トヨタ・ヤリスクロス・ハイブリッドZ(FF) 価格:THS 258万4000円 試乗記

ヤリスクロス
トヨタ・ヤリスクロス・ハイブリッドZ(FF) ヤリスクロスは日本とともに欧州市場をターゲットにした世界戦略モデル 巧みなパッケージングで優れたユーティリティ実現 1.5リッターハイブリッドと1.5リッターガソリンを設定 駆動方式はFFと4WD

開発コンセプトは「新たな価値の創造」。デザインはすっきりスマート!

NEWSポイント
1:抜群の燃費性能(HV・Z・FF/27.8km/リッター)
2:広い室内。取り回しに優れたサイズ

 ヤリスをベースにしたブランニュー・クロスオーバー、ヤリスクロスがデビューした。  ヤリスクロスは「コンパクトSUVの既成概念を一新し、新たな価値を提供するクルマ」を目指した意欲作。これまでトヨタSUVラインアップの空白地帯だった、ライズとC-HRの中間ポジションに位置する。

 ボディサイズは全長×全幅×全高4180×1765×1590mm。5.3mの最小回転半径をはじめ、日本でも扱いやすい大きさにまとめている。2560mmのホイールベースは、ジオメトリーの違いで表記上は10mmの違いが現れているが、事実上「ヤリスと同じ」。一方で、ヤリス・ハイブリッド比で90mm高い全高と、25mm増やされた170mmの最低値上高が、SUVのキャラクターをアピールする。  スタイリングは洗練され、都会的なイメージ。全モデルが16インチ以上の大径タイヤを採用し、たくましいロアボディ造形などに、世界的に伸張著しいSUVマーケット参入への強い意志が感じられる。しかも、すっきりとスマートにまとまっている。造形センスはなかなか巧みだ。

ヤリスクロス
ボディカラーは写真のブラスゴールドメタリックを含め単色8色/2トーン7種の計15タイプをラインアップ

緻密なパッケージング。荷室は広く使いやすい

 当初のワールドプレミアは今春のジュネーブ・ショーが予定されていた。それはヤリスクロスが欧州を重要なマーケットに位置づけている証拠。それを象徴するかのように、パッケージングは緻密。ヤリスをベースにしながら、それを大幅に凌ぐ高いユーティリティ性が与えられた。

 その代表例は、ラゲッジスペース。リアオーバーハングの延長やルーフ高のアップによって、ヤリスよりも大幅に拡大された。広いだけでなく、4対2対4の割合で3分割可倒が行える後席シートバックや、左右それぞれ高さ調節ができるフロアボード、ゴルフバッグの横向き搭載を可能にした左右トリムの凹み形状など、限られたスペースを最大源に生かすためのアイデアを満載している。

 乗員のためのスペース拡大にも積極的に取り組んだ。高いルーフ高を生かしたアップライトなシーティングポジションにより、後席足元空間は余裕が増した。後席はヤリスで感じた窮屈な印象はなくなった。

ヤリスクロス
ヤリスクロスは駐車時の利便性を高めるアドバンストパーク(op7万7000円)など最新機能を設定 安全・運転支援システムは最先端

走りしっかり、メカニズムはトヨタ最新で統一

 ボディ骨格やパワーパック、ハイブリッドモデルの電気式4WDシステムなどは、ヤリスで初採用されたトヨタの最新アイテムを流用。ラインアップは1.5リッター直3(91ps)+モーター(80ps)のハイブリッドと、1.5リッター直3(120ps)の純エンジンの2シリーズ。それぞれにFFと4WDをラインアップする。基本的な走りのテイストは、同じパワーパックと駆動システムを搭載するヤリスと、似通っている。

 そのうえでいえるのは、動力性能や静粛性、乗り心地など走りの質感全般に関しては、「ヤリスを超える水準ではない」ということ。車両重量が大幅に増え、オーバーサイズぎみのホイール/タイヤを装着し、重心高が上がっているのだから、「それは当然」である。

 最初に試乗したモデルは、18インチタイヤを履いた 1.5リッター純エンジン車の4WD仕様だった。重量がかさんでいた点が影響しているが、走り始めての率直な第一印象は、「ちょっと硬くてうるさいモデル」というものだった。  その後、ハイブリッドの4WD仕様、次いでハイブリッドのFF仕様と乗り替えていくと、やや緩慢に思えた動力性能は大幅に好転。スムーズでなかなか力強い走りが確認できた。純エンジン車でもFF仕様であれば、ほぼ満足レベルの動力性能の持ち主である。

ヤリスクロス
4WDは浮いた車輪をブレーキ制御 接地輪に駆動力を伝える 走破性抜群

タフな4WDの走破性! 価格はリーズナブル設定

 ヤリスクロスの走りは高水準。それでも、ヤリスを初めてドライブした際に感じた、クラスの常識を大幅に超えた「感動モノの走りの質感」には及ばなかった。とはいえ、ライバル比では軽く互角以上のポテンシャルが感じられる。最新設計の強みが現れている。しかも燃費の数値は抜群だ。

 ストロークに富んだ高価なサスペンションを用いるのではなく、「浮いた車輪」を巧みにブレーキ制御する方法で十分なオフロード性を確保した4WDシステムや、上級モデルと遜色ないADAS(最新運転支援システム)機能を標準採用する点も見逃せない。

 そのうえで、スターティングプライスが200万円を大きく割り込むとなれば、もはや「売れない理由が見当たらない」。  ヤリスクロスは、圧倒的な商品力を備えている。コンパクトサイズSUVの「これからの基準」になるに違いない。

ヤリスクロス
室内はヤリスと共通イメージ センターコンソール回りは専用デザイン 良好な視界と使いやすさを徹底 Zはシックなブラウン系室内カラー標準
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ヤリスクロス
Zは大型サイズの合成皮革+ツイード調ファブリックのコンビシート標準 後席の着座ポジションはアップライト 室内長×幅×高1845×1430×1205mm
ヤリスクロス
荷室は広く多彩なアイデア満載 後席シートバックは3分割形状 後席使用時の荷室長×幅は820×1400㎜

ヤリスクロス・ハイブリッドZ(FF) 主要諸元と主要装備

ヤリスクロス

グレード=ハイブリッドZ(FF)
価格=THS 258万4000円
全長×全幅×全高_=4180×1765×1590mm
ホイールベース=2560mm
トレッド=フロント1515/リア1515mm
最低地上高=170mm
車重=1190kg
エンジン=1490cc直3DOHC12V(レギュラー仕様)
最高出力=67_kW(91ps)/5500rpm
最大トルク=120Nm(12.2kgm)/3800~4800rpm
モーター最高出力=59kW(80ps)
モーター最大トルク=141_Nm(14.4kgm)
WLTCモード燃費=27.8km/リッター(燃料タンク容量36リッター)
(市街地/郊外/高速道路:29.4/29.9/26.1km/リッター)
サスペンション=フロント:ストラット/リアトーションビーム
ブレーキ=フロント:ベンチレーテッドディスク/リア:ディスク
タイヤ&ホイール=215/50R18+アルミ
駆動方式=FF
乗車定員=5名
最小回転半径=5.3m
●主な燃費改善対策=ハイブリッドシステム/アイドリングストップ/可変バルブタイミング/電動パワーステアリング/充電制御/電気式無段変速機
●主要装備=トヨタセーフティセンス(プリクラッシュセーフティ+レーントレーシングアシスト+全車速追従レーダークルーズコントロール+オートマチックハイビーム+ロードサインアシスト)/インテリジェントクリアランスソナー/バックガイドモニター/6エアバッグ/フルLEDヘッドライト/フロントスーパーUVカット&IRカットガラス/合成皮革&ツイード調ファブリックシート/運転席電動調節+前席ヒーター機能/3分割可倒式リアシート/オプティトロンメーター/本革巻きステアリング/スマートエントリーシステム/オートAC/通信+充電用USB/8インチディスプレイオーディオ/18インチアルミ
●装着メーカー&ディーラーop=ハンズフリーパワーバックドア7万7000円/アダプティブハイビームシステム+カラーヘッドアップディスプレイ9万9000円/ブラインドスポットモニター+リアクロストラフィックオートブレーキ4万9500円/パノラミックビューモニター3万3000円/Tコネクトナビキット11万円/ETC2.0ユニット2万5575円
●ボディカラー=ブラスゴールドメタリック
※価格はすべて消費税込み リサイクル費用は8630円

ヤリスクロス
ハンズフリー電動リアゲートをop設定(7万7000円) ゲート開口部は大型サイズ
ヤリスクロス
フロントマスクは台形グリルが独特の表情を演出 縦型ランニング灯を配置
ヤリスクロス
215/50R18タイヤ+切削光輝アルミ装着 最低地上高は170㎜ 最小回転半径は5.3mの設定
ヤリスクロス
1.5リッターガソリン(91ps/120Nm)+モーター(80ps/141Nm) 主要メカニズムはヤリスと共通仕様 WLTCモード燃費:27.8km/リッター(FF)
Writer:河村康彦 Photo:小久保昭彦

(提供:CAR and DRIVER