結果の概要:着工、許可件数ともに前月から増加に転じるも、市場予想は下回る

米国,住宅着工・許可件数
(画像=PIXTA)

6月17日、米国センサス局は5月の住宅着工、許可件数を発表した。住宅着工件数(季節調整済、年率)は97.4万件(前月改定値:93.4万件)と89.1万件から上方修正された前月値を4ヵ月ぶりに上回った一方、市場予想の110.0万件(Bloomberg集計の中央値)は下回った(図表1、図表3)。

住宅着工許可件数(季節調整済、年率)は122.0万件(前月改定値:106.6万件)と、107.4万件から小幅に下方修正された前月を上回ったものの、市場予想の124.5万件は下回った(図表2、図表5)。

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(画像=ニッセイ基礎研究所)

結果の評価:住宅着工・許可件数はは5月に住宅市場が底入れした可能性を示唆

住宅着工件数の伸びは、前月比+4.3%(前月:▲26.4%)と1959年の統計開始以来最大の落ち込みとなった前月から4ヵ月ぶりにプラスに転じた(図表3)。内訳をみると、戸建てが+0.1%(前月:▲23.4%)、集合住宅も+15.0%(前月:▲33.2%)といずれも前月から増加に転じた(図表4)。

前年同月比では▲23.2%(前月:▲26.3%)と2ヵ月連続で2桁のマイナスとなった。内訳は戸建てが▲17.8%(前月:▲22.0%)、集合住宅が▲33.1%(前月:▲35.5%)であった。

地域別寄与度(前月比)は、南部が▲9.7%ポイント(前月:▲10.6%ポイント)、中西部が▲0.2%ポイント(前月:▲2.1%ポイント)と減少が続いた一方、北東部が+0.6%ポイント(前月:▲2.1%ポイント)と増加に転じたほか、西部が+11.1%ポイント(前月:▲10.7%ポイント)と大幅な増加に転じ全体を押し上げた。

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(画像=ニッセイ基礎研究所)

先行指標である住宅着工許可件数は、前月比+14.4%(前月:▲21.4%)と08年7月(▲21.9%)以来の下落率となった前月から増加に転じた(図表5)。戸建てが+11.9%(前月:▲24.7%)、集合住宅も+18.8%(前月:▲15.3%)といずれも前月から増加に転じた(図表6)。

前年同月比は▲8.8%(前月:▲19.8%)と09年10月(▲20.8%)以来の下落となった前月からマイナス幅は縮小したものの、2ヵ月連続で減少した。戸建てが▲9.9%(前月:▲16.8%)と2ヵ月連続、集合住宅が▲7.0%(前月:▲24.5%)と4ヵ月連続の減少ととなった。

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(画像=ニッセイ基礎研究所)

一方、全米建設業協会(NAHB)による戸建て新築住宅販売のセンチメントを示す住宅市場指数は、6月が58(前月:37)と、前月比+21ポイントの統計開始最大の上昇幅となった(図表7)。

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(画像=ニッセイ基礎研究所)

指数の内訳は販売現況が63(前月:42)、販売見込みが68(前月:46)、客足が43(前月:21)と3指数ともに前月から20ポイントを超える上昇となった。

同協会は、高い失業率や地域での感染拡大はリスクとしつつ、戸建ての住宅市場には明らかな勢いがみられているとしており、戸建ての新築販売は底打ちしたとの見方を示している。


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窪谷浩(くぼたに ひろし)
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 主任研究員

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