2024年からスタートする新NISA。今回は、これまでのNISAと新NISAの違いや、新NISAにロールオーバー(移管)する場合の注意点について、わかりやすく解説します。既にNISA口座を利用している人や、これからNISAを始める予定の人はぜひ参考にしてみてください。

これまでのNISAの仕組みを簡単におさらい

NISA
(画像=PIXTA)

本来、投資で運用益が得られると、約20%の税金がかかります。NISA(少額投資非課税制度
)とは、一定金額の範囲内であれば、運用益にかかる約20%の税金を非課税にするという制度です。

NISAには、「一般NISA」「つみたてNISA」「ジュニアNISA」の3つがありますが、ジュニアNISAについては利用実績が乏しいため2023年に廃止されることになっています。

一般NISAとつみたてNISAの違いを簡単に比較すると、次の通りです。

非課税投資枠非課税期間投資対象購入方法
一般NISA(2014年~)120万円5年間株式・投資信託等スポット・積立
つみたてNISA(2018年~)40万円20年間一定の投資信託等積立

つみたてNISAでは、金融庁が認可した「リスクが低くわかりやすい投資商品」のみが対象とされています。2020年4月1日現在の対象商品は181本。

これに対して一般NISAは、対象商品が幅広いことが特徴です。しかし、「初心者にはリスクが高い」「老後資金への積立という趣旨から逸れている」といった批判がありました。これをうけて、2020年度の税制改正でNISA制度全体の見直しが行われました。

新NISAは2024年から開始!主な変更点は?

つみたてNISAについては、制度自体が2037年までとされていましたが、2042年までに延長されました。大きく変わったのは一般NISAで、新NISAは2024年から始まります。なお、現行制度同様、つみたてNISAと新NISAは併用できず、どちらか一方を選択することになります。

新NISAでは、つみたてNISA対象商品の積立を行う「1階部分」と、一般NISA対象商品に投資する「2階部分」にわけられることになりました。年間の非課税枠は1階が20万円、2階が102万円で、非課税期間は5年間です(合計610万円)。

そして、投資初心者は1階部分の積立を行わないと、2階部分の投資ができないこととされました。なお、投資経験者なら、届出をすることで2階部分のみ利用することも可能です。

一般NISAから新NISAにロールオーバーする時の注意点

これから一般NISAを始めたとして、新NISAにロールオーバー(移管)する時にどうなるのか気になる人は多いでしょう。

NISAでも新NISAでも、非課税期間は5年間です。しかし、5年間の非課税期間が終了したあとも、ロールオーバー(移管)手続きをすることで、再度5年間非課税で運用できます。ロールオーバーの手続きを忘れると課税口座に移管されてしまうため、注意が必要です。

では、2024年に非課税期間が終了しロールオーバーする時、新NISAの非課税投資枠122万円を超えていたらどうなるのでしょうか。実はこの場合も、すべてロールオーバーできるため、心配はいりません。

一方、ロールオーバーする金額が122万円以内の場合は、2階部分から枠が埋まっていくことになります。

たとえば、60万円を新NISAの非課税講座にロールオーバーした場合、残りの非課税投資枠は下記の通りです。

当初の非課税投資枠   ロールオーバー後の非課税投資枠
2階部分102万円    42万円(102万円-60万円)
1階部分20万円     20万円

しかし新NISAでは、1階部分の投資が原則必須となるため、42万円の投資枠を新たに使うには、1階部分の20万円の積立を始めなければなりません。20万円の積立を行えば、残り42万円の非課税投資枠も使うことができます。

今回の制度変更には、「わかりにくくなった」という批判もありますが、投資枠が年間2万円増えていることから基本的には投資家にプラスに働く改正です。資産形成を考えているなら、数年先の制度変更まで見据えて投資を始るとよいでしょう。(提供:Wealth Road