投信は大きく分類するとインデックス投信とアクティブ投信に別れます。 前回はインデックス投信についてお話しましたが、連載第12回の今回はアクティブ投信について、概要、メリット・デメリット、投資時のポイントなどについて詳しく解説していきます。

アクティブ投資信託の商品概要

投資
(画像=fizkes/stock.adobe.com)

アクティブ投資信託は、インデックス投資信託が日経平均など決められた指数に連動するように運用することが目的なのに対し、ファンドマネージャーが独自のポートフォリオを組み、最大のリターンを目指して運用するファンドです。

iDeCo(個人型確定拠出年金)やNISA(少額投資非課税制度)の導入で多くの投資初心者が運用に興味を持ち始めました。長期投資の運用として投信を考える場合、アクティブ運用のリターン平均(信託報酬控除後)はインデックス運用のリターンに劣後するというようなデータもあり、複利の考え方から確実に差が付くコスト(信託報酬)の低さからインデックス投信がフォーカスされることが多いのが現状です。

しかし、投信にアセットクラスの指数を上回るプラスアルファを期待する場合、たとえコストが高くてもアクティブ投信を選択することにも意義があります。

実際にコロナショック後の日本株の回復局面では、日経平均が安値をつけた3月19日から8月末までの日経平均は40%上昇しました。その間の日本株の投信の上昇ランキングを見ると、1位の「厳選ジャパン」は120%、2位の「DIAM新興市場日本株ファンド」は103%、3位の「企業価値成長小型株ファンド」は98%と日経平均を大きく上回る中小型株式へ投資し、運用するファンドが目立っています。

10年という長期の場合、日経平均は10年8月末の8,824円から20年8月末の2万3,139円まで2.6倍です。リーマンショック後の下げからアベノミクスによるマーケットの上昇で大きく上げました。年率にすると10.1%になります。モーニングスターの国内株式のファンドランキングで同期間みると、1位は「DIAM新興市場日本株ファンド」の年率32.9%、2位は「日本新興株オープン」の23.2%、3位は「SBI 小型成長株ファンドジェイクール 『愛称:jcool』」の22.2%と大きく指数を上回るパフォーマンスがでているアクティブファンドが目立ちます。

このようにアクティブ投信なら指数を大きく上回ることも可能なのです。もちろん、指数を大きく下回るファンドも存在しています。銘柄選定力のあるファンドマネージャーの商品はパフォーマンスが高いと言ってもいいのかもしれません。一方、これらはあくまでも過去の実績です。今後の成功を約束するものではなく、今後も良好なパフォーマンスを出す可能性のあるファンドを見極めることが重要です。

アクティブ投資信託のメリット・デメリット

アクティブファンドのメリットはこの3つが上げられます。
①パッシブに対しプラスアルファのリターンが期待出来る
②指数が下げた場合でも下落幅を抑制してくれる可能性がある
③トレンド、テーマ型のファンドで比較的短期の売買差益を狙いやすい

デメリットは裏返しですが、以下の3つが上げられます。
①調査、分析、執行コストがかかるため運用コストが高い
②パッシブファンドよりもリスクが高い
③アセットクラスに期待したリターンが出せない可能性がある

アクティブ投資に投資する際の注意点

上記のコロナショック後の戻りで日本株の投信の上昇ランキングを見ると、中小型、ESG型などのテーマ型のファンドが大きく市場平均をアウトパフォームしました。インデックス投信は低コストのため、ドルコスト平均法、複利が効くため長期投資、安い時にこそ頑張って買うことが大事なのに対し、アクティブ投信はコストが高くても、その時のトレンドやテーマにより短期の上昇を狙いやすいというポイントがあります。

その一方、アクティブ投信は相場のトレンドやテーマを追いかけて新規設定されることも多く、単純に話題性があって分かりやすいからと買ってしまうと、「購入時がトレンドのピークだった」ということもありえます。

良いアクティブファンドの見分け方 「アクティブシェア」に注目

現在、金融業界では「隠れパッシブ」なる言葉が注目されています。アクティブファンドなら、信託報酬がパッシブファンドよりも高く設定出来ます。それで「アクティブ」と称しながらも実際は「パッシブ」と大きく変わらない運用状況であるファンドも多いためです。

そんな見極めに役立つのが「アクティブシェア」という指数です。たとえば日経平均をインデックスとした投信の場合、ファンドのパフォーマンスのかい離が日経平均に100%連動する場合をゼロ、全く違う動きをする場合を100とする指数です。

「アクティブシェア」が80%を上回るような高いファンドの場合は、日経平均を構成する銘柄と異なる銘柄をファンドマネージャーが発掘し長期投資で保有しているということです。しかし、「アクティブシェア」が低いファンドの場合は実質インデックスファンドを保有しているのと大きな差がないということで、高いコストを払う意味があまりないという見方も出来ます。

アクティブ投信の注意点を理解した上で必要に応じて投資を

アクティブ投信には、インデックス投信にはないプラスアルファのリターンが期待出来るという楽しみがあります。期待リターンに見合ったリスクもあります。こういった、メリット・デメリット、注意点を理解した上で投資を心がけたいものです。

次回は、いよいよ投信を購入するときにどのような情報を参考にすればいいのかお伝えします。

※本記事は投資に関わる基礎知識を解説することを目的としており、投資を推奨するものではありません。(提供:Wealth Road