日経平均が2万1,500円目前まで回復
日本株式は米中問題に加えて米国メキシコへの追加関税が発表されたことなどが嫌気され、日経平均株価は6月3日に約4カ月ぶりに2万400円台をつけた【図表1】。6月5日以降は、米利下げ期待から米国株式が上昇するとともに日本株式も上昇に転じ、日経平均株価は10日に2万1,000円台を回復した。その後は、円高が意識され日経平均株価が18日に2万1,000円を下回ったが、米中問題の進展や米利下げ期待が高まり米国株式が一段高となったことを好感して日経平均株価は再び上昇し、足元、2万1,500円目前まで回復している。
このような中、投資家がどのような投資行動を取っているのか(上場していない)インデックス・ファンドとETFの資金動向をみる。
インデックス・ファンドは足元、やや流出
まず、足元1カ月のインデックス・ファンド(1)の日次の資金動向をみる【図表1】。インデックス・ファンドは5月から資金流入が続いていたが、6月6日以降は資金流入がほぼ止まっていることが分かる。株価が上昇する中、様子見している投資家が多かったようだ。ただ、18日に40億円弱の資金流入があったが、逆に日経平均株価が一段高となった20日に40億円弱の資金流出があった。20日は流出金額自体こそ大きくないが、株価が大きく下落した5月以降だと最大の流出となった。
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(1)日本籍追加型株式投信でTOPIXや日経平均株価などの日本株式の指数に連動した運用をしているもの。ETF、SMA・ DC専用は除外。
強気型ETFが売られ、弱気型ETFが買われる
では、インデックス・ファンドより短期投資に用いられる株価が上がると大きく値上がりする強気型ETF、株価が下がると大きく値上がりする弱気型ETFの資金動向はどうだったのか。代表的な強気型ETF(2)と代表的な弱気型ETF(3)の足元1カ月の日次推計資金流出入をみる【図表2】。
足元こそ資金の動きがないが、6月7日から14日にかけて強気型ETFは資金流出(マイナス)、その一方で弱気型ETFは資金流入(プラス)が続いていた。強気型ETF、弱気型ETFともに7日以降は、金額自体は小さいもののそれまで以前と逆の傾向になっていたといえよう。
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(2)NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信:概ね日経平均株価の2倍動くETF
(3)NEXT FUNDS 日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信:概ね日経平均株価の逆方向に2倍動くETF
最後に
インデックス・ファンドや強気型ETF、弱気型ETFの資金動向からは6日以降、資金の動き自体が小さく、様子見姿勢が強かったといえる。強いて言うと、インデックス・ファンドや強気型ETFを売却し、弱気型ETFを購入している動きがみられた。日本株式は足元、米国株式と同様に米利上げ期待、つまりパウエル・プットを好感し上昇している。ただ、為替市場で円高が進行していることなどあり、先行きに対して弱気になっている投資家が増えているのかもしれない。
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前山裕亮(まえやまゆうすけ)
ニッセイ基礎研究所 金融研究部 准主任研究員
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