2月相場が終りました。日経平均株価は12/25(火)の19,155円74銭をボトムに11.6%上昇し、2月末終値は21,385円16銭となりました。月足ベースでは1月の+3.8%に続き、2月も+2.9%と続伸した形です。世界経済の行く末を霧で覆っている米中通商問題が、当面の妥協に向けて前進し、「霧」が幾分晴れたことが株価上昇につながったようです。

3月相場はどうなるのでしょうか。投資家にとっては期末の株価水準が気になり、年度ベースでのパフォーマンスが意識される所ですが、3月期末ということもあり、配当や株主優待が話題になりやすい季節でもあります。特に最近は、雑誌やインターネットなどで「株主優待」が取り上げられることが多く、それに関心をもつ投資家が増えています。

そこで今回の「日本株投資戦略」でも再び、3月決算銘柄の「株主優待」と「配当」についてレポートすることにしました。前回は対象を「中小型株」としましたが、今回は東証1部の「主力銘柄」を分析対象としてみました。

話題となっている「株主優待」ライフを楽しみたいものの、なかなか「第一歩」を踏み出せないという投資家も多いと思われます。「株主優待」を重視するとはいえ、株式投資であることに変りはなく、損失計上のリスクをすべて回避することはできないためです。しかし、そんな投資家の方でも、なるべくリスクを抑えて投資できるよう、時価総額や業績が一定水準以上の銘柄を10銘柄チョイスし、「厳選10銘柄」としてご紹介を試みたいと思います。無論、ある程度株式投資の経験を積んだ方にも、ご参考にしていただきたいと思います。

高配当&優待期待の「厳選10銘柄」(主力銘柄)を抽出

日本株投資戦略,投資チャンス到来銘柄
(画像=PIXTA)

前回の「日本株投資戦略」も3月決算銘柄の「株主優待」や「配当」にスポットを当てました。ただし、対象は「中小型株」であったため、相対的に値動き(リスク)が大きくなりやすく、投資初心者の方にはハードルが高かった可能性があります。

今回抽出した銘柄は主力銘柄であり、前回ご紹介した銘柄に比べると概して知名度も高く、多くの投資家の価値観が交錯する分、値動き(リスク)が安定的になりやすいと考えられます。スクリーニング条件は以下の通りです。表1は下の全条件を満たした銘柄を市場予想配当利回りの高い順に並べたものです。

(1)東証1部上場銘柄であること
(2)時価総額1,000億円以上の銘柄であること
(3)3月決算銘柄であること
(4)銀行・証券を除く業種であること
(5)市場予想配当利回りが3%超の銘柄であること
(6)市場予想純利益が大幅減益予想(10%以上)となっていないこと
(7)投資金額30万円未満で株主優待の権利を確保することができること

前回同様、表1に掲載されたすべての銘柄について、権利付最終日は3/26(火)になっています。2019年3月末付の株主優待および配当の権利を獲得するためには、この日までに買い付けておく必要があります。

2/28(木)現在、東証1部の予想配当利回りは1.96%です。一定基準で選ばれた銘柄の集まりである日経平均株価採用銘柄でも2.19%です。表1の銘柄は配当の魅力の面だけでも、市場の「平均」を大きく上回っており、そこにさらに株主優待の魅力が付加されるということは、投資検討に値する強みであると評価できます。

なお、仮に高い配当利回りや、手厚い株主優待が予定されていても、急激な業績悪化で株価が下がったり、配当や株主優待の予定自体が変更されてしまっては意味がありません。そこで、(6)の条件を入れて業績面に配慮するとともに、(7)によって分散投資がしやすくなっています。保有期間や株式数に条件の付いている銘柄があり、注意は必要ですが、表1の銘柄すべてに100株ずつ(新光電気は300株)投資した場合でも必要金額(諸コストは除く)は197万円にとどまっています。

高配当&優待期待の「厳選10銘柄」(主力銘柄)を探る
(画像=SBI証券)

表1:高配当&優待期待の「厳選10銘柄」(主力銘柄)を探る
コード / 銘柄 / 株価(2/28) / 市場予想一株配当 / 市場予想配当利回り / 最低投資単位で享受できる株主優待内容の概要
<1808> / 長谷工コーポレーション / 1,391 / 67.5 / 4.85% / リフォーム代金割引等
<5411> / ジェイ エフ イー ホールディングス / 1,941.5 / 94.5 / 4.87% / 抽選で工場見学会
<8591> / オリックス / 1,612.0 / 75.3 / 4.67% / 施設等利用割引券
<9433> / KDDI / 2,688.5 / 100.6 / 3.74% / 商品カタログギフト
<3738> / ティーガイア / 2,022 / 73.0 / 3.61% / クオカード1,000円相当
<6412> / 平和 / 2,206 / 80.0 / 3.63% / ゴルフ場割引券(3,500円)
<9832> / オートバックスセブン / 1,874 / 60.0 / 3.20% / 1年保有でギフトカード
<4681> / リゾートトラスト / 1,544 / 49.7 / 3.22% / 飲食・宿泊割引券
<6967> / 新光電気工業 / 806 / 25.0 / 3.10% / 300株保有で特産品
<3291> / 飯田グループホールディングス / 2,034 / 62.0 / 3.05% / 施設利用券

※会社公表データ、弊社WEBサイト、Bloombergデータ等をもとにSBI証券が作成。「市場予想」は、Bloomberg社が集計した市場コンセンサスで、会社予想と異なる場合があります。「株主優待内容の概要」は、株主優待を享受できる最低投資単位における株主優待内容の概要を示したもので、株主優待内容のすべてを示すものではありません。保有株式数や保有期間等により、株主優待内容が異なる場合があります。また、予想配当利回りは、1年間に予想される配当をすべて受け取ったと仮定した場合、その一株当たりの金額が株価の何%に当たるかを示したもので、ここでは市場コンセンサスの数字を掲載しています。配当利回りは株価や配当政策等により変動しますのでご注意ください。

「厳選10銘柄」の投資ポイント

ここでは、表1に掲載した銘柄の配当や株主優待サービス内容についてポイントをご説明したいと思います。

長谷工コーポレーション(1808)

同社は2/8(金)付で業績・配当予想の修正を発表しました。その結果、今期(2019年3月期)の予想純利益は750億円から820億円に、予想一株配当は50円から80円(上期実績10円+下期予想70円)に上方修正されました。予想配当利回りは会社予想ベースですと、5.75%に達します。同社の株式を3/26(火)時点で100株以上保有している株主は、同社子会社によるリフォーム代金を3%を割り引いてもらえる株主優待他のサービスを受けることができます。

図1:長谷工コーポレーション(1808)・週足

図1:長谷工コーポレーション(1808)・週足
(画像=SBI証券)

ジェイ エフ イー ホールディングス(5411)

同社の一株配当金は会社予想ベースですと、95円(上期実績45円+下期予想50円)で、これを株価で割った予想配当利回りは4.89%の計算(市場予想は4.87%)となっています。同社の株式を3/26(火)時点で100株以上保有している株主は、抽選で同グループの工場見学に招待されるという機会が提供されます。ただし参加希望が多数の場合は抽選になるようです。ライバルの新日鉄住金(5401)も同様に工場見学会他を株主優待として提供していますが、必要株数は1,000株以上になっています。

図2:ジェイ エフ イー ホールディングス(5411)・週足

図2:ジェイ エフ イー ホールディングス(5411)・週足
(画像=SBI証券)

オリックス(8591)

同社の一株配当金は会社予想ベースで、76円(上期実績30円+下期予想46円)で、これを株価で割った予想配当利回りは4.71%の計算(市場予想は4.67%)となっています。同社の株式を3/26(火)時点で100株以上保有している株主に対しては、(1)ふるさと優待、(2)株主カードによる優待という2種類の優待サービスが提供されます。

図3:オリックス(8591)・週足

図3:オリックス(8591)・週足
(画像=SBI証券)

前者は、同社の全国の取引先が取り扱う商品をカタログギフトに仕立て、株主がその中から商品を1点選ぶことになります。3年以上保有しているか否かで異なる内容となります。後者は「株主カード」を提示することで、宿泊・食事、野球観戦、水族館入場、有料老人ホーム入居費用割引他、さまざまな優待サービスを受けることができます。

その他、各銘柄100株保有(新光電気工業は300株)で獲得できる株主優待サービスの概要は以下の通りです。保有株数にや、権利獲得月、継続保有期間によって、サービス内容が異なる場合もあり、注意が必要です。いずれにせよ、最新・の株主優待の情報について詳細な内容は、各社のWEBサイトでご確認ください。

・KDDI(9433)・・・「au WALLET Market」商品カタログギフト3,000円相当。1,000株以上では5,000円相当。

・ティーガイア(3738)・・・1,000円相当のクオカード

・平和(6412)・・・自社ゴルフ場で来場1回に付き1枚使える株主優待割引券(3,500円)を2枚

・オートバックスセブン(9832)・・・自社グループギフトカード1,000円相当(1年以上継続保有の場合のみ)

・リゾートトラスト(4681)・・・自社経営レストラン飲食および「ホテルトラスティ」シリーズ宿泊で可能な優待割引券(30%)

・新光電気工業(6967)・・・300株以上保有で3,000円相当の長野県・新潟県特産品がもらえます。2020年以降は1年以上保有が必要になる予定です。

・飯田グループホールディングス(3291)・・・「江の島アイランドスパ」温泉・プールエリア利用券4枚

※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

※NISA口座で上場株式等の配当金を非課税で受け取るためには、配当金の受領方法を「株式数比例配分方式」に事前にご登録いただく必要があります。

鈴木英之
SBI証券 投資調査部

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