メルセデス・ベンツGLB250・4マチック・スポーツ 価格:8SMTC 696万円 試乗記
スタイリッシュでたくましい造形。日本仕様は2グレード構成
GLBはメルセデス・ベンツ9番目のSUV。日本では、GLAとともに発表された。GLBとGLAはボディ骨格やメカニカルコンポーネンツの多くが共通する兄弟車である。
スタイリングは、「すべてを備えた本格SUV」のキャッチコピーどおり、たくましい。「スタイリッシュでオールラウンドなコンパクトSUV」を標榜するGLAとは、印象が大きく異なる。
「究極のオフローダーであるGクラスからインスピレーションを受けた」という説明どおり、GLBのプロポーションはGLAよりもスクエアな仕上がり。フロントマスクの表情を含め、タフなイメージを発散する。
ボディサイズは全長×全幅×全高4650×1845×1700mm。GLA(同4415×1835×1620mm)比で、全幅はほぼ同等。全高は80mmのプラスで、全長は235mm長い。日本車でいうと、トヨタEAV4(同4600×1855×1695mm)とほぼ同サイズのミドルクラスだ。
そんな伸びやかなボディ内には、欧州仕様ではオプション扱いの3列目シートを標準装備。7名乗りモデルとして仕立てられている点が、GLBの大きな特徴だ。
興味深いのは、現状ではGLAが「4WDのディーゼル」専用なのに対して、GLBは「FFのディーゼル」と「ガソリンの4WD」と、まった異なるバリエーション展開になっていること。
その理由を、インポーターは「可能な限り早く国内販売できるモデルが、この3タイプだった」と説明する。
将来的にラインアップは拡充されそうだが、現在、GLBをオールラウンド性に優れた4WDで乗りたいと思うなら、ガソリン仕様を選ぶ必要がある。
若々しくモダンな室内。3列目スペースは緊急用
試乗車はガソリンターボ+4WDの250・4マチック・スポーツ。本革シートやAMGアイテムなどを標準装備した上級仕様で、車両価格は696万円。
8速DCTとの組み合わせで搭載される2リッターのターボ付き4気筒ガソリンエンジンは、224ps/5500rpmの最高出力と、350Nm/1800~4000rpmを発揮。200d用のディーゼルユニットと比較して、出力は74ps、トルクは30Nmパワフルだ。
インテリアの雰囲気は、洗練された印象。横長一枚ガラスのワイドなディスプレイや各部のパイピング照明、そして、やはり照明の入る空調レジスターなどが、若々しくモダンな印象を演出する。
最新のメルセデスはこうした見栄えという点で、他ブランドとの差別化が上手い。ショールームで、ユーザーの心を巧みにキャッチしそうなデザインだ。
セールスポイントとなる3列シートの価値は、ユーザーによって大きく評価が分かれそう。
いざという場面で、大人7名が乗車できるというユーティリティは、大きな魅力だ。しかし、ウオークイン機構が付いているとはいえ、3列目シートへの乗降はアクロバティックな姿勢を強いられる。ようやく乗り込んでもスペースは極めてタイトだ。
そもそも、欧州では3列目シートはオプション扱い。本来、GLBのパッケージングは「GLAを凌ぐ、広いラゲッジスペースの実現」が狙いどころ。日常的に3列目シートを使う「ミニバン代替モデル」として考えるには無理がある。
通常時は3列目シートを格納しておき、必要に応じて3列目を使う、というのが本来の姿といえそうだ。
快適な走り。ハンドリングはマイルド感覚
走りは快適。DCTながら、シフト動作は微低速域からスムーズ。動力性能はとくに強力とはいえないが、3000rpm付近からの乾いたサウンドを耳にしながらの加速感はなかなか軽快だ。街中はもちろん、高速道路やワインディング路でも気持ちのいい走りが味わえる。
一方、重量差のほとんどないGLA200d・4マチックに対しても、「ハンドリングがややおっとりしている」と感じられたのは「気のせい」ではなさそう。GLA比で100mm伸びたホイールベースや高い車高が、GLAとのテイストの違いをもたらしていると考えられる。
それにしても、GLBが加わったメルセデスのSUVラインアップは強力そのもの。中でも使い勝手に優れたGLB(そしてGLA)は、今後のバリエーション拡充しだいで「ラインアップ中のトップセラー」の座を獲得しても不思議ではない。
メルセデス・ベンツGLB250・4マチック・スポーツ主要諸元と主要装備
グレード=250・4マチック・スポーツ
価格=8SMTC 696万円
全長×全幅×全高=4650×1845×1700mm
ホイールベース=2830mm
トレッド=フロント1600×リア1610mm
最低地上高_=202mm
車重=1760kg
エンジン(プレミアム仕様=1991㏄直4DOHC16Vターボ
最高出力=165(224)/5500kW(ps)/rpm
最大トルク=350(35.7)/1800~4000Nm(kgm)/rpm
WLTCモード燃費=12.0km/リッター(燃料タンク容量60リッター)
(市街地/郊外/高速道路=8.8/12.1/14.0km/リッター)
サスペンション=フロントストラット/リア:マルチリンク
ブレーキ=フロント:ベンチレーテッドディスク/リア:ディスク
タイヤ&ホイール=235/45R20+アルミ
駆動方式=4WD
乗車定員=7名
最小回転半径=5.5m
●主な燃費改善対策:アイドリングストップ/筒内直接噴射/可変バルブタイミング/電動パワーステアリング
●主要装備:レーダーセーフティパッケージ(アクティブディスタンスアシスト・ディストロニック+アクティブレーキアシスト+PRE-SAFE/PRE-SAFEプラス+アクティブブラインドスポットアシスト+アクティブステアリングアシストほか)/クロスウインドアシスト/アダプティブブレーキ/アテンションアシスト/360度カメラシステム/リアクロストラフィックアラート/アクティブボンネット/オフロードエンジニアリングパッケージ/20インチAMGマルチスポークアルミ/マルチビームLEDヘッドライト/アダプティブハイビームプラス/スポーツサスペンション/AMGスタイリングパッケージ/ナイトパッケージ/プライバシーガラス/本革シート/前席メモリー付きフルパワーシート/前席シートヒーター/イルミネーテッドステップカバー/2列目3分割可倒式シート/本革巻きマルチファンクションステアリング/パドルシフト/チルト&テレスコピック機構/リバースポジション機能付きドアミラー/ダイナミックセレクト/自動開閉テールゲート/キーレスゴー/ワイヤレスチャージング/オートAC/10.25インチモニターMBUXシステム/10.25インチコクピットディスプレイ/アンビエントライト(64色)/イモビライザー/ナビゲーションシステム
●ボディカラー:デジタルホワイトメタリック
※価格はすべて消費税込み
撮影協力●箱根レイクホテル
(提供:CAR and DRIVER)