要旨

平成経済,令和,課題
(画像=PIXTA)

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平成元年(1989年)はバブル景気の絶頂だったが、ほどなく株価や地価のバブルは崩壊し、日本経済は長期にわたって後遺症であるバランスシート調整に悩まされることになった。平成の景気拡張期は長期間続いたものが多いが、昭和に比べると拡張期の途中で拡大が停滞する時期が長いことが多く、景気拡張期間の割には実質GDPの増加幅が小さかった。平成の前期には非金融部門の過剰問題や金融機関の不良債権問題への対処の遅れが成長を阻害していたが、平成半ばにはこうした問題は概ね解消した。しかし、その後も低成長は続き、その原因が経済の需要側にあるのか供給側にあるのか、あるいは、物価が下落を続けるデフレが経済低迷の原因なのか、逆に経済の低迷がデフレを引き起こしているのかといった論争が続き、政策の試行錯誤が続いた。

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平成の日本経済は、少子化の影響が顕在化し生産年齢人口と総人口の減少がはじまった。昭和にはインフレ抑制が課題だったが、物価が持続的に下落するデフレという問題が発生し、それまで行うべきではないとされてきたような非伝統的金融政策が実施されるようになった。国際経済では、日本が欧米先進諸国を追う立場から新興国に追い上げられる立場となっただけでなく、中国などの新興国の急速な発展によって世界経済に占める先進諸国のウエイトが大きく低下した。

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平成には株価や地価などの資産価格が大きく下落して低迷が続き、株価や地価は平成の間には最高値を更新できなかった。米国の住宅バブルは、金融緩和によって資産価格の上昇を起こすのは危険な政策であることを示している。日本の財政状況は平成の間に大きく悪化した。日本の家計貯蓄率は高齢化のために大きく低下している。デフレから脱却すれば財政赤字を吸収している企業の資金余剰は無くなるので、財政バランスの問題は解消しないだろう。平成の間に日本的雇用慣行は崩れて行った。非正規雇用の拡大は柔軟な就業機会の提供というプラス面もあるが、一方で格差の拡大の原因ともなった。

※本稿は2019年5月30日発行「基礎研レポート」を加筆・修正したものである。