金融庁が報告書の中で「老後生活には2,000万円の貯金が必要」と公表し話題になりました。政府は「日本の年金制度は安定しており、老後の心配はない」と火消しに躍起になっていますが、実際のところ多くの人が老後生活に対して不安を感じており、その対策は若いうちから始めるべきです。
老後の不安のトップは「公的年金だけでは不十分」
生命保険文化センターは3年に一度、生活保障に関する調査を実施しています。最新版の『平成28年度生活保障に関する調査』では、老後生活に対する不安の有無を聞いていますが、9割近い人が何らかの形で老後に不安を感じています。「非常に不安を感じる」が22.7%で、「不安を感じる」「少し不安を感じる」まで合わせると85.7%の人が不安を持っており、「不安感なし」は12.8%にとどまります。
1998年度の調査では老後に不安を感じる人の合計は79.9%であり、年を追うごとに不安を感じる人が増えていることがわかります。今回「老後生活には2,000万円の貯金が必要」という発表が問題になったように、年金制度への不安感が強まっていけば、この割合はさらに高まっていくでしょう。
実際、この調査では老後生活の不安に関する質問をしていますが、その理由のトップは「公的年金だけでは不十分」という回答でした。8割以上の人がこう回答しており、2位の「日常生活に支障が出る」以下を大きく引き離しています。
それでも老後の生活費は「公的年金」頼り
「老後生活には2,000万円の貯金が必要」の真偽はともあれ、若いうちから老後への備えを行っておくことが重要であることは言うまでもありません。公的制度に頼らない自助努力が欠かせないのです。
実際多くの人が老後生活資金の準備をしていますが、その大半は個人年金保険や預貯金などです。
老後の生活資金をまかなう手段としては相変わらず「公的年金」が87.5%のトップで、以下は「預貯金」の70.4%、「企業年金・退職金」の40.5%、「個人年金保険」の33.3%などです。「老後も働いて収入を得る」ことを想定している人もいますが、いつまでも元気で働けるわけではありません。
不動産を活用すれば、ほとんど持ち出しなしで資産形成できる
わずか3.8%ですが、「不動産収入」を挙げている人もいます。若いうちに賃貸住宅を取得して、リタイアするまでにローンを完済しておけば、老後はその賃貸住宅から安定収入を得ることができます。預貯金で2,000万円を作るのは簡単ではありませんが、不動産投資でローンを活用すればそんなに難しくありません。
たとえば、200万円の自己資金で3,000万円の賃貸用のマンションを購入する場合、借入額は2,800万円です。金利2.0%、30年の元利均等・ボーナス返済なしだと、毎月の返済額は10万円強です。東京23区などの3,000万円の賃貸用マンションであれば、エリアによっては10万円以上の家賃を得ることができるでしょうし、そうでなくても月々わずかの持ち出しで済みます。
30年後に完済すると、10万円の賃料収入の大部分が手元に残ります。30年経過しているので家賃は多少下がっているかもしれませんが、それでも老後生活を支える上で心強い味方になるでしょう。
資金に余裕があれば、区分所有マンションの1室ではなく、1棟丸ごとの賃貸用マンションも考えられます。自己資金では足りない場合、ローンを利用できます。すると賃料収入は格段に増え、ゆとりある老後生活を実現できるはずです。(提供:YANUSY)
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