お金持ち入門
(画像=Bill Kret/Shutterstock.com)

(本記事は、土井 英司氏の著書『お金持ち入門 資産1億円を築く教科書』実業之日本社の中から一部を抜粋・編集しています)

● 新興国に資金を分散させる本当の意味

50年後には中国が米国を抜き、国内総生産(GDP)で世界トップに躍り出るのは間違いなさそうです。2位にはインドが続くと見られています。

なぜ、こうした大きな成長の可能性を秘めた地域へ資金を分散させることが、お金持ちへの道につながるのでしょうか。

● 経済成長を決める3つの要素

私(木村)が新興国投資をすすめる理由は、日本経済が今後、頭打ちの色合いを一段と濃くする可能性が高いためです。

投資を考える上で「人口増」のチェックは必須です。

経済成長は生産人口、資本、労働生産性の3要素によって決まると一般にいわれます。

このうち、日本では少子高齢化に伴い、生産年齢人口の減少が避けられない情勢です(わが国では「15歳以上65歳未満の人口」を「生産年齢人口」と定義しています)。

内閣府がまとめた「平成26年版高齢社会白書」によれば、生産年齢人口は2015年の7,682万人が、2030年には6,773万人まで減り、さらに2060年には4,418万人になってしまうといいます。

一方、世界規模では人口増が続く見込みです。

「国連世界人口推計2012年版」によれば、2013年の世界人口は71億人あまりで、2100年には108億人超に達するといいます(中位推計)。

● 人口が5倍に跳ね上がるアフリカ諸国に世界のお金が集まる

その牽引役はアフリカです。

2013年の約11億人から2100年には30億人あまりが上乗せされて42億人になる見通しです。

ブルンジ、マラウイ、マリ、ニジェール、ナイジェリア、ソマリア、ウガンダ、タンザニア、ザンビア各国の人口は、2100年までには少なくとも5倍に跳ね上がる見込みです。

アフリカの人口増に伴い、こうした地域の経済成長への期待が膨らみます。

政情不安、治安悪化に悩まされる地域や内戦の傷が癒えない国もあるのは事実ですが、かつての「暗黒大陸」の面影は薄らぎつつあるようです。

「世界最後の巨大市場」が世界からの直接投資を呼び込んでいます。

アフリカ以外ではインドの可能性も期待できます。中国の人口は2025年に14億人でピークといわれている一方で、インドは2028年までに中国の人口を追い抜くといわれています。

● 発展途上国の人口が世界の9割に増大

アジアも2100年までに4億人程度の人口増加が見込まれています。一方、ラテンアメリカとカリブ地域並びに北米はいずれも1億人強の増加にとどまりそうです。欧州の人口は減少が想定されています。

この結果、いわゆる発展途上国の人口の世界全体に占める割合は2013年の82.5%から2100年には88.2%まで拡大する見通しです。

● 世界で一番人口の伸び率が高くなる都市は?

世界の1,000万人以上の都市のうち、2011年から2025年にかけて人口の伸び率がもっとも高くなるのはどこでしょうか。

それは、ナイジェリアのラゴスです。

ナイジェリアの国内総生産(GDP)は南アフリカを上回り、いまやアフリカ第一の経済大国に躍り出ました。ラゴスには高層ビルが軒を連ねます。

格差などの問題を抱えますが、通信技術の産業集積が形成され、世界の投資資金を引き寄せています。映画産業も雇用創出に貢献しており、「ナリウッド」などと称されるほどです。

人口の伸び率でラゴス以下は、バングラデシュのダッカ、中国の深圳(しんせん)、パキスタンのカラチ、インドのデリーの順です。新興国の主要都市が軒並み、上位に顔を並べています。

● 投資先を選ぶには「人口推計」に着目する

ただ、一概に新興国とはいってもひと括りにはできません。日本で手に入る情報には限りがあり、どの国に投資したらいいのかわからないという人も少なくないはずです。その点、国連などの人口推計はかなり確実なデータです。

投資先選びの指針になり得ます。30年後にどのような商品がヒットするのか、あるいはどのような企業が大化けするのかを予測するのは非常に困難、むしろ不可能といっていいでしょう。

しかし、人口が増加すれば個人消費が活発になり、それに伴って経済規模が拡大するといった見極めはある程度できるはずです。

● アフリカ情報を得るなら「フィナンシャル・タイムズ」

それでも、新興国の資産に投資する場合にはマクロ統計以外の何らかの情報が欲しいと思うでしょう。そういう場合、アフリカ関連の情報が充実しているという観点から、英国の金融経済紙フィナンシャル・タイムズに目を通すことをおすすめします。

米国の経済紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」は最近、アジア関連の情報を充実させていますが、アフリカ関連情報に関しては偏りがある印象です。

一方、旧宗主国であるイギリスの“老舗紙”は、ロンドンに集まるアフリカ各国の情報を網羅しています。それに比べると、日本のメディアは総じてアフリカ関連のニュースに弱く、私(木村)にいわせれば、残念ながら投資の情報としてはほとんど役に立ちません。

● ウェブ版を斜め読みするだけでもOK

最近は「フィナンシャル・タイムズ」のウェブ版も充実しています。すべてのページをチェックする必要はありません。新興国関連の情報が掲載された箇所だけに目を通せばOKです。

それとともに、マクロの統計も見ながら投資対象を絞り込みます。

個別株ならばやはり、アジアかアフリカの企業です。その他の新興国については、インデックス連動型ETFの購入などを通じて、自らのポートフォリオに組み込むなどの対応で十分でしょう。

● 新興国投資は長い目で見よう

新興国への投資では、日々の値動きに一喜一憂する人がいます。それは間違いです。

1日だけで損した」「得したなどと騒ぐのはナンセンスというしかありません。

時間軸を長めに設定しましょう。

「いまから10年後、20年後、30年後に5倍や10倍になりました」ぐらいの感覚で臨みます。

新興国資産への投資というととかく、リスクの大きさばかりが強調されがちです。しかし、実際の考え方はいたってシンプルです。

長期的な成長が見込める地域があるのならば、そこへ長期にわたって資金を振り向ける。

これだけのこと。

成長に不安がある地域は最初から投資対象としなければいいのです。

お金持ち入門 資産1億円を築く教科書
土井 英司
エリエス・ブック・コンサルティング代表。日本で一番お金の本を読み、プロデュースし、投資を実践する。「アマゾンのカリスマバイヤー」として多くのベストセラーを生む。2004年に独立後は数多くの著者のブランディング、プロデュースを手掛け、『年収200万円からの貯金生活宣言』『投資信託選びでいちばん知りたいこと』などお金の本でのヒットも多い。「フレキシブルに、アグレッシブに」の思考法で、株式で数千万円、不動産で数億円を投資する実践家でもある。

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