日本企業でも若手の価値観は多様化している

とはいえ、日本でも若い世代の価値観は多様化しています。

今の若手にとって仕事は人格を構成する一部に過ぎず、ライフスタイルや家庭を含めて「自分はどうありたいか」を考えます。そのため、以前のように「集団の秩序に従い、一つの会社で職業人生をまっとうしたい」と考える人ばかりではなくなりました。

この変化はデータにも現れています。

コーン・フェリーが2016年に実施した社員エンゲージメント調査で、日本企業の社員を対象に「あとどのくらいこの会社で働きたいか」を聞いたところ、2年未満で辞めたいと思っている20代社員の比率は30%に上りました。30代でも20%という数字が出ています。

今は転職や仕事に関する情報量が圧倒的に増えたため、若い世代は「他にもっと良い会社があるのではないか」と考えがちです。ですから、「自分がやりたいことは、今の会社では実現が難しそうだ」と感じた途端にモチベーションが下がり、転職を考え始めることがよくあるのです。

企業にとって若手の離職や意欲の低下は深刻な課題であり、意欲や自発性をどのように引き出せばいいのか悩む日本企業は増え続けているのが現状です。

柴田彰(コーン・フェリー・ジャパン シニアクライアントパートナー コンサルティング部門責任者)
(『THE21オンライン』2020年11月16日 公開)

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