〔株〕日立製作所や富士通〔株〕が時間や場所にとらわれない新たな働き方を標準にすると発表するなど、リモートワークの定着が進んでいる。リモートワークでも問題なく仕事ができるとなると、オフィスは価値のないものになるのだろうか? 「働き方改革エバンジェリスト」として活躍する〔株〕日立ソリューションズの伊藤直子氏に、これからのオフィスが持つ価値について聞いた。
リモートワークで問題が生じるのは準備不足だから
従来、オフィスは仕事をする場であることが当然視されてきました。しかし、今年4月に緊急事態宣言が発令されたことで初めてリモートワークを導入し、オフィスでなくても仕事ができることを実感した方が多かったと思います。
ただ、まったく問題なかったというわけではありません。色々な調査を見ると、大きく分けて3つのタイプの問題があったようです。
まず、リモートワークの環境が整っていなかったという問題。自宅から会社のシステムにアクセスできない企業や、セキュリティ対策が不十分なため、会社の情報が入ったパソコンをインターネットに接続することを禁止した企業などがありました。
2つ目は、労務管理などの制度が整っていなかったという問題です。
そして3つ目が、ハンコを押さなければならなかったり、業務が紙ベースだったりして、出社しなければならなかったという問題。
これらはいずれも、企業の中で解決できるものです。今、企業にはDX(デジタルトランスフォーメーション)が求められていますから、それに伴って環境の整備もできるでしょうし、業務のデジタル化もできるでしょう。ハンコを電子化するサービスも次々に登場しています。
きちんと準備さえすれば、多くの業務はリモートワークでできるでしょう。もはや、単に仕事をするために、必ずしもオフィスに出勤する必要はありません。