日本は今、年間約50兆円が相続によって資産移転していると言われています。そのなかには残念ながら、相続が「争族」になってしまうケースもあるようです。不動産のような、現金に比べて相対的に分けにくい資産を多く持っている場合は、より配慮が必要と言えるでしょう。

不動産投資をしているなら、早めに相続対策を検討したいものです。仕事で忙しいから、まだ元気だからと先延ばしにしていると、将来後悔することになりかねません。今回は、40代の現役世代のうちに相続を考え始めるべき理由と、具体的な対策方法を解説します。

なぜ不動産投資をしている40代は相続を考えるべきなのか

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(画像=PIXTA)

投資用マンションを所有しているなら、将来発生する相続に一抹の不安を感じた経験を持つ人もいるのではないでしょうか。

投資用マンション購入の際はローンを組むことが一般的です。40代が保有している投資用マンションでは、まだまだ残債が残っているケースが多いのではないでしょうか。残債が残る資産を子どもに引き継がせて苦労をかけないか、心配な方もいるかもしれません。投資用マンションを購入する際、多くの場合は、万が一のことが起こったら残債がゼロになる団体信用生命保険に加入しますが、そうでない人も少なからずいるでしょう。

もうひとつ、収益不動産は「空室にならない限り定期的にキャッシュを生む」という特徴があります。この将来生まれるキャッシュを勘案しながら相続割合を決めないと、残された相続人たち(子どもたち)が望まざる争いをしてしまうかもしれません。

働ける世代だからこそ今のうちに将来への備えを

「具体的に何をしていいかわからない」「退職してから取り組めばいい」「そんな高額な相続税にはならないはずだ」といった思いから相続対策を後回しにしていると、高額な相続税で子供世代を苦しめてしまうことになりかねません。

そもそも相続税は、相続する財産の額から基礎控除(相続する人数に応じて決まる)の額を差し引きし、残りの額に対して税金が発生するものです。もし、その額が基礎控除の額までであれば当然相続税はかかりません。

しかし、税制改正によって2015年から相続税の基礎控除が大きく縮小されました。この基礎控除が縮小されたことで、相続税の支払いが必要な人数は、改正前の2014年は約13万人に対して改正後の2015年は約23万人に、2017年は約25万人まで増加しました。いわゆるお金持ち家庭だけではなく、一般家庭でも相続税を支払わなければならない時代に突入した訳です。つまり、昔ながらの感覚で相続税対策を怠っていると、子供や孫の世代に思わぬ負担をかけてしまう危険性があるのです。

40代は仕事でも責任ある立場を任され、なかなかプライベートに割ける時間がない人も多いでしょう。しかし、きちんと時間をとって今のうちから相続について考えておくことが後悔しない選択につながるはずです。

何から取り組めばいい?相続対策について

遺産相続について考える時、必要なのは相続対策と相続税対策を分けて考えることです。相続対策とは遺言書の作成など財産の分け方を検討し、家族間のトラブルを防ぐことです。それに対して相続税対策とは、納める相続税をできる限りコントロールしスムーズな支払いに備えることです。

不動産が相続財産に含まれる場合、誰がどの財産を相続するか遺産分割を巡って相続人の間でトラブルになることが少なくありません。不動産を所有しているなら、誰がどの財産を受け取るのか明確にしておきましょう。その際、遺言書を作成しておき、家族会議で配分理由を自分の口から説明しておくと、さらに安心です。

遺言書には、特定の財産を誰に譲るか記載する方法と、財産を分割する割合を記載する方法があります。不動産がある場合なら、前者が適しています。少なくとも不動産に関してだけは、誰に何を相続するかを明確にしておきましょう。

何から取り組めばいい?相続税対策について

続いて、相続税対策について解説します。相続税対策をする場合、まずは遺産となる資産額(相続税評価額)をすべて洗い出し、基礎控除の範囲内におさまるかどうかを確認する必要があります。基礎控除の範囲内であれば、すぐに相続税対策をする必要はありません。

まずは自分の基礎控除を計算してみましょう。基礎控除は、600万円に法定相続人の人数をかけた上で、3000万円を足して計算します。妻と子2人の合計3人が法定相続人の場合、基礎控除は4800万円です。ローン残債が残っている場合は、資産額からローン残債を引いた純資産額が相続税の対象になります。(ただし、本文では単純相続の場合を想定しています。)

相続税評価額が基礎控除を超えていた場合、現金贈与を通じて子供世代に資産を移転することを検討しましょう。年間110万円までならば非課税で贈与が可能ですので、贈与税を支払うことなく資産を移転できます。また、贈与によって子供世代にキャッシュが貯まることで、納税資金の確保にも寄与します。

というのも、相続税対策は税金を減らすことばかりではありません。相続人がスムーズに相続税を支払えるように準備してあげることも立派な相続税対策です。特に不動産は相対的に流動性が低い資産と言われており、市況や立地次第では、すぐに希望額の現金に替えることが難しいケースもあります。そのため「相続人の手元に相続税を支払える十分なキャッシュがあるか?」も重要な視点です。

相談できる専門家を見つけておく。管理会社との緊密な連携を

相続が発生したら、相続登記や遺産分割協議書の作成、相続税の申告などやるべきことは山ほどあります。悲しみに暮れる中、慣れない手続きに追われるのは精神的にも肉体的にもかなりの負担となります。今のうちから、経験豊富な頼れる専門家を見つけておきましょう。

既にパートナーがいる場合は、子供世代と顔合わせをし、万一の場合を任せられるようにしておくと安心です。きちんと引き継ぐことができれば、不動産は将来に渡って大切な家族を守ってくれるでしょう。(提供:マンション経営ラウンジ

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