「不動産投資で税金対策ができる」という話を聞いたことがある人は多いかもしれません。しかし、実際どのような仕組みで税金が安くなるのでしょうか。ここでは、不動産投資を賢く活用して相続税を圧縮する仕組みについてわかりやすく解説します。
不動産をする前に押さえておきたい相続税の仕組み
相続税について、「なんとなく難しい」「素人の自分にはわからない」「自分にはあまり関係ない」と思っている人は多いのではないでしょうか。実際に相続が発生してから、初めて税務署や税理士に相談する人もいます。しかし、苦手意識があるからといってわからないまま放置しておくのはもったいないことです。相続税の仕組みは、ポイントさえ押さえれば決して難しいものではありません。
細かな計算は専門家にゆだねるとしても、相続税の仕組みについて大まかな知識を持っておくことで、生前にさまざまな方法で財産を圧縮し税金対策をすることができます。相続税を知るうえで、まず重要な概念が「相続税の基礎控除額」です。相続税の基礎控除額とは、相続財産の総額から差し引くことができる控除額のこと。相続税の基礎控除額の範囲内であれば、そもそも相続税は発生しません。
税金対策をする前に、「財産の総額が基礎控除を超えるかどうか」を確認することが重要です。相続税の基礎控除は、3,000万円+(法定相続人の数×600万円)で算出します。たとえば、夫が亡くなり妻と子2人の場合、法定相続人は3人です。相続税の基礎控除額は、3,000万円+(3人×600万円)となり、4,800万円になります。
つまり、この事例の場合、遺産総額が4,800万円以下の場合は相続税がかかりませんので相続税の申告もする必要がありません。しかし、遺産総額が4,800万円を超える場合は相続税がかかります。基礎控除額をしっかりと把握しておくことで、ざっくりと相続税がかかりそうかどうかを確認することができるのです。
また、相続税は相続財産すべて合算したうえで按分し、相続税率をかけて算出するため、税率は課税財産額や法定相続人の数によっても異なるため注意しましょう。相続税率は10%から最大55%まであり、財産の金額が大きくなるほど高くなります。そのため、相続対策をするうえでは課税遺産総額を少しでも少なくすることがポイントです。
不動産購入で税金対策ができる合理的な理由
それでは、なぜ不動産購入や賃貸が相続税の税金対策につながるのでしょうか。それには、財産の評価方法の違いが関係しています。相続財産の総額を計算するとき、財産の内容によって評価方法が異なります。評価方法は法律によって定められており、それに従って評価することが必要です。現預金の場合は、わかりやすく額面そのままが相続財産としての評価額になります。
また、株式などの有価証券、金などの現物であれば、そのときの時価が評価額です。これに対して、不動産の評価方法には特徴があります。まず、建物は固定資産税評価額を活用します。固定資産税評価額とは、毎年4月から6月ごろに市区町村から送られてくる固定資産税の課税明細に記載されている評価額です。土地は、国税庁で公表されている路線価を用いて評価します。
路線価とは、土地の1平方メートル当たりの評価額で、土地が面している道路によって定められており、毎年改定されているのが特徴です。土地は、面積に路線価をかけ形状によって微調整して評価額を決定します。不動産は、現預金と比較し一般的に換金しにくいといわれているため、不動産の評価額は現預金として保有しているよりも低くなるよう設定されているのです。
現預金で不動産を購入することで、立地や物件によって異なりますが、土地の場合は8割、建物の場合は7割程度まで評価額を下げることができるといわれています。
第三者に賃貸すればさらに相続税を圧縮できる
現預金で不動産を購入するだけでも相続税対策になりますが、購入した不動産を第三者に賃貸することで、さらに相続税評価額を下げることができます。また、路線価とあわせて借地権割合が設定されており、地権割合は30~90%と地域によって異なるのが特徴です。そのため、土地建物を第三者に賃貸することで、借地権割合の分だけ土地の評価額を下げることができます。
建物の場合は、借家権割合があり、こちらは多くの地域で30%となっている傾向です。建物の場合も土地と同様、借家権割合の分だけ相続税評価額が下がります。このように、現預金で不動産を購入・賃貸することで、相続税評価額を下げることが可能です。相続税評価額が下がれば、適用される相続税率が低くなり、相続税が圧縮されます。
税金は、法律に則って計算されるため、仕組みを理解したうえで資産を組み替えれば合理的に税金対策をすることができます。一方で、「本当に相続税対策が必要なのか」「不動産購入によって家族の間でトラブルが起きないか」といった点には十分注意して専門家などに相談をしながら対策するようにしましょう。(提供:YANUSY)
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