毎月、新たに発売されるビジネス書は約500冊。いったいどの本を読めばいいのか、迷ってしまう方も多くいるかと思われます。

本稿では、読書家が集まる本の要約サイト「flier(フライヤー)」にてアクセスの多かった書籍を、金融業界のユーザーに絞って毎月ランキング形式でご紹介しております。皆様の書籍選びの参考になれば幸いです。

ストレスチェック,面談
(画像=PIXTA)

目次

  1. 金融業界ランキング
  2. 「小さな悲鳴」に耳を傾けて
  3. あの人が頑張れない理由
  4. あなたの会社の会議は何分?
  5. 世界を支える数学の奥深さ
  6. 「小さい行動」に分解せよ
  7. 編集後記

金融業界ランキング

第1位:『ストレスの9割はコントロールできる』(鎌田敏著、明日香出版社)
第2位:『どうしても頑張れない人たち』(宮口幸治著、新潮社)
第3位:『トヨタの会議は30分』(山本大平著、すばる舎)
第4位:『人生の短さについて 他2篇』(セネカ著、中澤務訳、光文社)
第5位:『億万長者だけが知っている教養としての数学』(ヒュー・バーカー著、千葉敏生訳、ダイヤモンド社)
第6位:『大丈夫!すべて思い通り。』(Honami著、KADOKAWA)
第7位:『習慣超大全』(BJ・フォッグ著、須川綾子訳、ダイヤモンド社)
第8位:『Day1<デイ・ワン>』(ジャスパー・チャン著、PHP研究所)
第9位:『トヨタで学んだ「紙1枚!」にまとめる技術』(浅田すぐる著、サンマーク出版)
第10位:『腸がすべて』(フランク・ラポルト=アダムスキー著、森敦子訳、澤田幸男監修、東洋経済新報社)

※本の要約サイト「flier(フライヤー)」の有料会員のうち、金融業界に所属するユーザーを対象にした、2021年7月の閲覧数ランキング

「小さな悲鳴」に耳を傾けて

7月の第1位は『ストレスの9割はコントロールできる』でした。銀行、保険の関係企業にお勤めの方々を中心によく読まれました。

金融業界の読者の方の中には、厳しい労働環境に身を置く方もいらっしゃるでしょう。加えて、新型コロナウイルス感染拡大に伴うさまざまな制約は、ストレス以外の何ものでもありません。

そんなストレスだらけの現代において、本書はストレスをコントロールできると強調します。ストレスの反応には「ストレッサー」「認知」「情動的興奮」「身体的興奮」といった諸段階があり、それぞれに適した対処が大切だと説きます。例えば、身体的興奮には深呼吸やストレッチといった定番の対処法が有効です。

「ちょっと疲れているだけ」「栄養ドリンクを飲めば大丈夫」と溜め込んでいるストレスはありませんか? イライラすることが多くなった、酒量が増えたといったサインを見逃さず、しっかりと自分の内から発せられる小さな悲鳴に耳を傾けましょう。そして適切に対処しましょう。サインを無視し、心身が大きな悲鳴を上げてからでは手遅れです。

ストレスの9割はコントロールできる
ストレスの9割はコントロールできる
鎌田敏
出版社:明日香出版社
発売日:2020年09月20日
ジャンル:自己啓発・マインド

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あの人が頑張れない理由

第2位は『どうしても頑張れない人たち』でした。精神科病院や医療少年院での現場経験が豊富な児童精神科医の著者が、ベストセラーとなった『ケーキの切れない非行少年たち』で書ききれなかった題材を扱った、シリーズ第2弾です。

本書は、「頑張れない人」はなぜ頑張れないかという本質的な問いに向き合い、頑張れない背景には「認知機能」の弱さがあると指摘します。認知機能が弱いと、見る、聞く、想像するという力が乏しく、入ってくる情報は歪み、失敗を繰り返すうちにやっても無駄だと思い込んでしまい、頑張れなくなる――。この負のサイクルに陥ってしまうのです。

しかし、頑張れない人でも、周囲が本人の特性を理解して寄り添い続ければ、強みを引き出すことができると、著者は力を込めます。より多様な人材が活躍でき、生きやすい社会の実現に向け、多くの方に読んでいただきたい一冊です。

どうしても頑張れない人たち
どうしても頑張れない人たち
宮口幸治
出版社:新潮社
発売日:2021年04月20日
ジャンル:リベラルアーツ、トレンド

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あなたの会社の会議は何分?

第3位は『トヨタの会議は30分』でした。証券界のビジネスパーソンの間で最もよく読まれる結果となりました。テレビ局やコンサルティング会社でも経験を積んだ著者が、最初に新卒で入ったトヨタ自動車における経験を踏まえ、トヨタ流の会議について解説しています。

タイトル通り、トヨタでは会議時間が30分に設定され、時間が限られているという意識が出席者全員に浸透し、会議開始直後から本題に入って議論を行うなど、無駄がありません。会議の他にも、資料作成やコミュニケーションスキルといった、著者がトヨタで体得した仕事術が惜しみなく紹介されています。

もしあなたの会社の会議が通常1時間なら、試しに30分にしてみるいい機会かもしれません。きっと新たな気づきがあるはずです。

トヨタの会議は30分
トヨタの会議は30分
山本大平
出版社:すばる舎
発売日:2021年04月14日
ジャンル:生産性・時間管理、産業・業界

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世界を支える数学の奥深さ

ここからは、第4位以下から注目の書籍をピックアップしていきたいと思います。

第5位の『億万長者だけが知っている教養としての数学』は、グーグルの共同創設者ラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンといった億万長者が、「大学1年程度」の数学的知識を駆使してグーグルの検索機能の基礎を築いたことに着目し、数学の有用性を論じています。

今の世界を支配している数学的なアルゴリズムが、未来の世界をも支配し続けるだろうと予測する著者。フィンテックに象徴されるように金融業界もまた、数学的アルゴリズムによってさまざまなイノベーションが起き続けている業界の一つと言えるでしょう。

本書には、株式の高速取引の世界を席巻する「クォンツ」、投資王ウォーレン・バフェットも利用してきた「ケリー基準」など、金融業界とも関係の深い、数学的知識に関するトピックが満載です。ぜひ一読をおすすめします。

億万長者だけが知っている教養としての数学
億万長者だけが知っている教養としての数学
ヒュー・バーカー、千葉敏生(訳)
出版社:ダイヤモンド社
発売日:2021年04月13日
ジャンル:ファイナンス、テクノロジー・IT、リベラルアーツ、トレンド

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「小さい行動」に分解せよ

最後は第7位の『習慣超大全』です。

何かをしたい、変えたいと思いつつ、なかなか習慣にできないとお悩みではありませんか。必要なのは、(1)自分自身を裁くのをやめる、(2)目標を決め、「小さい行動」に分解する、(3)過ちを発見として受け入れ、前進するために役立てることだと、本書は提起しています。

特に「小さい行動」にすることは大事です。「1日30分の運動」の習慣化は難しくとも、30秒もかからずにできる「小さい行動」に絞れば、取り組みやすいでしょう。「小さい行動」ができたら自分で褒めることも大切で、本書の巻末にはその「祝福」の方法が100個も列挙されています。

忙しくて実行に移せないと嘆いているなら、目標を分解して小さいことから始めてみましょう。

習慣超大全
習慣超大全
BJ・フォッグ、須川綾子(訳)
出版社:ダイヤモンド社
発売日:2021年05月25日
ジャンル:自己啓発・マインド、生産性・時間管理

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編集後記

今回の月間ランキングでは、第1位の『ストレスの9割はコントロールできる』や第7位の『習慣超大全』など、ストレスや習慣といった日常生活で誰しも抱えがちな悩みの解決につながる著書が、上位に入りました。また、トヨタ自動車の関連書2冊やアマゾンジャパンのトップによる著書など、個別企業の流儀を紹介した著書も目立ちました。

8月はどのようなランキングになるのか、引き続き注視してまいります。

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