最近、「FIRE」という言葉をよく見るようになりました。「何となく意味は知っているが、詳しくは知らない」という人や、「FIREするための具体的なステップを知りたい」という人もいるのではないでしょうか。

今回はそのような人に向けて、FIREとは何か、FIREを実現するためのステップ、FIREを実現するための具体的な運用方法について解説します。

FIREとは何か

FIREを実現したい人が行うべきステップと投資方法
(画像=VitaliiVodolazskyi/stock.adobe.com)

FIREとは、「Financial Independence Retire Early」の頭文字を取った言葉です。日本語に翻訳すると、「経済的に自立して、早期リタイア(早期退職)する」という意味です。米国の女性作家ヴィッキー・ロビン氏が書いた『お金か人生か』という本が、FIREブームの火付け役になったといわれています。

「早期リタイア」と聞くと、大金を稼いだ成功者が送る悠々自適な生活を想像するかもしれません。しかし、FIREの前提は「普通の人が、身の丈に合った自分らしいリタイア生活を送ること」であり、決して一部の成功者だけのものではありません。

FIREの「4%ルール」とは何か

FIREを理解する上で重要なキーワードが「4%ルール」です。4%ルールとは、「年間支出の25倍の資産を築けば、年利4%の運用益で生活費を賄える」という考え方です。

例えば年間支出が300万円なら、7,500万円の資産を築いて年利4%(=300万円)で運用すれば、運用益300万円だけで生活できます。年利4%で運用を続けられる限り、元本の7,500万円は取り崩さずに済むということです。

FIREは米国で生まれた概念なので、4%というルールは米国仕様です。米国と日本では経済成長率やインフレ率が異なるため、そのまま日本人に当てはめることができるかどうかは議論が必要ですが、参考にはなるでしょう。

FIREを実現するためのステップ

ここからは、FIREを実現するためのステップを紹介します。FIREに向けたステップにはさまざまなものがありますが、ここでは上記の4%ルールを踏まえながら、一般的なステップについて解説します。

(1)自分らしい生き方を考えつつ、リタイア後の年間生活費を計算する

前述のとおり、FIREは大金を稼いで悠々自適な生活を送る成功者のための(成功者になるための)メソッドではありません。根底にあるのは、「お金に縛られずに自分らしい生き方をする」という考え方です。

そのため、最初のステップとしては自分らしい生き方を考えつつ、リタイア後の年間生活費を計算することが重要です。ここでは上記の例のように、リタイア後の年間生活費を300万円と仮定します。

(2)その生活費を生み出すために必要な資産額を計算する

次に、その生活費(300万円)を生み出すために必要な資産額を計算します。4%ルールでは年間支出の25倍ですから、300万円×25倍=7,500万円となります。

(3)その資産額を目標に貯蓄や投資を行う

次に、その資産額を目標に貯蓄や投資を行います。低金利の現在は、銀行預金ではほとんど資産が増えないため、何かしらの投資を行う必要があるでしょう。

(4)支出を削って目標資産額に到達するスピードを速める

(3)と同時並行で、支出を削って目標資産額に到達するスピードを速めます。支出を削れば、貯蓄や投資に回せるお金が増えるからです。

FIREを実現するための具体的な運用方法

(3)において、何かしらの投資を行う必要があると述べました。具体的には、どのような方法があるのでしょうか。万人に対する正解はありませんが、例えば以下のようなものが考えられます。

投資信託による資産運用

投信信託による資産運用には様々なものがあります。例えば、米国株や世界の株式全体に投資する投資信託に投資する方法などが考えられます。
「ダウ工業株30種平均」や「S&P500」といった米国株のインデックス(市場の動きを示す指数のこと)に投資する場合、これらの指数は、ITバブル崩壊やリーマンショックなどの危機を乗り越えつつ、定期的に最高値を更新しています。これまで最高値を更新してきたからといって今後もそうなるとは限りませんが、右肩上がりで上昇していることは高く評価できます。また、インデックスを上回る投資成果を目指すアクティブ投資の投資信託で、過去しっかりとした実績があり、多くの危機を乗り越えているものなどに投資するのもよいかもしれません。
ほかにも、債券や様々な資産に投資して、株式に投資するよりはゆっくりになるものの、リスクを減らしながら徐々に資産額を増やしていくことを目指す投資信託に投資する方法もあります。

連続増配銘柄

連続増配企業(毎年配当金を増額する企業)の株式に投資する方法です。中には、半世紀を超えて増配を続ける企業も存在します。長期間増配を続けられるということは、安定的に業績を伸ばしてきたということです。

これまで連続増配をしてきたからといって今後もそうなるとは限りませんが、今後も安定成長が期待できます。

不動産投資

マンションやアパートなどの不動産を購入して、値上がり益や賃料収入を狙う投資方法です。うまく運用できれば大きな利益や不労所得を得て余裕ある生活を送れるようになります。ただ、不動産投資にはメリットが多いものの、当然のことながらリスクもあります無理のない資金計画に基づいて投資を行うことが重要です。

いかに「まとまった資金を早く作るか」が重要

ここまでFIREとは何か、FIREを実現するためのステップ、FIREを実現するための具体的な運用方法について解説してきました。

FIREを実現するためには、いかに「まとまった資金を早く作るか」が重要です。目標資産額に到達するスピードを高めることも重要ですが、投資にはリスクも伴いますので、じっくりと資金計画を立て、それに基づいた投資を心がけましょう。

※本記事は投資に関わる基礎知識を解説することを目的としており、投資を推奨するものではありません。

(提供:Wealth Road