(本記事は、岡崎かつひろ氏の著書『なぜ、あの人は「お金」にも「時間」にも余裕があるのか?』きずな出版の中から一部を抜粋・編集しています)
真面目に働いても豊かにならない本当の理由
「岡崎はいいよね。起業して、お金もあるし時間もある。うらやましいよ。俺なんて家のローンはもちろん、子どもの教育費やら親の面倒にずっと追われている。俺も岡崎みたいな生き方したいけど、もう遅いよね」
2018年も終わりの声が聞こえ始めた、10月。久しぶりに会社員時代の同期と会い、近況報告をしていたときのことです。
「なんで遅いと思うの?」
「だって俺には家族もいるんだよ? 歳だって40近い。いまさら新しいことに挑戦できるわけないさ。このまま一生会社員で終わる。これが運命なんだ」
「40から起業する人だっていっぱいいるよ? やりもしないうちにあきらめるなんて、もったいないと思うよ」
「確かに正解はそうだと思う。でも、俺は君と違って多くのものを背負っちゃってるんだ。よく『夢をあきらめたら大人だ』って言うだろ? 俺はあきらめることを知ったんだ。
このままローンの支払いを終えるまで、あきらめて働くのさ。老後がどうなってるか?そんなことがわかるなら、苦労しないよ。でもきっとなんとかなる。
どうなんとかなるかなんて、なってみないとわからない。だからきっとなんとかなるとでも思わないと、やっていられないんだよ」
●「能力の高さ=収入の高さ」ではない
その友人はとても優秀で、私よりもはるかに仕事ができる人です。
能力が収入やライフスタイルを決めるのであれば、彼のほうがずっとお金を稼いで、幸せな人生になっていていいはず。
ではなぜ、彼はそうなっていないのでしょうか?
その答えは、「能力と収入は比例しない」からです。
ほとんどの人は、能力をつけていけば収入が増え、幸せなライフスタイルを手に入れることができると思っていますが、じつは能力と収入は比例しないのです。
では、なんの違いが収入の差を生むのか。
それは「働き方の違い」です。
・真面目に働いている ・一生懸命に働いている ・誰もが知っている企業で働いている ・資格を使って働いている
ということと、
・時間とお金に余裕がある、豊かな人生になっている
ということは別問題なのです。
たとえば、真面目にコンビニエンスストアでアルバイトしたとします。どんなに一生懸命に働いて能力を上げても、時給はせいぜい1500円くらいまでです。1日20時間以上働いて、やっと月収100万円に届くかどうかといったところでしょう。
コンビニでアルバイトをするという働き方では、そこまでが限界なのです。
大手企業の2018年3月期決算で、一部上場企業に勤める人の平均年収は620万円ほど。大手で働けば収入が増えるというほど、現実は甘くありません。
「幸せになれる働き方」と向き合わなければ、人生は好転していかない時代なのです。
働き方次第で、どんな人生になっていくかが決まります。
だから、あなたがしなければいけないことは、「ただ真面目に働く」ということからの卒業です。
真面目に働くことはとても大事なことですが、真面目に働くだけでは変わらないものもたくさんあります。将来の理想のライフスタイルに合わせた働き方を選択しなければ、豊かになんてなれるはずがないのです。
お金なんて、先に出て行くのが普通
私の講演会に参加してくれている受講生と話をしていたときのことです。
「私はお金がすべてじゃないと思います!」と声高に抗議されました。
そのときの講演会は「稼ぐことの重要性」という内容でした。
そのなかで私は「稼がないことは悪だ」とお伝えしました。
なぜなら身内や友人、大切な人を助けようと思ったら、お金がなかったらどうにもならないからです。自分以外の人のことを考えていたら「稼がなくていい」という発想になるはずがありません。自分のことしか考えていないから稼げなくても満足できるのです。
だから「稼がないことは悪だ」とお伝えしたのです。
しかし、その講座のなかではひと言も「人生はお金がすべてだ」なんて伝えていません。
「人生はお金がすべてではありません。ただ、お金は人生で大事なものです」とはっきりと伝えていました。
しかし、彼は「稼ぐ」という話になった途端に、お金の話をするなんて悪いことだ! 人生はお金がすべてじゃない! と、メンタルブロックがかかってしまったのです。
稼ぐのが下手な人は、能力ではなくお金に対するメンタルブロックが問題なのです。
なぜ、お金を稼ぐということに対してネガティブになるのでしょうか?
その原因は、子どもの頃から、お金についての間違えた知識をつけて育ってしまっているからです。
たとえば時代劇では、だいたいお金を持っている人は悪者として登場して、「大黒屋、おぬしも悪よのう」となります。お金を持っている=悪いことをしている、という方程式が成り立ってしまっているのです。
さらに「お金をもらう」ということにも、大きなメンタルブロックがあります。
今年のお正月、親戚の子に会いお年玉を渡しました。するとその親戚が(子どもからすると親が)、
「悪いわね~。ほら! ちゃんとお礼を言いなさい!」
と言っていました。前提が「悪いわね」なのです。
何も悪くなんてありません。素直に「ありがとう」とだけ伝えればいいのです。
そのもらったお年玉も、子どもには渡さずに親が受け取ります。お金を子どもに持たせてはいけない、という前提があるからです。だから子どもに使わせずに、親が子どもの将来のために、と貯金に回してしまうのです。
本当は子どもにお金を使わせるという体験をさせたらいいのです。そんな少額をコツコツと貯めても、たかが知れています。それならお金を子ども自身が使ったほうがいい。
子どものうちに、お金はどう使えばまわりに喜んでもらえるかを知ったり、自分の成長につながるのかを体験したほうが、価値があるからです。
「先に出て行く=損をしている」という思考は捨てる
無駄遣いをしない習慣は、もちろん早いうちに身につけるべきでしょう。
しかし、貯金のことばかり考えて歳を取ってしまうのは危険です。
貯金額を増やすことが目的になってしまうと、大事なことにお金を使うことよりも、貯金額を減らさないことのほうが大事になってしまうからです。
実際、世の中の多くの人は、お金をもらうことと同じくらい、損をすることを嫌います。極端な人になると1円でもマイナスがあると嫌だというわけです。
それは貯金額ばかり見て、自分の成長にお金を使うことをしてこなかったからでしょう。
何かを経験するためには、お金を支払う必要があることが多いです。
新しい知識を身につけるために学ぼうと思ったら、お金を支払う必要があります。
学校に行くのにも、お金を出すのが先です。資格を取るのも、お金を支払わなければ試験を受けさせてもらえません。
お金は、先に出ていくことが当たり前なのです。
「先に出ていくということ=損をしている」と捉えているうちは、大きく得ていくことはできません。
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