【目次】
①ブシロードIPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)【7/18更新】 ※一部有料会員限定
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント 【7/22更新】 ※有料会員限定

ブシロード ZUU online Members
(画像=ZUU online編集部)
会社名
株式会社ブシロード
コード
7803
市場
マザーズ
業種
その他製品
売買単位
100株
代表者名
橋本 義賢 /1964年生
本店所在地
東京都中野区中央一丁目38番1号
設立年
2007年
従業員数
252人 (2019/05/31現在)(平均30.9歳、年収459.5万円)、連結454人
事業内容
各種IP(知的財産権)を使ったトレーディングカードゲーム、モバイルオンラインゲーム、映像音楽コンテンツ、イベント、グッズの企画、開発、製造、販売
URL
https://bushiroad.co.jp/
株主数
48人(目論見書より)
資本金
929,815,000円 (2019/06/24現在)
上場時発行済み株数
15,706,000株(別に潜在株式1,408,000株)
公開株数
4,350,400株(公募2,100,000株、売り出し1,683,000株、オーバーアロットメント567,400株)
調達資金使途
アニメ制作の開発費や他社IPの商品化権取得、新規IP立ち上げの広告宣伝費
連結会社
9社
スケジュール
仮条件決定:2019/07/10→1,840~1,890円に決定
ブックビルディング期間:2019/07/11 - 07/18
公開価格決定:2019/07/19→1,890円に決定
申込期間:2019/07/22 - 07/25
払込期日:2019/07/26
上場日:2019/07/29→初値2,204円
シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
主幹事証券:SMBC日興証券 (SMBC日興証券の詳細記事はこちら)
引受証券:大和証券
引受証券:みずほ証券
引受証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
引受証券:楽天証券 (楽天証券の詳細記事はこちら)
引受証券:マネックス証券 (マネックス証券の詳細記事はこちら)
引受証券:エース証券
引受証券:水戸証券
大株主
三井住友信託銀行(株)信託口甲9号 5,064,000株 33.73%
木谷高明 2,614,000株 17.41%
(株)中野坂上 2,500,000株 16.65%
グリー(株) 1,679,000株 11.18%
ハロルド・ジョージ・メイ 452,000株 3.01%
木谷惠 124,000株 0.83%
広瀬和彦 122,000株 0.81%
里見哲朗 120,000株 0.80%
岡田真澄 120,000株 0.80%
国本哲秀 120,000株 0.80%
高津祐一 120,000株 0.80%
業績動向(単位:百万円)売上高 営業利益 経常利益 純利益
2017/7 連結実績 22,759 306 323 -22
2018/7 連結実績 28,889 2,929 2,996 1,637
2019/4 連結3Q累計実績 23,522 2,500 2,522 1,450
ロックアップ情報
指定された株主は上場後90日目の令和元年10月26日または上場後180日目の令和2年1月24日までは普通株式の売却ができず(例外あり)
調達額(公開株数×公開価格)
82億2225万6000円(4,350,400株×1,890円)
潜在株数(ストックオプション)
1,408,000株
ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
ブシロード<7803>はトレーディングカード、モバイルオンラインゲーム、音楽の各事業展開に加えて、子会社として新日本プロレスリングを有する企業グループである。


■事業内容
同社はトレーディングカードゲーム(TCG)部門、モバイルオンラインゲーム(MOG)部門、音楽部門、マーチャダイジング(MD)部門、メディア部門の各部門に加えて、子会社として新日本プロレスリングを有している。

報告セグメントとしては、エンターテインメント事業とスポーツ事業に区分がなされている。エンターテインメント事業はトレーディングカード部門・モバイルオンラインゲーム部門・音楽部門・MD部門・メディア部門から構成。またスポーツ部門は新日本プロレスリングの興行部門、MD部門、コンテンツ部門から構成されている。

IPOレポート
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)


IPOレポート
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

■エンターテインメント事業について
直近2期のエンターテインメント事業の部門別売上は下記となっている。

2017年7月期 売上高228億円
TCG99億円、MOG44億円、MD25億円、音楽9億円

2018年7月期 売上高289億円
TCG102億円、MOG74億円、MD29億円、音楽20億円

トレーディングカードゲーム(TCG)部門が最大の売上を誇っている。しかしながら2017年7月期→2018年7月期はモバイルオンラインゲーム(MOG)が対前年同期比+30億円増と急成長を果たした。

全体売上で2017年7月期228億円→2018年8月期289億円(同+61億円増)の大幅な増収を見せたが、増収の約半数をMOG部門で果たした。また音楽部門も+11億円の増収となっている。

MOG部門及び音楽部門の急拡大のみならず、エンターテインメント事業はいずれの部門も堅調に推移中である。


●トレーディングカードゲーム(TCG)部門について
同社は創業当初よりトレーディングカードゲームの開発、販売を行っている。現在「カードファイト!!ヴァンガード」、「ヴァイスシュヴァルツ」、「フューチャーカード バディファイト」、「ラブライブ!スクールアイドルクレクション」の4タイトルを展開中である。

「ヴァイスシュヴァルツ」は自社他社問わずアニメやゲームなど、2008年3月の発売以降100を超えるIP(知的財産)の参入がなされている有力コンテツである。

●モバイルオンライゲーム(MOG)部門
2019年5月時点で自社IPの「バンドリ!ガールズバンドパーティ!」、他社IPの「ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル」など、合計13タイトルを展開中。現在の主力タイトルは2017年3月に配信を開始した「バンドリ!ガールズバンドパーティ!」であり、2018年7月に全世界のユーザー数が1000万人を突破した。同タイトルが2018年7月期の成功の原動力となっている。

「バンドリ!ガールズバンドパーティ!」の関連音楽商品の累計出荷枚数は2018年12月時点で100万枚を突破しており、同タイトルの成功はエンターテインメント事業全体の成長に大きな影響を与えた。

尚、自社及び他社IP問わず、全てのタイトルで外部パートナー会社と共同で展開しており、収益は外部パートナー会社と分け合う形をとっている。

IPOレポート
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

■スポーツ部門
同社は2012年1月に新日本プロレスリング株式会社を連結子会社化した。新日本プロレスリングは45年を超える歴史を持つ有力なプロレス団体である。連結子会社化以降、興行の動員人数や全体の売上は伸びており、2018年7月期は過去最高の売上高を達成した。尚、キックボクシングの興行もキックスロード社で展開。

部門別では2018年7月期売上高50億円(対前年同期比+29%増)、セグメント利益7.7億円(同+160%増)であり、増収に加え大幅な利益改善がなされている。


■業績推移
2016年7月期 売上高150億円、経常利益8.0億円、当期純利益3.8億円
2017年7月期 売上高228億円、経常利益3.2億円、当期純利益▲0.2億円
2018年7月期 売上高289億円、経常利益30億円、当期純利益16億円
2019年7月期(予想) 売上高314億円、経常利益27億円、当期純利益17億円
※2017年7月期より連結決算

2018年7月期よりMOG部門の成長を背景に業績は急拡大。ただし2019年7月期は経常利益ベースでは減益の予想である。

2017年7月期Q3(累計)は売上高235億円、経常利益25億円の実績であり、通期予想達成に向けて進捗は順調である。


■財務状況
2018年7月期末時点で、資産合計182億円に対して純資産合計69億円であり、自己資本比率は38%となっている。

借入金35億円に対して、現預金84億円を保有しており、財務状態に対して特段の懸念事項はない。


■資金使途
IPOにより37億円の資金調達を行い、下記の資金使途を予定している。

・IP開発(新規・既存自社IPのアニメ制作に対する開発費用) 19億円
・IP取得(他社IPの商品化権取得などへ投資) 1.6億円
・IP発展(新規IP立ち上げのための広告宣伝費への投資) 17億円

IPをトレーディングカード、オンラインゲーム、音楽、メディア等へ事業展開するビジネルモデルが構築されており、調達資金はIPの取得及び収益化に投じられる予定である。


■株主状況
同社創業者でありデジタルコンテンツ本部長である木谷取締役が個人としては第2位株主(株主シェア17%)。また筆頭株主(同34%)の三井住友信託銀行(信託口甲9号)は木谷取締役の親族が委託した信託財産であり、議決権は木谷取締役の親族が保有する。

第3位株主(同17%)の株式会社中野坂上は役員等により総株主の議決権の過半数が所有されている会社である。木谷取締役及び役員の関連で65%以上の株式シェアが有されており、安定的な株主構成となっている。

第4位株主(同11%)はグリー<3632>で1,679,000株を保有するが、売出で900,000株を売却する。

グリー以外に事業会社及びファンド等の金融系株主の参入はない。


■今後の注目ポイント
トレーディングカード、モバイルオンラインゲーム、新日本プロレスリングなどを中心として事業展開を行う企業のIPO案件である。

カードゲームを始めIPを様々な形で収益化することに長けており、単なるスマホゲーム事業を手掛ける会社との差別化が図られている。

IPO後の更なる成長には、「バンドリ!ガールズバンドパーティ!」後に投入するIPにて、再び成長のサイクルを回す必要がある。「バンドリ!ガールズバンドパーティ!」に続く成長IPの登場の有無が、同社の今後の注目ポイントになると考えられる。