【目次】
①ワシントンホテルIPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)【10/17更新】 ※一部有料会員限定
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント 【9/30更新】 ※有料会員限定
- 会社名
- ワシントンホテル株式会社
- コード
- 4691
- 市場
- 東証2部
- 業種
- サービス業
- 売買単位
- 100株
- 代表者名
- 代表取締役社長 内田 和男 /1950年生
- 本店所在地
- 愛知県名古屋市千種区内山三丁目23番5号
- 設立年
- 1961年
- 従業員数
- 426人 (2019/07/31現在)(平均37.8歳、年収435.2万円)、連結458人
- 事業内容
- ビジネスホテルの運営
- URL
- https://www.washingtonhotel.co.jp/
- 株主数
- 89人 (目論見書より)
- 資本金
- 95,000,000円 (2019/09/11現在)
- 上場時発行済み株数
- 11,900,000株
- 公開株数
- 2,070,000株(公募1,800,000株、オーバーアロットメント270,000株)
- 調達資金使途
- 新規店舗の出店および既存店舗のリニューアル
- 連結会社
- 1社
- スケジュール
- 仮条件決定:2019/09/27→1,280~1,310円に決定
- ブックビルディング期間:2019/10/01 - 10/07
- 公開価格決定:2019/10/08→1,310円に決定
- 申込期間:2019/10/09 - 10/15
- 払込期日:2019/10/17
- 上場日:2019/10/18→初値1,462円
- シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
- 主幹事証券:三菱UFJモルガン・スタンレー証券
- 引受証券:みずほ証券
- 引受証券:東海東京証券
- 引受証券:岡三証券 (岡三証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:SMBC日興証券 (SMBC日興証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:大和証券
- 引受証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:マネックス証券 (マネックス証券の詳細記事はこちら)
- 大株主
- (株)丸栄 1,433,520株 14.20%
- 藤田観光(株) 1,061,280株 10.51%
- (株)三菱UFJ銀行 503,000株 4.98%
- (株)みずほ銀行 503,000株 4.98%
- (株)名古屋銀行 503,000株 4.98%
- 日本生命保険(相) 495,000株 4.90%
- 明治安田生命保険(相) 440,000株 4.36%
- (株)近藤紡績所 316,800株 3.14%
- 名古屋中小企業投資育成(株) 297,000株 2.94%
- 朝日生命保険(相) 275,000株 2.72%
- 住友生命保険(相) 275,000株 2.72%
- 業績動向(単位:百万円)売上高 営業利益 経常利益 純利益
- 2018/3 連結実績 21,417 3,157 3,009 1,912
- 2019/3 連結実績 21,410 2,988 2,836 1,704
- 2019/6 連結1Q実績 5,506 801 787 505
- ロックアップ情報
- 指定された株主は上場後180日目の2020年4月14日までは普通株式の売却ができず(例外あり)
- 調達額(公開株数×公開価格)
- 27億1170万円(2,070,000株×1,310円)
- 潜在株数(ストックオプション)
- なし
- ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
- ワシントンホテル<4691>は「ワシントンホテルプラザ」、「R&Bホテル」、「名古屋国際ホテル」の合計3ブランドのホテル運営事業者である。運営するホテルは全国に42ホテル存在する。
■事業内容詳細
同社は下記3ブランドのホテルを運営している。
・ワシントンホテルプラザ(18ホテル)
・R&Bホテル(23ホテル)
・名古屋国際ホテル(1ホテル)
「ワシントンホテルプラザ」は1969年の1号店開業以来、50年の歴史を有し全国にチェーン展開するビジネスホテルである。尚、一部ワシントンホテルプラザには、飲食店や宴会場も併設され、幅広い顧客層を対象としている。
「R&Bホテル」は宿泊特化型のホテルとして首都圏中心に展開。R&Bホテル八王子の16室のツインを除いて、他は全てシングルである。朝食にスタッフが焼き上げる焼き立てパンなどを無料で提供することで、付加価値向上を目指し他社との差別化を図っている。
またチェックインの工程を細分化し、宿泊台帳記入や金銭授受について人手を介さず行うなどして、少人数オペレーションを徹底している。
「名古屋国際ホテル」は1964年に名古屋発の本格的都市型ホテルとして開業した、名古屋の老舗ホテルである。ただし2020年9月期に営業終了を予定している。
■出店方法
出店は下記5種類の方法で行われている。
・自社物件
・建物の賃貸借方式
・土地の賃貸借方式
・MC(マネジメントコントラクト)方式
・フランチャイズ方式
各方式での出店数は下記である(2019年8月末時点)。
・自社物件による出店 5事業所
・建物の貸借方式 35事業所
・土地の貸借方式 2事業所
・MC及びフランチャイズ方式 該当なし
建物の貸借方式による出店が最多の状態である。
尚、同社の直近のホテル事業所数は横ばいで推移している。
■ブランド別損益
2019年3月期 売上高214億円、営業利益30億円
・ワシントンホテルプラザ事業 売上高111億円、営業利益9.5億円
・R&Bホテル事業 売上高85億円、営業利益21億円
・名古屋国際ホテル事業 売上高18億円、営業利益▲0.2億円
売上規模はワシントンホテルプラザ事業が最大であるが、営業利益はR&Bホテル事業が最大。R&Bホテル事業は高採算事業となっている。また、名古屋国際ホテル事業はわずかながら赤字である。
■自社サイト「宿泊ネット」を運営
同社では自社サイト「宿泊ネット」を運営することで、オンライン旅行予約サイト以外の自前の集客導線を確保している。
「宿泊ネット」は年間62万室(2019年3月期)が利用される宿泊予約サイトであり、同社グループホテルのみならず、国内79拠点・台湾1拠点(2019年8月末時点)の提携ホテル・旅館が参加する。
オンライン旅行予約サイトに対する支払手数料なく集客が可能であり、また「宿泊ネット」自体でも加盟店の募集を行うことで、今後更に「宿泊ネット」の媒体価値を高める計画である。
■業績推移
2017年3月期 売上高197億円、経常利益34億円、当期純利益24億円
2018年3月期 売上高214億円、経常利益30億円、当期純利益19億円
2019年3月期 売上高214億円、経常利益28億円、当期純利益17億円
2020年3月期(予想) 売上高222億円、経常利益24億円、当期純利益17億円
※2018年3月期より連結決算
2019年3月期は対前年同期比で売上高は横ばいであったが、今期(2020年3月期)は増収の予想。ただし経常利益では管理部門強化による人件費増加及び株式公開関連費用の計上により、減益が続く予想である。
■財務状況
2019年3月期末時点で、資産合計251億円に対し純資産合計117億円、自己資本比率47%となっている。
借入金76億円、リース債務21億円に対し、現預金32億円、ホテルの建物等の有形固定資産は149億円である。また差し入れ保証金47億円が存在する。
自社物件が5事業所にとどまっており、ホテル運営会社としては比較的高めの自己資本比率を維持している。
■資金使途
IPOにより25億円の資金調達を行い、下記の使途を予定している。
・(仮称)R&Bホテル仙台駅東口(新設)4.6億円
・(仮称)R&Bホテル名古屋駅前(新設)12億円
・高崎ワシントンホテルプラザ(リニューアル)2.9億円
・博多中洲ワシントンホテルプラザ(リニューアル)2.4億円
・鹿児島ワシントンホテルプラザ(リニューアル)2.4億円
調達資金はホテル新設及び既存ホテルのリニューアルに充当される。
■株主構成
筆頭株主は名古屋の老舗百貨店の運営を行っていた丸栄(未上場:株主シェア14%)。第2位株主は藤田観光(9722:同11%)。
また第3位株主の三菱UFJ銀行(同5.0%)以下、多数の銀行や保険会社が株主として存在する。
同社は丸栄他の中部財界からの出資を受けて設立された経緯があり、地元企業株主、金融機関株主中心の株主構成となっている。
■まとめ
名古屋の老舗ホテル・名古屋国際ホテルの運営から始まり、ワシントンホテル及びR&Bホテルチェーンを運営する企業のIPO案件である。
名古屋国際ホテルは2020年9月の営業終了を予定しているが、既にワシントンホテル及びR&Bホテル中心の事業展開がなされている。
安定した業績であるが、各都市でホテルの新規出店用地の獲得競争が激化しており、新規出店は容易ではない。
海外観光客中心に宿泊需要は旺盛であるが、IPOの実現及びIPOでの資金調達を契機に、新たな成長に踏み出すことができるのか、という点が今後のポイントになると考えられる。