要旨
- 東南アジア経済は、米中対立の激化を背景とする世界経済の減速や半導体不況の継続で輸出停滞が続き、内需に悪影響が波及している。内需は物価と雇用環境の安定で民間消費が底堅さを保ち、経済政策による支援もあるが、外需の悪化を相殺できず、景気の減速傾向が続いている。
- 消費者物価上昇率は、食品インフレで短期的に上昇する国があるものの、成長モメンタム鈍化や国際商品市況の落ち着きなどが物価押下げ要因となり、安定推移が続くと予想する。
- 金融政策は各国中銀が緩和的な政策スタンスを続けるものと予想する。国別に見ると、20年前半にかけてフィリピンとインドネシアがそれぞれ2回の利下げ、マレーシアとべトナムがそれぞれ1回の利下げを実施すると予想する。
- 経済の先行きは、輸出が来年初に底入れ、内需が2020年度政府予算で積み増しとなった公共投資の実行や財政・金融政策の効果により底堅さを保つことで景気が下げ止まり、2020年の成長率は横ばい圏で推移すると予想する。