高額でのチケット転売の防止も狙う
7月30日(火)、東京都渋谷区にて、スポティファイジャパン〔株〕と〔株〕イープラスが、パートナーシップ締結の合同記者説明会を開いた。月間アクティブユーザー数が世界で2億人を超える音楽ストリーミングサービス「Spotify」と、アクティブ会員数1,200万人以上のチケットサービス「イープラス」が、音源を聴く体験とライブの体験をシームレスにつなげることを目指す。
パートナーシップ締結の背景として、両社には3つの課題認識があったと、スポティファイジャパン社長・玉木一郎氏は説明した。
1つ目は、ファンクラブ会員など、コアなファンにしかライブの情報が届かないこと。情報をいち早く入手できるファンと、それ以外のファンとの間にある情報格差が、高額でのチケット転売という社会問題を生じさせることにもなっていると指摘する。
2つ目は、特定のアーティストにしか興味がない人たちがいること。このままでは音楽業界全体が先細りになるという危機感があるという。
そして3つ目は、音楽は聴くがアクティブにライブ情報を探すわけではない人たちがいることだ。
これらの課題を解決するために目指すのは、音楽を聴く人に新しいアーティストとの出会いを提案し、そのアーティストをライブで体感してもらうことによって熱量の高いファンになってもらい、周囲の人たちに影響を与えて、音楽を聴く人を増やす、という好循環だ。
新しいアーティストとの出会いについては、Spotifyは従来から「プレイリスト」と「パーソナライゼーション」という仕掛けを設けている。プレイリストはユーザーなどが選曲して作るもので、現在、世界に30億超あるそうだ。他のユーザーが作ったプレイリストを聴くことで、それまで知らなかったアーティストを発見することができる。また、パーソナライゼーションは、個々のユーザーの嗜好に合うであろう音楽をAIが提案するものだ。
今回のパートナーシップ締結では、Spotifyのアーティストページで、そのアーティストのコンサート情報をチェックできるようになった。また、サーチページ内にコンサート情報を網羅したコンサートコーナーが新設され、個々のユーザーの視聴履歴やユーザー登録時に設定した場所によって「おすすめ」も一覧表示。コンサート情報からは、イープラスにジャンプして、すぐにチケットを購入することができる。
逆に、イープラスのアーティストページや、イープラスが運営するメディア「SPICE」の記事で気になったアーティストの音楽を、Spotifyで視聴できるようにもなった。イープラスが運営する各種フェス情報アプリもSpotifyと連携する。
さらに玉木氏は、従来からあるサービス「FANS FIRST」を拡大することも発表した。これは、熱量の高いファンにアーティストの情報を優先的に届けるプログラムで、これまで、日本のユーザーにも海外の人気アーティストの情報を提供してきたが、今後はイープラスの協力を得ることで、国内アーティストについても広く実施する。
THE21編集部(『THE21オンライン』2019年08月05日 公開)
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