要旨

「環境性能評価」が新築マンション価格に及ぼす影響
(画像=Kirill Neiezhmakov/Shutterstock.com)
  • 環境・社会問題に対する世界的な関心の高まりを背景に、日本においてもESG関連の投資額が急速に拡大している。不動産分野でも、「国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)不動産ワーキンググループ(PWG)」が「責任ある不動産投資(RPI、Responsible Property Investment)」を提唱しESG配慮の動きが強まるなか、「環境性能評価」の普及が進み注目も高まっている。
  • 不動産市場を把握する上でも、「環境性能評価」が不動産取引に与える影響を把握することは重要だと思われる。以下では、大阪市の「自治体版CASBEE」を対象に、「環境性能評価」が新築マンション価格にどのような影響を及ぼしているのか分析を行った。
  • 本稿の分析では、「環境性能評価」は新築マンション価格に対し、統計的に有意な影響を与えていることが分かった。具体的には、新築マンション価格は、「環境性能評価(総合評価)」が 1ランク高い場合、約4.7%高いことが示唆された。
  • 政府は2050年までに温室効果ガス排出量の実質ゼロにする目標を掲げており、温室効果ガスの排出抑制等に取り組む企業も増加している。こうした社会的な機運の高まりを背景に、個人の住宅選択においても「CO2削減」等に配慮した住宅への評価が高まると考えられる。今後は不動産取引において「環境性能」に関する情報の重要性が高まり、マンション価格に及ぼす影響が大きくなる可能性がある。