結果の概要:住宅着工件数、許可件数ともに前月、市場予想を上回る
3月8日、米国センサス局は政府閉鎖の影響で、当初予定からおよそ2週間遅れで1月の住宅着工、許可件数を発表した。住宅着工件数(季節調整済、年率)は123.0万件(前月改定値:103.7万件)と、107.8万件から下方修正された前月値を上回ったほか、市場予想の119.5万件(Bloomberg集計の中央値)も上回った(図表1、図表3)。
住宅着工許可件数(季節調整済、年率)は134.5万件(前月値:132.6万件)と、こちらも前月値、市場予想の128.7万件を上回った(図表2、図表5)。
結果の評価:戸建ては着工件数では大幅増加も、許可件数が減少し、まちまちの結果
住宅着工件数の伸びは、前月比18.6%(前月:▲14.0%)と、18年1月以来となる2桁のプラスに転じた(図表3)。集合住宅が+2.4%(前月:▲25.4%)とプラスに転じたほか、戸建が+25.1%(前月:▲8.4%)と2桁のプラスに転じた(図表4)。戸建てがプラスになるのは5ヵ月ぶり。
一方、前年同月比では▲7.8%(前月:▲14.3%)と4ヵ月連続でマイナスとなった。戸建てが+4.5%(前月:▲12.6%)と4ヵ月ぶりにプラスに転じた一方、集合住宅が▲32.1%(前月:▲18.2%)と2ヵ月連続で大幅な落ち込みとなったことが大きい。
地域別寄与度(前月比)は、中西部こそ▲0.7%ポイント(前月:▲1.7%ポイント)と3ヵ月連続でマイナスとなったものの、その他の地域では、北東部+5.3%ポイント(前月▲1.3%ポイント)、南部+8.2%ポイント(前月比:▲4.2%ポイント)、西部+5.8%ポイント(前月:▲6.7%ポイント)と全ての地域でプラスとなった。
先行指標である住宅着工許可件数は、前月比+1.4%(前月:+0.3%)と3ヵ月連続でプラスを維持した(図表5)。集合住宅が+7.2%(前月:+4.9%)とプラスを維持した一方、戸建ては▲2.1%(前月:▲2.1%)と、こちらは2ヵ月連続でマイナスとなっており、回復が遅れている(図表6)。
前年同月比は▲1.5%(前月:+0.5%)とマイナスに転じた。こちらも集合住宅が+7.5%(前月:+12.2%)と3ヵ月連続でプラスを維持したものの、戸建てが▲6.7%(前月:▲5.5%)と4ヵ月連続となるマイナスとなり、全体を押下げた。
一方、全米建設業協会(NAHB)による戸建て新築住宅販売のセンチメントを示す住宅市場指数は、2月が62(前月:58)と19年入り後2ヵ月連続で改善した(図表7)。
また、2月は、販売現況が67(前月:64)、販売見込みが68(前月:63)、客足状況が48(前月:44)とすべての指数が2ヵ月連続の改善を示した。
住宅市場指数は、昨年11月から12月にかけて急激な落ち込みを示しており、足元では依然として10月の水準まで戻していないものの、住宅ローン金利の低下もあって、戸建て市場が安定する兆候を示していると言えよう。
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窪谷浩(くぼたに ひろし)
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 主任研究員
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