(本記事は、加藤俊徳氏の著書「脳が若返る最高の睡眠 寝不足は認知症の最大リスク」小学館の中から一部を抜粋・編集しています)
眠れない自分の脳を知るためには、まず、どの脳番地が眠れていないかを知る必要があります。
私が主宰する「脳の学校」では、脳番地診断SRIとして、インターネット上でできる脳番地診断システムを提供しています。
「脳番地診断SRI」(https://www.nonogakko.com/information/ )は、医療用MRI装置を使った本格的に診断するMRI脳画像診断と違って、問診に答えるだけのシンプルな自己申告型脳診断法です。
この方法を簡略化して不眠対策用の脳番地診断をしてみましょう。
次の24問に○と×で答えてください。ここ1か月間の生活で該当するものにチェックをしてください。
- 1. 家に帰っても、残った仕事のことを考えている。 2. 明日の予定を考えていて、止まらない。 3. お金が足りなくなりそうと心配になる。 4. 昼間のできごとが気になって頭から離れない。 5. 10年前のつらい思い出がよみがえる。 6. 他人に嫌われたと思うと、そのことが頭から離れない。 7. 明日、人と会う。どうしようと不安になる。 8. カラオケや飲み会など、好きじゃないものに誘われても断れない。 9. 発表会やプレゼンなど、人前に出ることが苦手。 10. テレビの怖い場面が、頭に残って離れない。 11. 人と目を合わすことが苦手。 12. 夜間によくコンビニに行く。 13. 人に言われた嫌みな言葉が残っている。 14. 好きな音楽が、耳から離れない。 15. 嫌な音が聞こえる時がある。 16. ブレーキとアクセルを踏み間違えることがたまにある。 17. ふと、ゴルフのスイングをやってしまう。 18. 駅で人とぶつかりそうになる。 19. 部屋の中がぐちゃぐちゃ。 20. 人とのトラブルが解決しない。 21. 他人の言っている意味が理解できないことが多い。 22. 上司と合わない、やってられない。 23. 昔の失敗が気になる。 24. 家族や友人とケンカしがち。
寝不足脳番地診断の結果判定法
どこに〇が付いたかで、眠れなくなっている脳番地が判定できます。
- ○1〜3. → 思考系脳番地 ○4〜6. → 記憶系脳番地 ○7〜9. → 伝達系脳番地 ○10〜12. → 視覚系脳番地 ○13〜15. → 聴覚系脳番地 ○16〜18. → 運動系脳番地 ○19〜21. → 理解系脳番地 ○22〜24. → 感情系脳番地
さて24問中、合計で何問〇が付いたでしょうか?
- ○の数が0〜5問→快適な睡眠を継続できています。
- 6〜12問、睡眠障害の危険性が高まっています。
- 13問以上の方は、積極的に脳番地睡眠法を実践していきましょう。
さらに、各脳番地3問中2問以上〇が付いたら、その脳番地があなたの弱い脳番地と考えて、集中的に対処していきましょう。
脳番地睡眠法の基本は、日中に歩くこと
寝不足になりやすい脳番地が分かったところで、さっそく脳番地睡眠法を実践していきましょう。
脳番地睡眠法は、寝不足に陥りやすい脳番地を日中に集中的に攻略する方法です。この方法は、私が、「脳番地トレーニング」と呼んでいるものです。使っていない脳番地は眠りにくいので、そこを意識してトレーニングすることで日中に脳全体を活性化し、夜間に眠りやすくする、という方法です。
さらに、寝不足に陥りやすい脳番地を、入眠時にいろいろな方法で休息させ、スムースに睡眠へ導くという方法です。
日中、私たちは活動のために、目を開き、耳を使い、手足を動かし、他の人と会話をします。つまり、視覚系・聴覚系・運動系・伝達系の4つの脳番地を活動させます。この4つの脳番地の活動の中心は、運動系脳番地です。この脳番地は、動いて行動するだけで、また、人と会うことだけで、自ずと活性化します。
一方、部屋に閉じこもり、ほとんど誰にも会わないという「ひきこもり」などの状態では、夜間にこれらの脳番地の眠る理由がなくなります。
ですから、いつまでたっても寝付けないで寝不足になったときには、むしろ、日中に歩いてください。どのくらい歩くべきかといいますと、私の経験も踏まえて、毎日1時間です。30分では少なすぎます。ただし、家事をしたり、室内で日中に動き回っている人は、30分でも十分でしょう。日中に歩くことで、夜間にスムースに入眠できる脳がつくれるのです。
次に対処すべきは、理解系・感情系・思考系・記憶系の4つの脳番地です。この4つの脳番地は、人が感じて考える時に働く部分で、夜間も活動を継続していると、徐波睡眠に移行できず、睡眠が深くなりません。また、レム睡眠中もこの4つの脳番地は働くので、とてもコントロールすることが厄介です。
それに対して、視覚系・聴覚系・運動系・伝達系の4つの脳番地は夜間、直接的な情報入力はほとんどなくなります。睡眠時は、顕著です。目は閉じ、耳はほとんど使わず、動かず、もちろん話はしません。そして、外部からの情報もほとんどなくなります。暗くて、静かです。
この刺激の少ない夜間の脳では、記憶系の整理が始まります。同時に思考系脳番地にある「様々な考え」がよみがえり、感情系脳番地も働きます。これらが、眠りを妨げます。「考え」も「快」「不快」も、脳活動を引き起こし、眠りに落ちることを許してくれないのです。このように、理解系・感情系・思考系・記憶系の4つの脳番地を夜間にコントロールすることが、重要な課題になります。その方法は1日の出来事を日記に書くことです。