ベントレー マリナーが究極のコーチビルディングへと回帰! その先陣を切る高級2シーターオープンGT「バカラル」が登場。生産台数は12台限定

 英国ベントレーは3月3日(現地時間)、高級2シーターオープンGTのニューモデル「バカラル(Bacalar)」を発表した。生産台数は限定12台で、すでに受注予約は完了。製造はベントレーのビスポーク(注文品、誂え品の意)とコーチワークを担う部門のマリナー(Mulliner)のスペシャリストがハンドメイドで実施する。ちなみに、車名のバカラルはメキシコのユカタン半島にあるバカラル湖に由来。「2シーターのオープンカーが魅せる究極のラグジュアリーを具現化した、最高峰のグランドツアラー」と美しいバカラル湖の風景を結合して命名している。

CAR and DRIVER
▲ベントレー マリナー「バカラル」 製造はベントレーのビスポークとコーチワークを担う部門のマリナー(Mulliner)のスペシャリストがハンドメイドで実施する。生産台数は限定12台

 究極のコーチビルディングへと回帰するベントレー マリナーが手がけた「バカラル」は、ベントレー創立100周年を記念して2019年夏に発表されたコンセプトカーの「EXP100GT」をモチーフに、独自の未来的な車両デザインをふんだんに盛り込んだことが特徴である。基本コンポーネントはベントレーの高級2ドアモデル「コンチネンタルGT」がベース。ただし、ボディパネルの大半はバカラル専用で、リアクラムシェルとトップデッキにはアルミニウム材を、ドアとフェンダーにはカーボンファイバー材を採用する。一方、ドアハンドルだけはキーレスエントリーシステムを組み込む関係で、ベース車と同じパーツを装着した。また、テーパー形状のリアクラムシェルは往年の「バルケッタ(小舟)」スポーツカーを彷彿させる造形で構成。さらに、深みのあるメタリック仕上げのボディカラーは、もみ殻の灰という環境に配慮した素材を使用している。足もとについては、ビスポークの22インチトラ イフィニッシュホイールを装着したことが特徴。リアトレッドはベース車比で20mmほど拡大した。

CAR and DRIVER
▲リアクラムシェルとトップデッキにはアルミニウム材を、ドアとフェンダーにはカーボンファイバー材を採用。横長のヘッドライトとテールライトは「EXP100GT」がモチーフ

 インテリアに関しては、ラップアラウンドデザインのコクピットを採用して2シーターオープンならではの内外装の融合を効果的に図ったことが訴求点である。角度をつけた新造形のセンターコンソールおよびダッシュボードからドアへとシームレスなラインを描き、包み込むようなラインがそのままリアへと向かう造形は、スポーティかつラグジュアリーなムードが満点だ。また、シート後方には半密閉式のラゲッジスペースを用意。ここには、特注のスケドーニ製トラベルケースがきれいに収まるようアレンジしている。一方、各部の素材についてはユーザーの好みに合わせた仕様の選択が可能。上質なアルカンターラのほか、5000年以上前の倒木から採取した木材"リバーウッド"、高級スーツと同レベルのウール地、最高級のBelugaレザーやKhamunレザーなど、贅を尽くしたマテリアルを豊富に設定した。

CAR and DRIVER
▲ラップアラウンドデザインのコクピットを採用して2シーターオープンならではの内外装の融合を効果的に図る。ステアリングホイールには新設計のDシェイプを装着
CAR and DRIVER
▲サポート性を高めたうえで上質なレザー表地を貼ったバケットシートを装備。シート表地や内装パネルのマテリアルはユーザーの好みに合わせた仕様が選択できる

 パワーユニットについては、強化版の6リットルW12 TSIツインターボエンジン(659ps/900N・m)を搭載。トランスミッションには8速デュアルクラッチAT、駆動機構にはアクティブオールホイールドライブ(AWD)を組み合わせる。また、ハンドリング性能と走行安定性を高める48V電動式アクティブロールコントロールの「ベントレーダイナミックライド」も設定した。

CAR and DRIVER
▲パワートレインは強化版の6リットルW12 TSIツインターボエンジン(659ps)+8速デュアルクラッチトランスミッションで構成。駆動機構にはアクティブオールホイールドライブ(AWD)を採用する

 なお、ベントレー マリナーはバカラルの発表と合わせて、「クラシック」「コレクション」「コーチビルド」の3部門を新設すると発表。今後、その活動がますます勢いを増しそうだ。

Writer:大貫直次郎

(提供:CAR and DRIVER