本記事は、浅村正樹の著書『バカのための思考法』(クロスメディア・パブリッシング)の中から一部を抜粋・編集しています

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(画像=PIXTA)

世界の覇権は米国か中国か、それとも――

国際政治の舞台では、世界の覇権を巡って欧米諸国と中国との対立が激しくなっている。

原稿を執筆している2021年7月現在、NATO連合軍による軍事的な対中包囲網は着々と完成しつつあり、そこに日本、インド、オーストラリア、台湾、フィリピン、インドネシアなどアジア・オセアニア諸国も加わり、中国は追い込まれつつある状況である。

もしかすると、この本が発売される頃には最悪の展開に発展していないとも限らない。そのくらい緊迫した状況にある。

一般的な理解としては、次の超大国として世界の覇権を握ろうとする中国共産党と、それを抑え込んで覇権を渡すまいとする米国の覇権争いが軍事的な緊張にまで発展しているということになるのであるが、果たして国家というものが世界の覇権を実質的にどの程度握っていると言えるのだろうか?と思うところもある。

国家とは自らの国境の中に閉じ込められた不自由な共同体であり、入れ物のような役割を果たしているだけかもしれない。

国境に縛られず世界中を自由に駆け回るものが本当の覇権力を持っているわけだ。

つまり姿を変えながら世界中を自由に飛び回るマネーこそが覇権力であり、マネーを最も大きく動かしている者が世界の覇者なのだと私は考えている。

これについては歴史研究家・林千勝先生の著書『ザ・ロスチャイルド』が世界の支配構造を理解する上で詳しい。

とは言え、いきなり「ロスチャイルドが世界を牛耳っている」と解説しても何の意味もないので、マネーというものが国家よりも自由に世界中を飛び回り影響を及ぼしているという観点で考えてもらいたい。

章の冒頭でも説明したが、GAFAMと呼ばれているテック企業5社はその時価総額において、石油会社のSaudi Aramcoを除けば世界のトップ5である。

したがって誰からも買収される脅威はなく、逆に莫大な資金力にものを言わせて世界中の優良企業を買収しまくっている。このことは何度も折に触れて言及してきた。

昨年、Microsoftは仮想ネットワーク分野の企業を買収し、AppleはスポーツのVR配信を手掛ける企業を買収、FacebookはGIF画像検索エンジン企業を傘下に収めた。

戦略的に必要な技術やインフラは自社開発するよりも買ってきた方が早いというわけで、世界中の魅力的な技術力をさらにGAFAMが独占していくという構図ができ上がっている。

それから新商品や新サービスが打ち出され、彼らが市場を席巻していくのだ。そしてさらに時価総額が上昇するというスパイラルである。

新型コロナパンデミックによって世界中で経済的損失が問題となる中、GAFAM5社はコロナ禍においても利益を拡大させている。

利益拡大の大きな要因は、自社株や投資先の株価上昇と世界中がリモート化に大きく変化したことによる需要拡大だと言われている。

しかし、GAFAMがコロナ禍の不景気に影響されないのは、需要の大きな市場を独占しているからではない。

GAFAMがあらゆる産業の最も川上に位置し、全産業のインフラを握っているからだ。

世界中のほぼすべてのパソコンのOSを独占し、スマホなどの端末を製造し、巨大サーバーで全人類の情報を掌握し、クラウドサービスや、人や情報と繋がれるプラットフォーム市場も独占し、生活に必要な物資をネット上で購入できる世界最大のマーケットも運営している。

あらゆる産業は彼らの手の中でビジネスを展開している構図なのだ。

2017年にデンマークがGAFAM担当大使なるものを任命したように、一部の国ではGAFAMに国家と同等の立場を与えて関係性を持とうとしているという。

またGAFAMの大株主であるオーナーたちの中には、財団などを通じて政治的影響力を行使する政治活動家として存在感を増す人物も出てきている。

例えば、Microsoft創業者のビル・ゲイツ氏は自身の財団を通じて世界保健機関(WHO)に多額の寄付をしている。

民間からの寄付としては断トツであるだけでなく、世界各国の政府と比べても、アメリカに次ぐ第2位の高額寄付者である。日本国よりもWHOにお金を出しているのだ。

さらには、GAVIアライアンスというワクチン接種を推進する世界同盟の創始者でもある。

これは捉え方の問題もあるかもしれないが、このように見ると、ビル・ゲイツ氏が「コロナ対策のために世界中でワクチン接種をするべきだ」と言えば、WHOはその発言を無視できないので、各加盟国に対してワクチン接種を強要するという構図が成立する。

GAFAMの人類に対する影響力は特別に大きいが、しかしGAFAMが初めてなのではない。

歴史を辿ってみれば、超巨大な資本家が頂点に君臨して、その下に財閥系企業が世界中の企業の株主として経済界を牛耳り、そこから得た莫大な利益を社会に還元することで超巨大な資本家は政治活動家としての発言力を持ち、それを受けて政治が動くという構図は同じなのだ。

まさに資本に国境も規制もないのである。

バカのための思考法
浅村正樹(あさむら・まさき)
YouTuber、情報空間コーディネーター、パーソナルコーチ、評論家
1978年岡山県生まれ。会社員時代は人材育成やチームビルディングで成果を挙げ、その経験と心理学や脳科学、量子物理学をベースとした独自のマインドコーチング「SATORISM」を生み出す。2020年に独立し、ATORISMに基づく情報空間書き換え術や多次元視力開眼秘法を使った企業コンサルティングやパーソナルコーチングを行っている。自身のYouTubeチャンネル『SATORISM TV』では世界情勢の裏側や真相を独特の考察で掘りする解説が大好評。「観るだけで頭が良くなる動画チャンネル」として視聴者から熱い支持を得ている。現在『SATORISM TV』はニコニコ動画を中心に展開している。インディーズでロックギタリストとしても活動している。

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