退職して離職すると、「失業手当」を受け取れると聞いたことがあるだろう。しかし、離職時の年齢など条件によって、受け取れる失業手当は異なる。失業手当の基礎知識と、どのような場合に何を受給できるのかなどを退職前に確認しておこう。

失業手当とは ?

定年間近、退職タイミング知っておきたい失業手当の基礎知識
(画像=tamayura39 / stock.adobe.com)

失業手当の正式名称は、「失業等給付」だ。失業等給付は求職者給付、就職促進給付、教育訓練給付、雇用継続給付の4種類に分類される。失業した場合に受け取れる基本手当と高年齢求職者給付は、求職者給付に分類される。

基本手当は、離職して次の仕事を見つけるまでの間、労働基準法の1日当たりの平均給与 (給付基礎日額) の一定日数分が支給される。しかし、基本手当が支給されるのは離職時に65歳未満の人だけだ。離職時に65歳以上である場合、基本手当ではなく高年齢求職者給付が支給される。

基本手当と高年齢求職者給付の違い

年齢 受給要件 支給日数
基本手当 65歳未満 ・離職日以前の2年間に被保険者期間が通算12ヶ月以上。
・「働く意思と能力」があるにもかかわらず就職できないこと。
90日~330日
高年齢求職者給付 65歳以上 ・離職日以前の1年間に被保険者期間が通算6ヶ月以上あること。
・「働く意思と能力」があるにも関わらず就職できないこと。
被保険者期間が1年以上である場合は50日分、1年未満である場合は30日分が一時金で支払われる。

基本手当の受給要件は原則として2点ある。離職日以前の2年間に被保険者期間が通算12ヶ月以上あることと、「働く意思と能力」があるにもかかわらず就職できないことだ。

被保険者期間は、雇用保険の被保険者であった期間のうち、賃金支払いの基礎となった日数が11日以上または基礎となった労働時間が80時間以上ある月を1ヶ月として算出する。ただし、倒産や会社都合である解雇によって離職した特定受給資格者である場合には、被保険者期間の要件は半分、離職日以前の1年間に被保険者期間が通算して6ヶ月あること、と緩和される。

また、病気やけがなどですぐに就職できない場合には、「働く意思と能力」がないとみなされ、基本手当は支給されない。そのような場合には、「受給期間延長」の手続きを行うと、働けない日数分 (最長3年間) 延長でき、実際に働けるようになっても就職できない場合に基本手当が支給される。

「働く意思の能力」を示すためには、求職活動を行う必要がある。求職活動をしたにも関わらず就職できない場合、4週間に1度の個人ごとに決められた認定日にハローワークへ行き、失業認定申告書を提出する。失業認定されると、あらかじめ提出しておいた口座に4週間分の基本手当が振り込まれる。なお、その間に収入を得ていた場合には減額されることもある。

支給を受けられる日数は、定年退職、自己都合退職、懲戒解雇などの場合、被保険者期間によって90日、120日、150日のいずれかとなる。なお、倒産や会社都合による解雇などの場合、被保険者期間と離職時の年齢によって90~330日と細分されている。

●高年齢求職者給付はどういった場合に給付される ?

離職時に65歳以上である場合には、基本手当ではなく、高年齢求職者給付が支給される。受給要件の原則は、離職日以前の1年間に被保険者期間が通算6ヶ月以上あることと、「働く意思と能力」があるにもかかわらず就職できないことだ。

高年齢求職者給付の支給方法は基本手当と大きく異なり、被保険者期間が1年以上である場合は50日分、1年未満である場合は30日分が一時金で振り込まれる。

なお、基本手当が支給されている期間に年金も支給されている場合、年金は全額支給停止となる。一方、高年齢求職者給付と年金は調整されることなく、どちらも全額支給される。

申請までの流れ

基本手当や高年齢求職者給付を申請するためには、必要書類を持ってハローワークに行く必要がある。必要書類は大きく6種類だ。

1) 離職票1、2 (会社が作成) 2) マイナンバー確認資料 (マイナンバーカード、マイナンバー通知カードなど) 3) 身元確認資料 (運転免許証、顔写真付きマイナンバーカード、パスポート、住民票、健康保険証の場合には2種類必要) 4) 本人のハンコ (認印可。シャチハタ不可) 5) 証明写真2枚 (縦3センチ×横2.5センチ) 6) 本人名義の普通預金口座の通帳またはキャッシュカード

これらの必要書類を持ってハローワークへ行くと、受給資格の確認や決定、その後の手続きなどを案内してもらえる。なお、どこのハローワークに行くべきかなのかは住所によって決められているため、事前に確認しよう。

退職のタイミング、つまり離職時の年齢によって給付基礎日額が何日分受け取れるのかは大きく異なる。退職前に確認しておきたいものだ。

(提供:大和ネクスト銀行


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