税理士が教える相続税の知識
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不動産を活用すると相続対策をすることができます。

しかしながら、不動産投資はリスクも伴うため、全ての不動産が相続対策に適しているわけではありません。

残された相続人も安心できるようにするには、相続対策に適した不動産を選ぶことが必要です。

そこでこの記事では「相続対策に適した不動産選びのポイント」について解説致します。

効果は同じでもリスクは異なる

相続税は、一定のルールに基づき計算された財産評価額に対し課税が行われます。

財産の評価ルールでは、特に賃貸マンションや賃貸オフィス等の収益物件は時価よりも低い評価額となるため、相続税を節税することが可能です。

収益物件は、物件によっては時価が1億円相当する不動産であっても3,000万円程度で評価されるようなこともあり、本来の価値より小さな資産を持っているものとして相続税の課税が行われます。

収益物件の相続税評価額の計算方法は、賃貸マンションやアパート、賃貸オフィス、貸店舗等、他人に貸している物件であれば全て同じであり、都市部と地方との間でも立地による差異はないという点が特徴です。

よって、単純に資産の評価額を落とすということに関しては、一般的な収益物件を持つことで一定の相続対策を行っていることになります。

しかしながら、不動産投資という意味においては、物件によるリスクの差異を認識しておく必要があります。

不動産は立地や築年数、用途によって空室や修繕発生、賃料下落等のリスクが異なるため、選ぶ物件によって賃貸経営の難易度も異なってくるのです。

相続対策を行ったとしても、後で大きなリスクを抱えるような対策では意味がありません。

相続対策としては、リスクを加味して不動産を選ぶことが必要です。

相続対策に適した不動産の3つのポイント

この章では、相続対策に適した不動産の3つのポイントについて解説します。

収益性

1つ目は収益性です。

賃貸経営の収益性を決めるポイントには、「空室率の低さ」と「賃料単価の高さ」の2つがあります。

空室率の低さは主に立地で決まりますので、郊外での不動産投資は避けるのが基本です。

既に土地を持っている方でも、立地条件の悪い土地であれば、都市部の物件に買い替える対応も必要となります。

賃貸マンションやアパート等の住居系の物件では、ファミリータイプよりもワンルームタイプの方が空室率は低いです。

賃貸需要は家族世帯よりも単身世帯の方が高いため、ワンルームの方が空室率を低く抑えることができます。

また、賃料単価は、住居系よりも貸店舗や賃貸オフィス等の事業系の用途の方が高いです。

しかしながら、事業系の不動産は退去リスクが高く、不景気になると賃料単価も大きく下がるため、収益性が安定しません。

それに対して、住居系は景気の動向に左右されることなく、安定した賃貸需要が存在します。

さらにファミリータイプよりもワンルームの方が賃料単価を高く設定することができます。

ただし、ワンルームであっても区分の1部屋だけだと空室の影響が大きく、収益性が不安定になります。

一棟マンションのように複数戸がある物件なら、空室リスクを緩和することが可能です。

収益性は、立地や用途、間取り等で異なってきますので、十分に検討したうえで投資物件を選ぶようにしてください。

経営の容易性

2つ目は経営の容易性です。

せっかく相続対策を行ったとしても、常に空室や修繕に悩まされるようでは、逆に将来への不安が増えてしまいます。

相続対策で投資した不動産は、いずれ配偶者や子供等が賃貸経営を引き継ぎます。

本人は築浅の時代に賃貸経営をすることが可能ですが、相続人が引き継いだ段階では築年数が相当に古く、賃貸経営の難易度が高くなっていることが多いです。

築年数が古い物件は、空室も多く、修繕も頻発することから、課題が山積していきます。

賃貸経営も継承できる資産を選ばないと、賃貸経営の経験が浅い相続人に対して重い課題を突き付ける結果となることもあるのです。

よって、相続対策を行うのであれば、将来にわたって賃貸経営が容易にできるような物件を選ぶことがポイントとなります。

例えば、賃貸オフィスや貸店舗はテナントの入れ替えが激しく、無理な工事の要求や原状回復のトラブルも多いため、賃貸経営の難易度は高いです。

一棟貸しの物件であれば、管理は容易であるものの、退去されると後継テナントが見つかりにくいというデメリットがあります。

修繕に関しては躯体や設備も影響します。

例えば、木造アパートは、鉄筋コンクリート造のマンションよりも老朽化が早く、早くから多くの修繕対応が必要となっていきます。

また、同じ鉄筋コンクリート造のマンションであっても、エレベータのある物件は、将来、エレベータの入れ替えが必要となり、多額の大規模修繕費を必要とします。

将来の修繕リスクを考慮すると、あえてエレベータのない鉄筋コンクリート造の物件を選ぶのも一つです。

将来、賃貸経営に不慣れな相続人が引き継ぐことを考慮し、賃貸経営も継承可能な物件を選ぶようにしましょう

流動性

3つ目は流動性です。

流動性とは、「売りやすい物件」であることを指します。

不動産は株や金等の資産と比べると、一般的に流動性の低い資産に分類されます。

不動産は、将来値崩れしたり、売却に時間がかかったりすることも多いため、売りやすい物件を選ぶという視点も重要です。

将来、孫が私立の医学部に進学する等、残された相続人にまとまったお金が必要となるケースはゼロではありません。

流動性は今だけで判断するのではなく、数十年後を見据えて考えることが必要です。

必要なときに早く高く売れる資産を残しておくことも望ましい相続対策といえます。

例えば、郊外のアパートなどは、相続のタイミングで相当に老朽化が進んでおり、売却しにくい物件となることが多いです。

売却額がアパートローン残債よりも低く、売却したくでもできない物件もあります。

数十年後でも売却できるような物件は、立地が良く、空室もほとんど生じず、なおかつ、修繕費用もあまり発生しないような物件です。

相続対策では将来の流動性を考慮し、良い立地の新築もしくは築浅の物件に投資するようにしましょう。

物件選びには環境変化を考慮すること

相続対策は数十年後を意識し、環境変化を十分に考慮して物件を選ぶ必要があります。

東京五輪後のような直近の景気後退を意識するのではなく、もっと長い目で環境変化を捉えることが重要です。

今後も長期的に生じる環境変化としては、「東京一極集中」や「単身世帯の増加」等が挙げられます。

「東京一極集中」と「単身世帯の増加」を踏まえれば、都内のワンルームマンションのような物件が、適切な相続対策物件であると導き出すことができます。

例えば、世田谷区のような住宅地として人気の高いエリアに存する小規模の一棟ワンルームマンションなどは、理想的な相続対策物件の一つです。

空室もほとんど発生しないため収益性が高く、賃貸経営も容易であり、数十年後も流動性を維持できます。

収益性」や「経営の容易性」、「流動性」は、今だけを見るのではなく、今後起こりうる環境変化も踏まえて判断するようにしてください。

まとめ

以上、相続対策に適した不動産選びのポイントについて解説してきました。

相続対策物件としては、「収益性」と「経営の容易性」、「流動性」の3つを兼ね備えた物件を選ぶことが必要です。(提供:税理士が教える相続税の知識

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