかわ・たかやす)
企業改革コンサルタント、不動産投資家。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業、筑波大学大学院経営学修士。アクセンチュア、日本総合研究所などを経て独立。14棟126室のマンションやアパートなどを所有。主な著書に『今すぐプライベートカンパニーを作りなさい』『サラリーマンは自宅を買うな』(東洋経済新報社)、『サラリーマンダブル収入実現法』 (プレジデント社)ほか、多数。

目次

  1. 配偶者(妻)を従業員にする場合のメリット
  2. 配偶者が代表になる場合は事業主体になるので、収入の上限が無くせる
  3. 親を事業主(経営者)にする場合のメリットは?

配偶者(妻)を従業員にする場合のメリット

――まず、配偶者を従業員にする場合のスキームを教えてください。

法律的には、同じ財布で暮らしている家族への給与は認められていませんが、例外があります。それが今回紹介するスキームです。

青色申告者で、
・生計を一にする親族(配偶者や親、祖父母、子ども)
・その年の12月31日現在で、年齢が15歳以上
・6カ月以上従事している

この条件を満たせば、家族に給与を払った分を経費扱いにすることができます。親などが、必ずしも同居している必要はありません。重要なのは、同じ家計で暮らしているかどうかです。たとえば妻が、週末はスーパーでパートの仕事をしている場合。それ以外の平日は基本的にあなたのプライベートカンパニーでの仕事に従事していれば、従業員扱いにすることができます。これなら、妻へ支払う給与を経費として落とすことが可能です。

ただし、その場合は次の点を満たしている必要があり、税務調査が入った場合にもチェックされるポイントになります。

・勤務実態はあるか
・給与の額は妥当か

勤務実態についてはタイムカードを付けるなどして税務署員に説明できる証拠が残るようにしておきたいところ。給与の額についてはあとでも述べるのですが、実態に即していることが肝心です。

――配偶者を従業員にしてプライベートカンパニーを設立する場合、仮に事業収入が3000万円あるケースでのメリットを教えていただけますか?