海の向こうでは、米国株が過去最高値も意識される水準を回復し、中国株も1年振りの高値水準を取り戻しています。これら海外からの暖かい風が東京市場に春相場をもたらしつつあるようで、日経平均株価も4/5(金)に一時、年初来高値を更新しました。

ちなみに、日経平均株価は3/4(月)に付けた21,882円がこれまでの年初来高値(終値ベース)で、昨年10/2(火)の24,270円がバブル崩壊後の高値という位置付けです。日経平均株価がこれらの高値水準を回復してくる流れの中で、それに先行して、年初来高値や昨年付けた高値を更新してくる銘柄が出てくると考えられます。

今回の「日本株投資戦略」では、市場の平均的な動きに先んじて、年初来高値を回復してきたような「チャート的に強い形状の銘柄」の抽出を試みてみました。それらの銘柄は「強い形状」となる理由を持っていることが多く、銘柄選定のヒントにもなると考えられます。

市場をけん引する「強い形状の銘柄」はコチラ!?

日本株投資戦略,投資チャンス到来銘柄
(画像=PIXTA)

冒頭でご説明した通り、日経平均株価は3/4(月)に付けた21,882円がこれまでの年初来高値(終値ベース)で、昨年10/2(火)に付けた24,270円がバブル崩壊後の高値という位置付けです。日経平均株価がこれらの高値水準を回復する流れの中で、それに先行して、年初来高値や昨年付けた高値を更新してくる銘柄が出てくると考えられます。

そうした中、市場の平均的な動きに先んじて、年初来高値を回復してきたような「チャート的に強い形状の銘柄」を抽出することができれば、投資パフォーマンスを引き上げることができるかもしれません。ただ、投資家の方にとり「チャート的に強い形状の銘柄」というのは、ことのほか抽象的に聞こえることでしょう。チャートブック(そもそも売っている書店が減ってしまっているようです)を初めからひも解いて、1銘柄ごとチェックしながら、抽出するほかないのでしょうか。

そんなことはないと思います。SBI証券のWEBサイトで利用できる便利な機能を使えば、「チャート的に強い形状の銘柄」を短時間で抽出することが可能だからです。

SBI証券のWEBサイトにある銘柄検索ウィンドウの周囲には、検索を手助けする各種のリンクが用意されています。このうち、「決算発表スケジュール」や「株主優待」、「テーマ投資」などについては、このレポートでもご紹介してきました。今回はこれらのリンクの中から「チャート形状」を使いたいと思います。

使い方は簡単です。「チャート形状」のリンクをクリックすると、上場銘柄を分類する25通りのチャート・パターンが表示されてきます。4/4(木)まで過去1ヵ月のチャートでは、形状が「上昇?」の形になっている銘柄が149あります。「上昇?」の所をさらにクリックすると、そのパターンにはどのような銘柄が属しているのかを知ることができます。

なお、おのおののチャートパターンが持つ意味については、右上の「ヘルプ」内に解説が出ています。また、チャート期間や上場市場等でさらに銘柄を絞り込む機能も付いています。今回はこの機能を用い、以下のような条件で銘柄を絞り込み、「チャート的に強い形状の銘柄」の抽出を試みてみました。

(1)東証1部上場銘柄であること
(2)チャート期間を6ヵ月とし、そこで「強含み?」に分類されている銘柄であること
(3)4/4(木)までの過去1ヵ月、過去3ヵ月でも弱気なパターンに分類されていない銘柄であること
(4)同じく過去1ヵ月以内に年初来高値を付け、そこからの下落が10%未満の銘柄であること
(5)時価(4月以降の高値)が10/2(火)終値よりも高い水準にある銘柄であること

チャート・パターンとしての「強含み?」はここでは、「一見して、直近高値を抜けつつあると思われる状態」と定義されています。年初来高値更新を目指す日経平均株価にやや先行するイメージの銘柄がここにあると考えました。なお、チャート・パターンの名称の下には必ず「?」の印があります。あくまでも、チャートの形状から将来の株価の方向性として可能性が高い状態を表現したものであり、必ずしもその通りになるとは限らない点には注意が必要です。

なお「弱気なパターン」とは、ここでは「上昇一服?」、「そろそろ天井?」、「売り?」、「上昇ストップ?」、「行って来い?」、「戻らない?」、「下押す?」、「弱含み?」、「下落基調?」、「急落?」、「まだ下落?」といった11種類のパターンに属していることであると、ここでは定義したいと思います。

図1:値初来高値水準まで回復してきた日経平均株価

図1:値初来高値水準まで回復してきた日経平均株価
(画像=弊社チャートツールをもとにSBI証券が作成)
表1:市場をけん引する「強い形状の銘柄」はコチラ!?
(画像=弊社チャートツール等を用いてSBI証券が作成。年初来高値は2019年の取引時間中に付けた高値で、カッコ内はそれを付けた年月。4/4(木)現在のデータで作成しており、その後変動しているケースもあります。)

表1:市場をけん引する「強い形状の銘柄」はコチラ!?
コード / 銘柄 / 株価(4/4) / 年初来高値(月日) / チャート上のポイント
<1802> / 大林組 / 1,122 / 1,149(4/2) / 昨年11/26(月)高値1,155円が次の節目か
<1812> / 鹿島建設 / 1,635 / 1,692(4/2) / 「三角保ち合い」に近い形状か
<1881> / NIPPO / 2,094 / 2,241(3/13) / 年初来高値の水準がダブルトップに
<1961> / 三機工業 / 1,271 / 1,275(4/4) / 2/8(金)の決算発表直後の高値も更新
<2792 / ハニーズホールディングス / 1,052 / 1,163(4/1) / 第3四半期決算発表直後の日に高値
<4290> / プレステージ・インターナショナル / 1,505 / 1,513(4/4) / 12/3(月)の高値1,459円をも上回る
<4403> / 日油 / 3,860 / 3,965(3/7) / 昨年8/2(木)の高値4,035円も節目か
<4613> / 関西ペイント / 2,173 / 2,198(3/29) / ダブル底形成後徐々に高値を切り上げ

※弊社チャートツール等を用いてSBI証券が作成。年初来高値は2019年の取引時間中に付けた高値で、カッコ内はそれを付けた年月。4/4(木)現在のデータで作成しており、その後変動しているケースもあります。

抽出された銘柄とその背景について考える

表1には大林組(1802)、鹿島建設(1812)、NIPPO(1881)、三機工業(1961)等の建設株が含まれています。このうち、大林組のチャートは図2の通りとなっています。同社株は4/2(火)に年初来高値を更新しましたが、今後は昨年まで上値抵抗ラインとなってきた1,150~1.200円のラインを越してこれるか否かがチャート上のポイントになりそうです。

図2:大林組(1802)・日足
(画像=弊社チャートツールを用いてSBI証券が作成)

米国でFRB(米連邦準備制度理事会)が利上げ凍結を打ち出したこともあり、世界主要地域で金利が低下しやすくなっており、建設・不動産などの金利敏感セクターには追い風になっています。日銀短観(3月調査)で「建設」は、業況が思ったほどに悪化せず、業況判断指数は全セクターの中では最高の数値になっています。

その意味では「もっとも景気の良い業種」と言えるかもしれません。それがチャートに表れているのでしょうか。

プレステージ・インターナショナル(4290)は3/19(火)1,252円から4/5(金)には一時1,532円まで上昇し、短期的には過熱気味の上昇となっています。ただ、図3の週足・一目均衡表では保ち合いを上放れ、クモを上抜けており、強さが増すチャートになっているように見えます。

収益モデル的にはストック・ビジネスとみられ、業績面では安定成長が見込める強みがあります。地方での雇用拡大や女性の登用を推進している企業であり、「働き方改革」がテーマの時代に合致した銘柄と言えるかもしれません。

図3:プレステージ・インターナショナル(4290)・週足・一目均衡表
(画像=弊社チャートツールを用いてSBI証券が作成)

関西ペイント(4613)も4/5(金)には年初来高値を上回る動きとなっています。図4の週足チャートでは、2018年1月を高値とする下落トレンドから上放れの様相を示し、長期チャート的には「底入れ」確認の形状になっているようです。

社名から漂うローカルな香りとは異なり、実態はグローバル企業で利益の半分弱がインドやアジアなどの海外から稼ぎ出され、新興国経済の発展や安定がこの会社の成長を左右する鍵になっています。米国が金利引き上げを停止するという流れは、新興国へ資金回帰を促す材料とみられ、その意味では事業環境も底入れする可能性が大きいと言えそうです。

図4:関西ペイント(4613)・週足
(画像=弊社チャートツールを用いてSBI証券が作成)

※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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鈴木英之
SBI証券 投資調査部

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