中国経済の回復を見越して、多くの投資家が今、中国株に資金を投じている。

今回は、初心者向けに中国株の魅力やリスク、注目されている理由を解説する。そのうえで、中国株を購入できる証券会社も比較する。中国株の正しい知識を身に付け、ポートフォリオ再考のヒントにしたい。

なぜ今、中国株が注目されているのか?

中国株
(画像=PIXTA)

中国株に資金が流入している理由は、景気回復への期待感だ。中国を取り巻く情勢が好転することで、経済がV字回復するのではないかという専門家の見方も出ている。中国政府が市場の安定化を目指し、金融面で企業をサポートする動きを見せていることも、中国株が注目される理由の一つだ。

世界的な投資家やヘッジファンドが中国株に注目し始めたことに伴い、個人投資家の中でも中国株を保有する動きが出始めている。

中国株にはリスクもあるため、しっかりと知識を身に付けたうえで投資の選択肢の一つに加えるようにしたい。

初心者が押さえておきたい中国株の基礎知識

中国株には、独自のルールが存在する。まず、中国株に投資するなら最低限知っておきたい知識について、初心者向けに分かりやすく解説する。

中国株を買える3つの取引所「香港・上海・深セン」

中国株は、香港取引所・上海取引所・深セン(しんせん)取引所の3つの取引所で購入できる。香港取引所に対し、上海取引所・深セン取引所の2つをあわせて、中国本土の取引所と呼ぶこともある。

香港取引所は、海外の個人投資家への保有制限はないため、どの株式も取引対象となる。それに対し、上海取引所・深セン取引所では、海外の個人投資家への保有制限が存在するため、注意が必要だ。

また、それぞれの取引所には、特有の制度がある。

香港取引所の「メインボード・GEM」

まず、香港取引所について説明する。香港取引所にある株式はすべて、海外の個人投資家でも取引できる。

香港取引所には、「メインボード」と「GEM」がある。

上場企業数は、2020年4月現在、メインボードが2,095社、GEMが377社となっている。時価総額は、メインボードが32兆3,840億香港ドル(日本円で約452兆8,153億6,000万円)、GEMが940億香港ドル(日本円で約1兆3,143億7,000万円)だ。

もともとGEMは、新興企業を対象として創設された経緯がある。そのため、メインボードと比べて公開基準もゆるやかで、時価総額からも分かるとおり中小型の株式が中心だ。

最近では、認知度向上のため、GEMからメインボードに指定替えをする企業も存在する。

香港取引所の「H株・レッドチップ・香港株」

香港取引所の株式は、「H株」「レッドチップ」「香港株」の3つに分けられる。

H株(えいちかぶ)とは、香港取引所に上場している、中国本土で登記された中国企業のことだ。そのため、中国本土の法律が適用される。H株のHは、「Hong Kong(香港)」の頭文字をとって名付けられたものだ。

企業としては、香港取引所に上場することで、海外の個人投資家への認知度向上を図ることができる。香港取引所に上場した場合、取引は香港ドルで行われる。

レッドチップとは、中国本土以外の香港・マカオ・台湾、もしくは海外を登記地としている会社の株式だ。取引通貨はH株同様、香港ドルとなる。

なお、レッドチップには中国政府資本が30%以上という要件がある。政府資本が入っており安全性が高いため、優良銘柄の「ブルーチップ」に対し、中国共産党のシンボルカラーである赤にちなんで、レッドチップと呼ばれるようになった。

香港株とは、H株・レッドチップのどちらにも該当しないもの指し、その他の香港株と呼ばれることもある。香港の地場企業や、海外の香港上場企業のうち、中国政府資本が30%に満たないものなどが含まれる。

上海・深セン取引所の「A株・B株」

上海・深セン取引所には、それぞれ「A株」「B株」という2つの市場がある。このうち、無条件で海外の個人投資家に開かれているのは、B株(びーかぶ)だ。

A株(えーかぶ)については、海外の投資家の持ち株比率は30%までと制限が加えられている。また、一外国人投資家の場合、個別銘柄の持ち株比率は10%までだ。

上海取引所のA株は人民元で売買され、B株は米ドルで売買される。一方深セン取引所では、A株は人民元で売買され、B株は香港ドルで売買される。時価総額や上場企業数は、A株がB株を上回る。

上海・深セン取引所の「科創板・中小板・創業板」

上海取引所のA株には、「メインボード」と「科創板(かそうばん)」の2つがある。2020年4月現在、メインボードの上場企業数は1,410社、科創板の上場企業数は94社だ。

また、メインボードの時価総額は30兆8,416億人民元(日本円で約431兆3,113億2,000万円)、科創板の時価総額は1兆2,004億人民元(日本円で約16兆7,872億6,000万円)となっている。

科創板はもともと、ハイテク企業の育成を目的として始まった。半導体や車載電池など、ハイテク関連の技術革新を担う企業が上場している。スタートは2019年7月なので、比較的新しい市場と言える。

なお、上海取引所のB株はメインボードだけだ。上場企業は50社で、時価総額は670億人民元(日本円で約9,368億円)となっている。

深セン取引所のA株には、「メインボード」「中小板」「創業板」の3つがある。2020年4月現在、メインボードの上場企業数は460社、中小板の上場企業数は948社、創業板の上場企業数は804社だ。

また、メインボードの時価総額は7兆1,022億人民元(日本円で約99兆3,042億3,000万円)、中小板の時価総額は9兆8,404億人民元(日本円で約137兆5,902億3,000万円)、創業板の時価総額は6兆5,447億人民元(日本円で約91兆5,091億6,000万円)だ。

創業板は、中小企業の資金難を解決し、中国企業の持続的な発展を実現することを目標としており、「中国版ナスダック」と呼ばれることもある。

なお、深セン取引所のB株はメインボードだけで、上場企業数は46社、時価総額は449億人民元(日本円で約6,277億9,000万円)となっている。

中国株のリスクを知って正しく備える

投資である以上、中国株にはリスクもある。

一般的な投資リスクは、次のようなものだ。

価格変動リスク
株価が変動し、投資金額を下回る可能性がある。

信用リスク
企業の財務状況が悪化し、株価が下がったり、最悪の場合は倒産したりする可能性がある。

流動性リスク
銘柄や市場環境によって、取引量には格差がある。そのため、場合によっては売買したいタイミングで売買が成立しない(約定しない)可能性がある。

これらに加えて、他の外国株式に投資する場合と同様に、次のようなリスクにも留意する必要がある。

為替変動リスク
日本円と外国通貨の交換レートである為替が変動することで、損失が出る可能性がある。

カントリーリスク
カントリーリスクには、国の政治や政策の大幅変更によって生じる政策リスクがある。政変や革命などで、日本ではなじみがないかもしれないが、新興国では起こりうることだ。また、国際収支の悪化に伴い、該当国通貨と日本円の交換ができなくなる国際収支リスクもある。

世界中から注目される中国株は、高いリターンが期待できる投資対象と言えるだろう。一方で、新興国に属する中国株には、相応のリスクも存在する。

例えば、日本とは違い、複数の会計基準を採用している企業もあるため、財務情報を見るときは注意が必要だ。また、法制度の未整備によって、リスクが内包されていることや、企業情報の信頼性に疑問符がつく場合がある。

こういったリスクがあることをよく理解し、中国株に投資した後は、株価の変動や中国に関するニュースに十分気を配るようにしたい。

魅力の詰まった中国株をポートフォリオに加えよう

最近では、iDeCoやつみたてNISAで堅実に積み立てたり、投資信託で長期投資をしたりするという手法を多くの人が採用している。一方で、こういった初心者向けの制度では、投資の醍醐味を味わえないと考える個人投資家も多い。

中国株には、確かに日本株にはないリスクがある。だからこそ、市況を見極めながら利益をあげる、株式投資本来の楽しみが詰まっているとも言えるだろう。

また、中国株の仕組みは複雑なため、A株・B株といった専門用語だけで中国株を敬遠し、チャンスを逃してしまう投資家も少なくない。しかし、世界中から中国株が注目されている今、中国株をポートフォリオに加え、投資家として新たなステージを目指してみてはいかがだろうか。

※本ページは特定の商品、株式、投資信託、そのほかの金融商品やサービスなどの勧誘や売買の推奨等を目的としたものではありません。本ページに掲載されている情報のいかなる内容も将来の運用成果または投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。最終的な投資決定はご自身の判断でなさるようお願いいたします。