(本記事は、岡崎かつひろ氏の著書『なぜ、あの人は「お金」にも「時間」にも余裕があるのか?』きずな出版の中から一部を抜粋・編集しています)
知らなければヤバい働き方の仕組み「キャッシュフロー・クワドラント」
「いい学校に行って、大手企業で働きなさい。独立なんて絶対しないほうがいいから」
私は、子どもの頃からずっと両親にそう言われて育ってきました。
実家は自営業だったのですが、それほど豊かなほうではなかったように思います。
じつに、さまざまなビジネスに取り組んでいました。
塾経営、賃貸仲介、弁当屋、ドライブイン、ゲームセンター……いずれも始めたときはいいのですが、しばらくするとうまくいかなくなり、また次へ次へと仕事を変えることになりました。
地域に子どもが多いからと塾を始めてみても、少子化の影響を受けて塾生も減っていく。人を雇うにもお金もないし、あったとして思った通りに動いてくれるとは限らないからといって人は雇わず、基本的に家族経営という形で商売の広がりもなく、撤退して次の仕事を始めていく。不動産屋も弁当屋も、どの仕事も同じようにして次から次へと変えていくことになる──。
それを私も見ていましたから、子どもながらに「自分で商売なんてやるもんじゃない」と心から思っていたのです。
しかし、世の中を見るとビジネスで成功して経済的自由を手に入れている人がたくさんいます。同じ「起業」なのに、なぜそんな違いが起こるのでしょうか?
その答えは、働き方には種類があるからなのです。
働き方の種類には、大きく4種類あります。
E……employee(会社員・アルバイト・派遣社員・雇われ社長) S……self–employee(自営業) B……business–owner(ビジネスオーナー) I……investor(投資家)
これを、『金持ち父さん貧乏父さん』で世界的に著名なロバート・キヨサキ氏は「キャッシュフロー・クワドラント」と呼びました。それぞれに働き方の違いがあります。
【Eクワドラントの特徴】
Eクワドラントは多くの人が経験をしている働き方だと思います。私も社会人になった当初、この働き方をしていました。
Eクワドラントの特徴は、「時間→収入」にしていることです。
長い時間働くことがより多く収入を得るための手段となります。単価を上げることで収入自体を上げることはできますが、収入が時間に比例することに変わりはありません。
【Sクワドラントの特徴】
一般的に自営業と言われる働き方です。もしくは弁護士や医者、独立系のSEの方などのスペシャリストと言われるような方もここに入ります。
Sクワドラントの特徴は、「時間→売上→収入」と変えているということです。
時間を売上に変え、そのなかから収入を得ます。売上がどんなに大きくても、原価が高ければ収入を得ることはできません。売上を上げながら、さらに収入を上げることを考えなければならないので、もっとも忙しいクワドラントになります。
【Bクワドラントの特徴】
最近では広く耳にするようになったビジネスオーナーという言葉。この言葉に該当する日本語はありません。「社長」といっても、Sクワドラントの場合もあればBクワドラントの場合もあるからです。
Bクワドラントの特徴は、「時間→仕組み」と変えていきます。
時間を、パイプラインを引くことに使っています。パイプラインを引くまでは時間がかかりますが、引き終わったあとは、Sクワドラントの人や取引先に仕事を任せることで収入を得るため、あとから経済的自由を得ることができます。
【Iクワドラントの特徴】
投資家といわれる働き方です。私の投資家の定義は、「長期的に安定した利益を生み続ける資産を保有し、ラットレースを抜けられる状態の人」を指します。
Iクワドラントの特徴は、「お金→仕組み」に変えています。
お金を仕組みに変える働き方です。ですからもっとも時間的自由が手に入りやすいクワドラントですが、同時に多額のお金が必要となります。
たまに「株式投資をしているから投資家」と思っている方もいるようですが、ラットレースを抜けられているか?安定した収入を得ているか?が鍵になります。
単なる売買益目的や、長期保有していてもラットレースを抜けるほどになっていないのであれば、それはIクワドラントではなくSクワドラントとなります。
●最初はBクワドラントを目指せ
話は戻りますが、私の実家は自営業をしていました。
一般的には「社長」とも言えるわけですが、ここまでお伝えした通りクワドラントではSだったわけです。ですから経済的自由人のような生活を送ることはできず、時間とお金に追われることになってしまっていたということなのです。
もしあなたが経済的自由人になりたいのならば、まずBクワドラントのビジネスオーナーを目指し、そこで得た収入でBとIのかけ算をしていくという道筋が、もっとも現実的な方法になるでしょう。
はたして、サラリーマンは損をしているのか?
質問です。あなたにとって「収入」とは何を指していますか?
「おいおい、なに急に馬鹿なこと聞いてくるんだよ」と思うかもしれませんが、じつは「収入」といったときに、人によって指しているものが違うのです。
Eクワドラントの人の多くは「額面」といわれる、税引き前の収入を指す方が多いでしょう。ご存じのように、額面と手取りは違います。実際に使える金額は手取りになるわけですが、会社員の方は額面を収入ということが多いです。
では、Eクワドラント以外の人は「収入」をどのように考えているのでしょう?
それは「可処分所得」で考えている方が多いです。
シンプルに「使えるお金はいくらか」だと思っていただけたら問題ありません。それって手取りと何が違うの?と思うかもしれませんが、Eクワドラントとそれ以外のクワドラントではまったく意味が異なります。
私が起業するきっかけになった友人がいます。彼から衝撃の一言をもらいました。
「岡崎、いいか。サラリーマンは損してるんだ。普通、商売してる人は売上から経費を引いてから税金を支払う。当たり前だよな。だって売上を上げるには仕入れもいるし、活動経費もかかる。
でもサラリーマンはどうだ?給料から自動的に税金を引かれて、しかも税金を引かれているところからさらに消費税まで払うことになっている。これって損だろ?個人事業主の場合、自宅はオフィスにもなる。だから家賃が経費として認められるんだ。
サラリーマンだって本当は働くためには家が必要だから、経費にしたっていいと思わないか?ほかにも交通費や交際費だってかかるけど、一切経費には認められない。サラリーマンってのは、もっとも損な働き方なんだよ」
私の実家は自営業だから薄々気づいてはいましたが、衝撃でした。
そう言われてみると、会社員をしていると基本的に経費が認められません。もちろん税金を支払うことはとても大事なことですから、それを悪とは思いませんが、自分がどれだけ税金を払っているのか、それは適切なのか、は考えなければならないのです。
●税金の知識も、最低限おさえておこう
税金の仕組みの違いは、このようになっています。
厳密に言えば所得控除などがありますが、それほど大きくないので、ここでは考慮せず概要でお話しします。
【会社員】 額面×実効税率(約30%)=税金
【個人事業主】 売上‐経費=利益 利益×実効税率(約30%)=税金
ここで仮に、職業がSEと仮定して計算してみましょう。
年収500万円のSEの場合、会社員と個人事業主ではどのくらい違いが出るでしょうか?どちらも年間300万円使っているものとします。
【会社員】 500万円×実効税率(約30%)=150万円(税金)
この会社員の方が、仮に個人事業主に雇用形態を変えたとします。
すると、家賃も半分は事務所として経費になります。
また人に会う場合にも、直接的な場合も間接的な場合も、必要な交際費であることが多いです。全部とは言わずとも、普段使っている300万円のうち半分、150万円は経費として認められる可能性は高いでしょう。
すると計算はこうなります。
【個人事業主】※家賃や交際費等の半分が経費として認められたと仮定 500万円‐(300万÷2)=350万円 350万円×実効税率(約30%)=105万円(税金)
あら、不思議。経費を認められると、年間45万円も税金の支払いが少なくなる計算になります。もちろんこれは概算であって、まったくこの通りになるわけではありませんが、多くの場合、個人事業主になって経費の申請をしたほうが、税金の支払いが少なくなることが多いのです。
繰り返しですが、納税することはとても大事なことですから、節税目的の法人設立や不当な経費の計上はよくありません。
しかし税金について無頓着で会社任せでは、残念ながらファイナンシャルリテラシーが上がらないのも確かです。
ほとんどの方は「めんどくさい」と言って、こういった税金の申告など勉強しません。しかし、諸外国では会社員の方も自分で確定申告するのが普通なのです。会社が代行して何もしないでいい国ばかりではないのです。
仮に結婚して夫婦共働きで収入を得た場合、生涯賃金は平均3億円ほどになります。
所得税や住民税、消費税のほか、家を持てば不動産所得税の支払い、車を持てば自動車税の支払いなどさまざま。日本の税の種類は40を超えるほど、たくさんあるのです。
ですから3億円の世帯収入があった場合、概算で税金の支払いは9000万円〜1億円にはなってきます。
そこまで大きな金額を支払っているのに、税金に無頓着なままで本当にいいのでしょうか?すべてをこまかく知る必要はないですが、まず給与明細書に興味を持ってみて、自分がどれだけの税金を支払っているのか知ってみましょう。
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