外貨投資を考える際、米ドル投資を考える人も多いだろう。米ドルは世界の基軸通貨で、主要決済通貨でもあり、有事でも安全な資産の一つだと考えられている。分散投資として外貨投資を始めるにはドル円投資が最適だろう。ドル円相場には「8年周期」が存在していることは広く知られている。詳しく解説していこう。

ドル円相場は8年サイクルで変動している

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(写真=seewhatmitchsee / Shutterstock.com)

ドル円には8年周期が認められる。ちょうど8年前後で以下のようにドル高・円安がピークをつけているのだ。

【ドル円相場の8年周期】
・1982年10月:278円50銭 (高値ピーク)
・1990年4月:160円35銭 (約7年6ヶ月ぶり高値)
・1998年8月:147円63銭 (約8年4ヶ月ぶり高値)
・2007年6月:122円64銭 (約8年10ヶ月ぶり高値)
・2015年6月:125円81銭 (約8年1ヶ月ぶり高値)

日銀が公表している東京インターバンク相場の月中平均のドル円レートで検証してみよう。

ドル円は1982年10月に278円台と80年以降の最高値をつけた。82年10月の月中平均は271円33銭だった。ソ連がアフガニスタンに侵攻し地政学リスクが高まり、有事のドル買いが進んだ。その後ドル円は反転、1985年9月のプラザ合意でドル安誘導政策が取られたため、1988年11月にはドル円は120円台まで売られ当時の過去最安値をつけた。11月の月中平均は123円16銭だった。

日本政府は、急激な円高で日本の輸出企業が大きなダメージを受けることを避けるために、景気対策として超低金利政策を推進した。これが世界景気の拡大および日本のバブルを助長することとなった。ドル円は1990年4月には160円35銭まで買われ、4月の月中平均は158円50銭と約7年6ヵ月ぶりの高値を付けた。

90年以降は日本のバブルが崩壊し円高が進行した。1995年4月にはドル円は一時79円台と80円を割り込み当時の史上最安値をつけた。4月の月中平均は83円53銭だった。90年代後半には、日本の銀行の不良債権が拡大し金融機関が相次いで破綻し、アジア通貨危機も起こったこともあって円安が進むことになる。ドル円は1998年8月には147円台を付け、1990年4月以来、約8年4ヵ月ぶりの高水準となった。

90年代後半のアジア通貨危機後から2000年台初にかけてITバブルで世界的な景気拡大局面があった。世界景気拡大でドル安が進み、1999年11月には101円台の円高を付けた。月中平均では1999年12月の102円61銭が円高のピークとなった。2001年に米同時多発テロが起きたことで、ITバブルは完全に崩壊する。ドルは売られたが円も売られたため、ドル円は比較的狭いレンジでの動きだった。2007年の世界的な景気拡大局面にあわせて、ドル円は2007年6月には122円64銭と約8年10ヵ月ぶりの円安をつけた。

2008年にはリーマンショックが起きドルが急落した。2011年10月にはドル円の史上最安値である75円台をつけた。月中平均でも76円72銭と過去最低を更新した。日本政府はリーマンショックによる世界的な景気縮小に対し、2013年以降、アベノミクスとして超低金利と円安政策を推し進めた。日本が低金利を続ける一方で、いち早くリーマンショックから回復した米国が利上げをはじめたことで、日米金利差の拡大からドルは買われた。2015年6月には125円81銭のドル高をつけた、6月の月中平均は123円70銭で約8年1ヵ月ぶりの円安だった。

こうして検証すると見事に8年前後で円安のピークをつけている。

次の8年後は2023年 ?

ドル円の8年周期は、主要通貨のサイクルの中ではもっとも信頼性が高いともいわれている。この周期は景気のサイクルと連動しているという見方が主流だ。また、8年周期が投資家に周知されており有名なため、投資家がそのサイクルに導かれているのではないかとの指摘もあるようだ。

もし、次の円安のピークも8年後に来るとすれば2023年頃になる。2020年には東京オリンピックが開催される。オリンピック後に特需が一巡し景気がスローダウンすることはよくあることだ。円安のピークはだいたい景気の下降局面でやってきている。オリンピック以降の日本の景気動向に備えておきたい。(提供:大和ネクスト銀行

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