目標達成できない理由3:最終日に取り組みが完了するスケジュールを組んでいる

目標の達成を遠ざけてしまう3つ目の理由は、期限の最終日に目標が100%達成されるようにスケジュールを組むということです。

期限を決めているのだから、最終日に目標を達成できるようにスケジュールを組むのは当たり前じゃないか、と思われる方も多くいらっしゃるかもしれません。しかし、スケジュールを余裕なくきっちり組んでしまうと、想定外の状況や不測の事態が起きたときに対応できず、目標達成の可能性を低めてしまうのです。

そもそも、私たちは人間であって機械ではありません。毎日同じように作業をしたとしても、その日の体調や気分によってアウトプットの量と質は大きく異なってきます。

例えば、仕事をしながら資格試験の合格を目指していたとします。この目標を達成するため、200ページの問題集を毎日、仕事が終わった後の夜に10ページずつやって20日間で終わらせるという計画を立てたとしましょう。

しかし実際には、毎日均等に同じ分量をこなすというのは意外に大変なことです。例えば、仕事が早く終わったときは時間を取ることが容易かもしれませんが、仕事が忙しくて帰りが遅くなったり、飲み会が入った日にも10ページをやるのはとてもつらいのではないでしょうか。

また学習分野の得意不得意によっても、ばらつきが生じる可能性があります。例えば数学の問題集で微分、積分は得意な分野なので10ページの問題がスラスラと解けるけれど、図形の問題はとても苦手で10ページがいつまでたっても終わらないなんてことは、学生時代に誰もが経験したことがあるのではないでしょうか。

このように考えてみると、毎日均等に、何の余裕も設けることなく、最終日に取り組みが100%達成されるような計画を立てた時点で、その計画を達成することは、実はとても困難になっていることを認識する必要があります。私たちの行動や気分にはムラがあることを強く認識した上で、そのムラを考慮してスケジュールや計画をある程度、柔軟かつ余裕があるものにしておく必要があるのです。

目標達成できない理由4:目標達成までの期間が長すぎる

目標を達成できない理由として4つ目に挙げたいのが、目標達成の期間を長く設定しすぎるということです。私たちの直感には反するかもしれませんが、目標を達成できないのは、ほとんどの場合、目標達成のための期間が短すぎたからではなく、長すぎたからです。

もちろん目標には様々なものがあります。目標によっては1年、あるいはそれ以上の期間を設定しないと達成できないようなものも数多く存在します。例えば受験勉強などはいい例で、1年あるいはそれ以上前から希望校への合格を目標として努力される方がほとんどだと思います。

しかし大学受験の合格を最終的な目標とする場合も、その手前で、もう少し短期の目標、例えば夏季講習でここまで学習するといった小目標を設定し、その達成を繰り返すことで最終目標に達しようとするケースが一般的ではないでしょうか?

一方、目標達成の期間は短ければ短いほど良いというものでもありません。例えば極端な例として1日、あるいは1週間単位で目標を設定していったとしましょう。そうすると今度は目標達成のための時間が短すぎて、野心的に目標を設定することが難しくなります。また期間が短くなりすぎると、今週は仕事が忙しいか忙しくないか、連休があるかないか、といった各週の個別状況にも影響を受けやすくなります。

長田英知(ながた・ひでとも)
Airbnb Japan株式会社執行役員。東京大学法学部卒業後、国内最大手の生命保険会社を経て、埼玉県本庄市の市議会議員に全国最年少当選(当時)。その後、IBMビジネスコンサルティングサービス株式会社、PwCアドバイザリー合同会社等で戦略コンサルタントとして、スマートシティやIoT分野における政府・民間企業の戦略立案に携わる。2016年、Airbnb Japan株式会社に入社、2017年より現職。そのほかの外部役職として、2018年よりグッドデザイン賞審査委員、2019年より京都芸術大学客員教授を務める。著書に『プロフェッショナル・ミーティング』『いまこそ知りたいシェアリングエコノミー』(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)がある。(『THE21オンライン』2020年07月22日 公開)

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