日経平均株価は8/30(月)~9/8(水)にかけて8日続伸し、およそ10ヵ月ぶりの連続記録となった他、9/8(水)の終値では3万円台を回復。TOPIXもおよそ31年ぶりの高値水準を実現するなど、上昇基調となりました。
こうした株高は、政治不安の後退・次期政権への期待感が大きな要因の1つです。
そこで今回は、菅首相の退陣表明を受けて次期首相に注目が集まる中、東証1部の総裁選関連銘柄をご紹介します。
当ページの内容につきましては、SBI証券 投資情報部長 鈴木による動画での詳しい解説も行っております。ぜひ、ご視聴ください。
日本株投資戦略
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■執筆者のプロフィール
ラジオNIKKEI(月曜日)、中部経済新聞(水曜日)、ストックボイス(木曜日)、ダイヤモンドZAIなど、定期的寄稿も多数。
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≪自民党総裁選挙≫東証一部上場企業から関連銘柄を探る
自民党総裁選挙の日程は9/17(金)告示、9/29(水)投開票です。
なお、9/20(月)にオンライン討論会、9/23(木)~9/26(日)には初めて、新型コロナウイルス対策や外交・安全保障、憲法改正などテーマ別に、国民から候補者が直接質問を受けて討論するオンライン形式の政策討論会も予定されています。
9/9(木)現在、自民党総裁選立候補者は岸田 文雄氏、河野 太郎氏、高市 早苗氏の3氏が有力視されています。
そこで各候補者の主要政策と推定される関連銘柄(図表1)、その銘柄の概要・ポイント(図表2)をまとめました。
【抽出条件】
・前期、今期会社予想ともに営業黒字の銘柄に限定。
・過去5日の1営業日当たりの出来高が最低でも1万株以上の銘柄に限定。
図表1 自民党総裁選挙、各候補者の主要政策と推定される関連銘柄
岸田 文雄氏関連銘柄・・・医療難民ゼロ、地方のデジタル化(デジタル田園都市構想)
コード / 銘柄 / 株価(9/9) / 騰落率(8/20~9/9)
<2120> / LIFULL / 358 / 11.9%
<2175> / エス・エム・エス / 4,175 / 11.8%
<6326> / クボタ / 2,414.5 / 13.3%
<7732> / トプコン / 1,956 / 17.5%
河野 太郎氏関連銘柄・・・脱原発(再生可能エネルギー)・脱ハンコ
取引 / チャート / ポートフォリオ / コード / 銘柄 / 株価(9/9) / 騰落率(8/20~9/9)
<9519> / レノバ / 5,670 / 29.5%
<3788> / GMOグローバルサイン・ホールディングス / 5,140 / 23.4%
<1973> / NECネッツエスアイ / 2,171 / 9.0%
<6378> / 木村化工機 / 762 / 6.7%
<9517> / イーレックス / 2,716 / 21.7%
<3969> / エイトレッド / 2,484 / 15.4%>
<8593> / 三菱HCキャピタル / 593 / 2.8%>
<5074> / テスホールディングス / 2,447 / 23.6%
<9514> / エフオン / 934 / 13.3%>
<2151> / タケエイ / 1,774 / 18.8%
高市 早苗氏関連銘柄・・・サイバーセキュリティ
取引 / チャート / ポートフォリオ / コード / 銘柄 / 株価(9/9) / 騰落率(8/20~9/9)
<2326> / デジタルアーツ / 9,200 / 13.4%
<3040> / ソリトンシステムズ / 1,552 / 15.6%
<4704> / トレンドマイクロ / 6,250 / 7.2%
<6088> / シグマクシス / 3,030 / 42.2%
※Bloombergデータ、会社公表データをもとにSBI証券が作成。
※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
図表2 自民党総裁選挙関連銘柄の概要・ポイント
コード / 銘柄 / 概要・ポイント
<2120> / LIFULL / 「空き家再生」を軸に日本の新しいライフスタイルを創出。
<2175> / エス・エム・エス / 介護、医療、アクティブシニア等を中心に人材を紹介。看護師紹介では国内トップ。
<6326> / クボタ / 国内農機のトップ。スマート農業を推進。
<7732> / トプコン / スマート農業分野でクボタと共同研究。高い技術力を駆使した精密農業システムを有する。
<9519> / レノバ / 再生可能エネルギー事業を手掛ける。
<3788> / GMOグローバルサイン・ホールディングス / 電子認証事業が世界規模。「脱ハンコ」の中核的銘柄。米ドキュサインと提携。
<1973> / NECネッツエスアイ / 通信ネットワークの構築、保守、運用。「脱ハンコ」「脱紙」推進。米ドキュサインの技術を使用。
<6378> / 木村化工機 / 世界で初めて、低濃度アンモニア水から高純度水素を抽出。
<9517> / イーレックス / 独立系の新電力会社。自社バイオマス電源を使用。
<3969> / エイトレッド / 稟議・申請書等の文書を電子化するソフトウエアを提供。
<8593> / 三菱HCキャピタル / 再生可能エネルギー分野でファイナンスプランを提供。
<5074> / テスホールディングス / エネルギー分野でワンストップソリューションを提供。再生可能エネルギー主電源化を指向。
<9514> / エフオン / 木質系バイオマス素材を燃料に発電。省エネルギー支援を行う。
<2151> / タケエイ / 産業廃棄物処理の大手。バイオマス発電所を保有し、再生可能エネルギー事業に注力。
<2326> / デジタルアーツ / 情報漏洩を防ぐソリューションを提供。
<3040> / ソリトンシステムズ / サイバー攻撃対策ソリューションを提供。
<4704> / トレンドマイクロ / コンピュータ及びインターネット用のセキュリティ関連製品の開発・販売を行う。
<6088> / シグマクシス / パートナー企業と協力し、サイバーセキュリティを助言。ネット詐欺対策ソリューション等の提供を行う。
※報道等をもとにSBI証券が作成。
※政策、投資テーマに関連すること等が想定される点を記載しており、対象企業の内容をすべて説明するものではありません。
抽出銘柄の投資ポイント
この項では、図表1で抽出した銘柄の一部について、投資ポイントや直近の決算情報などをご紹介します。
エス・エム・エス(2175) 医療・介護人材の流動化で貢献
期間:2021/3/18~2021/9/10(日足)
※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
■介護士紹介で国内トップシェア
主力事業は介護・医療分野を対象とするキャリア分野(人材紹介)で、売上高の71%(2022/3期・第1四半期)を占めます。次いで、介護事業者向け経営支援プラットフォームを運営する介護事業分野が売上高の16%(同)を占めます。
この内、キャリア分野の看護師人材紹介は国内トップシェアを有しています。
また、介護事業分野の経営プラットフォームは、保険請求サービスに加えて求人・業務支援・金融・購買等のサービスをワンストップで提供しています。
業績は順調で、2022/3期・第1四半期は売上高108億円(前年同期比2.8%増)、営業利益25.4億円(同14.2%増)でした。キャリア分野は前年同期比4.8%減でしたが、介護事業分野が同26.5%増と伸長しました。
■株価は決算発表後に急騰
株価は2022/3期・第1四半期決算発表後、おおむね上昇基調に。8月は月間で27%も上昇。9月も買い先行となっています。
今後は急激な上昇後だけに、株価の調整に注意したいところです。ただ、医療人材の確保は岸田氏の政策である「医療難民ゼロ」には欠かせない分野であり、株式市場の注目は続くと見られます。
テスホールディングス(5074) エネルギー分野でワンストップソリューションを提供
期間:2021/4/27~2021/9/10(日足)
※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
■再生可能エネルギー分野のEPC(設計・調達・施工)
同社は、再生可能エネルギー発電所のEPC(設計・調達・施工)や自社発電所による供給事業などを展開しています。
1979/5に前身の阪和熱水工業を創立。1992/1にテス・エンジニアリングに社名変更。2006/2に発電容量70MW(メガワット)のガスエンジンコージェネレーション発電所の運転保守一括受託事業開始。2010/2に特定規模電気事業(現・小売電気事業)の開始を届出。以降、工場・事業所向けの自家発電設備の設置工事に尽力し、太陽光発電所・バイオマス発電所のEPC受注も活発化。2018/4に現社名を完全親会社とする持株会社体制に移行しました。
■今期も太陽光発電等のEPSが伸長へ
2021/6期の売上高は342億円(前期比20.5%増)、営業利益は44億円(同25.3%増)でした。エネルギーサプライ事業(再生可能エネルギー発電所の所有・運営・売電)が順調に伸び、利益拡大をけん引しました。
2022/6期の連結業績は、売上高298億円(前期比13.0%減)、営業利益49億円(同11.5%増)を計画。今期より、「収益認識に関する会計基準」等を適用するため、売上高でのマイナス影響は103億円となり、実質増収見通し。エンジニアリング事業では、受託型でコージェネレーションシステム、太陽光発電システム等のEPCによる売上が順調に推移する見通しです。
株価は7月高値を突破し、過去最高値水準にあります。割高感が強まりつつある点は注意が必要です。
トレンドマイクロ(4704) 情報セキュリティソフトでトップシェア
期間:2021/3/18~2021/9/10(日足)
※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
■ウイルス対策ソフトの老舗的存在
ウイルス対策ソフトの老舗的な存在です。
個人・法人向けにパソコンを保護する「ウイルスバスター」の他、法人向けの標準型サイバー攻撃対策ソリューション等、様々なセキュリティサービスを提供しています。
日本に上場している情報セキュリティ関連企業の中で、グローバルに活躍する稀有な存在とも言えます。地域別構成比(2021/12期・上半期)は日本41%、北米19%、欧州18%、アジア・パシフィック19%等と世界に広がっています。
2021/12期は売上高1,834億円(前期比5.4%増)、営業利益409億円(同3.6%増)、純利益288億円(同7.0%増)で、純利益ベースでの最高益更新が視野に入っています。そうした中、上半期は売上高が913億円(前年同期比9.0%増)、営業利益221億円(同10.3%増)と順調です。
■安定成長型型。中長期投資の対象にも
情報セキュリティ分野で長期的に活躍しながらも、前期の売上高利益率は22.7%と高水準をキープ。
今期予想配当利回りは2.7%と東証1部平均1.75%を上回ります。
前期まで過去7年間は営業利益が300億円台でしたが、会社予想通りであれば今期は400億円台へのステップアップとなりそうです。
サイバーセキュリティが“国策化”すれば、同社の存在意義が改めてクローズアップされる可能性があるのではないでしょうか。
※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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鈴木英之
SBI証券 投資調査部
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