相続税に関する税制改正

税制改正により、今後、相続税負担が増えます。税負担額のみならず、課税対象者の範囲も大幅に増えることになります。平成25年度税制改正大綱において、平成27年1月1日からの基礎控除額の引き下げが明示されたことによります。この税制改正大綱においては、相続税に関して基礎控除額の引き下げのほかにも最高税率の引き上げ(50%から55%)も決定しました。基礎控除は、相続税の申告や納付が必要となるかどうかの境界となる重要な金額です。

相続財産の評価額が基礎控除以下の場合には、相続税の申告は不要ですが、基礎控除を超える場合には必要となります。基礎控除は、「5,000万円+1,000万円×法定相続人数」から「3,000万円+600万円×法定相続人数」に大幅に下がり、従来であれば申告が不要であったケースで申告が必要となるケースが生じることになります。

一般に、相続税の申告割合は、全国で4%程度でしたが、6~7%まで増加する可能性があるといわれています。特に都心など大都市圏に戸建で住んでいる方には、不動産評価の影響が大きく、都内23区では、相続税課税対象者は10%を超えるという試算もあります。相続税の申告期限は、10か月です。いざ、申告が必要であると気づいた時には、時間はもうほとんど残っていないことでしょう。

相続財産がいくらあるのか、相続税はかかるのか、かかるとすればどの程度か、納税資金は準備できているか、節税の方法はないのか、いずれも生前からのしっかりとした準備が必要です。税理士など専門家に相談したり、セミナーに積極的に参加するなど、今後到来する増税時代を生き抜くためには、事前の自助努力が必要になってきます。

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