カリウムは、人間が生きていく上で必要となるミネラルの一つです。そのため、体内でカリウムが不足すると、さまざまな弊害が発生します。この記事では、カリウムが不足するとどういった症状が見られるのか具体的に解説します。また、カリウム不足を解消するためのポイントも取り上げているため、ぜひ参考にしてみてください。
目次
カリウムが不足すると見られる症状
体内でカリウムが不足すると脱水や食欲不振、吐き気、脱力感といった症状がみられるようになります。そのほかにも、筋力の低下やものごとへの無関心、不安感に襲われる、といった症状が現れることもあります。
ただし、カリウムはさまざまな食品に豊富に含まれているものであるため、食事をちゃんととっていれば不足することはありません。カリウムが不足する原因については後述します。
カリウムの役割
カリウムは人間の体内にあるミネラルの一つであり、細胞の浸透圧を維持できるように調整する役割を持っています。また、体内の余計な塩分を体外に排出する効果も持っていることから、血圧を下げる栄養素でもあります。
低カリウム血症にも注意
カリウムが不足すると先述の通り脱水や食欲不振、吐き気などの症状がみられますが、それ以外にも低カリウム血症にも注意しなければなりません。低カリウム血症とは、血液中のカリウム濃度が低くなる病気のことです。
低カリウム血症になると、筋肉痛や動悸、脱力感などが初期の自覚症状として現れます。その後症状が進行すると、手足の麻痺や歩行・起立困難などが起こり、入院が必要になる可能性もゼロではありません。さらに、低カリウム血症がきっかけとなり、多尿や便秘、排尿困難、さらには意識消失などが起こるケースもあります。中には不整脈が出るケースもあるため、心臓疾患を持っている人は注意しなければなりません。
低カリウム血症の原因
低カリウム血症が発生する主な原因としては、以下のようなものが挙げられます。
- カリウム摂取量がそもそも少ない
- 体外に排出するカリウムの量が多い
- カリウムが血液中から細胞内に取り込まれている
カリウムを含めたミネラルは、体内での生成ができないものであり、食物から摂取しなければなりません。しかし、カリウムの摂取量自体がそもそも少ないと、カリウム濃度が低下し、低カリウム血症につながる恐れがあります。
また、体内にカリウムがあっても、嘔吐や下痢などによって体外への排出量が多くなってもカリウム濃度低下につながります。また、副腎に病気を抱えている方、利尿剤を使用している方もカリウムの排出量が多くなりがちであるため注意が必要です。
そして、血液中にあるカリウムが細胞へと取り込まれることで、カリウム濃度が低下し低カリウム血症につながる恐れがあります。これは、インスリン投与や交感神経系の刺激などによって発生するとされています。
低カリウム血症の検査・治療
カリウム濃度の一時的な低下であれば、しばらく経てば回復しますが、カリウム不足の際に見られる症状が続くようなら病院での検査を検討してください。
低カリウム血症の検査は、血液検査や尿検査を行い、血中・尿中のカリウム量を調査します。また、症状がひどい場合は不整脈の恐れもあるため、心電図を確認することもあります。
治療に関しては、カリウムを含む食品の摂取やサプリメントの服用などが行われます。また、薬が原因となっている場合は、服用を中止する・減量するといったケースもあります。
なぜカリウムが不足するのか
ここでは、カリウムが不足する原因について解説します。日常生活のちょっとしたことで不足する可能性もあるため、ぜひ参考にしてみてください。
◇食事制限をしている
ダイエットを目的として食事制限をしている場合、食物を通したカリウム摂取量が減る可能性があり、カリウム不足に陥ります。ダイエットに取り組んでいる人は少なくありませんが、栄養バランスには注意しなければなりません。
◇下痢や嘔吐によるもの
カリウムは下痢や嘔吐によって体外に排出されてしまいます。そのため、下痢が続くなどするとカリウム不足に陥る可能性があるため注意してください。
◇インスリンを投与したあと
インスリンの投与によってカリウムが不足するケースもあります。インスリンは血液中の糖を細胞内に移動させることで血糖を下げる役割がありますが、このとき糖と一緒にカリウムも細胞内へ移動するためカリウム不足に陥ります。
◇薬の服用によるもの
抗がん剤や利尿剤、抗生物質など薬の服用の影響でカリウム不足になることもあります。これは、これらの薬がカリウムを体外へ排出する働きがあるためです。
◇汗を大量にかいている
カリウムは、汗からも大概へと排出されます。夏場など大量の汗をかきやすい季節は、こまめに食事や水分を摂るようにしましょう。
カリウム不足を改善するには
ここでは、カリウム不足を改善するためにできることについて解説します。比較的簡単に取り組めることであるため、ぜひ参考にしてみてください。
◇カリウムを多く含む食事を摂取する
先ほどから説明しているように、カリウムは食事を通して摂取することができます。中でも、肉類や魚介類、藻類、果実類、いも・でん粉類、豆類などに多く含まれています。具体的な食材としては以下のようなものが挙げられます。
- ひじき
- ぶどう
- アボカド
- 梅
- バナナ
- ほしいも
- 納豆
- 豆腐
- 豚ヒレ
- 豚もも
- 牛もも
- カンパチ
- 枝豆
- しそ
など
カリウムを含む食材を調理する際の注意点
カリウムは水溶性であるため、煮たり茹でたりすることで、水に溶け出してしまいます。そのため、カリウムを摂取したい場合は、できるだけ生のものを食べるようにしましょう。例えば、サラダにして食べる、生の果物のままで食べるといった形です。
◇サプリメントを活用する
カリウムは、サプリメントが市販されているため、食事と合わせて摂取することでカリウム不足を回避できます。サプリメントは気軽に摂取できる点が特徴ですが、過剰摂取につながる可能性もあるため、摂取量には注意が必要です。
まとめ
今回は、カリウム不足に伴い発生する症状から、カリウムが不足する原因、対策などについて解説しました。カリウムは人の体では生成できず、不足するとさまざまな病気につながる恐れもあります。今回の内容を参考に食事などを通してカリウムの摂取に取り組んでください。
・ニューヨーク州バッファロー市生まれ
・金沢医科大学 医学部 卒
・金沢医科大学病院にて小児科・内科研修
・大阪・神戸・東京・福岡の病院で内科と皮膚科を担当
・2018年8月クリスタル医科歯科クリニック内に内科、美容皮膚科、アレルギー科を開設