プライベートカンパニーを設立してとにかく節税がしたいという人は考えを改めたほうがいいかもしれない。コンサルタントという本業の傍ら、自身でも多くの不動産を所有し、複数のプライベートカンパニーのオーナーでもある石川貴康氏はこう語る。

「プライベートカンパニーとは、自分でお金の流れをコントロールできるための箱です。箱だけ作ってもお金が入ってくる仕組みが作れなければ意味がありません。また、単に税金を払いたくないということが目的でもありません。税金はきちんと払ったうえで、お金の流れをコントロールする力を手に入れることが目的なのです」

14棟126室のマンションやアパートなどを所有している石川さん。この不動産の数から見て、ご自身も富裕層と言っても過言ではない。また、仕事を通じて多くの富裕層とも関わってきた。最終回は、そんな石川さんの目から見た富裕層の条件を聞いた。(聞き手:ZUU online編集部)

石川貴康氏
石川貴康(いしかわ・たかやす)
企業改革コンサルタント、不動産投資家。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業、筑波大学大学院経営学修士。アクセンチュア、日本総合研究所などを経て独立。14棟126室のマンションやアパートなどを所有。主な著書に『今すぐプライベートカンパニーを作りなさい』『サラリーマンは自宅を買うな』(東洋経済新報社)、『サラリーマンダブル収入実現法』 (プレジデント社)ほか、多数。

目次

  1. 富裕層とは資産とファミリー、仲間を守り続ける人間のこと
  2. お金はお金持ちの間で循環している
  3. 成功する人、成功しない人の特徴とは?
  4. 富裕層ならではの悩み
  5. お金が流れる枠や仕組みを作る魅力

富裕層とは資産とファミリー、仲間を守り続ける人間のこと

――中小企業の社長や芸能人など、たくさんの「お金持ち」を見てきたと思います。

私はかつて会計事務所にいましたから、ちゃんとした会計事務所だと紹介でそういった方々から依頼が来るんですよね。

――富裕層の中では、プライベートカンパニーを設立する方はどれくらいの割合でいるのでしょうか?

割合は分かりませんが、普通にお金を稼いでいる方であれば、プライベートカンパニーを持たないのはあり得ないと思います。たとえば芸能人であれば皆さん、個人の芸能事務所を持ってそこから給料をもらうような仕組みにしていますよね? なぜかと言うとそのほうがお金のコントロールをできるからなんです。

プロ野球選手も恐らく自分の会社を作っているはずです。芸能人が飲食店をやるのも、収入をビジネスに突っ込んで、自分はそこから給料をもらうようにしている。その残りのお金でほかの事業もやっていたりする。

何を持って富裕層とするかの定義によりますが、キャッシュをコントロールするために富裕層の人たちは何らかのビジネスを立ち上げてカンパニー化しているのが普通だと思いますよ。

――さらに言うと、富裕層の方はプライベートカンパニーをいくつも作っている場合があると思います。どういうケースでいくつも作るのでしょうか?

みなさん目的に応じて作っていますね。会社の収入が大きくなり始めると目立ちすぎるので、小さく分けておけば税務調査も入らないだろうという魂胆で作っているケースもまま見受けられます。

――ちなみにプライベートカンパニーの事業として、株式投資はお勧めですか?

株で稼げるならいいです。それで資産運用会社を作るのはアリです。しかし、少なくとも私の周りには株式投資でお金持ちになった人は1人もいない。短期トレードでの売り買いでお金持ちになれる方は極稀。FXも仮想通貨も短期トレードのいわゆる投機と言われるもので、投資ではない。

トレーディングでお金持ちになるのはよほどのことです。この場合はプライベートカンパニーにはそぐわない。もちろん、株式投資で何億円になったので、資産管理会社を香港に作るというケースはありますが、このケースは私のお勧めするパターンではない。

お金持ちになっているのは、圧倒的に昔に買ったものを長期的に保有しているケースです。プライベートカンパニーというのは、資産を作るというよりも資産で稼ぐ枠組みなので。

――もしこの記事を読まれている方が富裕層を目指したいというときに、富裕層の境界線はどこにあるのでしょう。また、富裕層であり続けるために必要な条件はどんなことだとお考えですか?