本記事は、浅村正樹の著書『バカのための思考法』(クロスメディア・パブリッシング)の中から一部を抜粋・編集しています

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(画像=PIXTA)

「正しく解答する」ための詰め込み偏差値教育は、日本人のあるべき姿か?

GHQが占領政策で行ったのは、勝手に作った憲法を押しつけたり、余剰農産物を表向きに善意の顔をしながら強制的に売りつけて、日本人を不健康にさせただけではない。国家として最も重要な「子どもの教育」にも手をつけたのだ。

日本を占領したGHQは1945年(昭和20年)10月から「教育に関する四大指令」なるものを発令していく。それは次のような内容であった。

◇第一指令「日本の教育制度に関する管理政策に関する指令」

まずGHQは当時の文部省に対して、GHQの指令にしたがって政策を実施し、その結果を報告するよう命じている。つまり、文部省はGHQの下部組織となったことを意味している。

◇第二指令「教員および教育関係者の調査・除外・許可に関する指令」

これはいわゆる「公職追放政策」の一環で、教職員や文部官僚の思想調査を実施し、軍国主義や国家主義的思想の教職員、GHQの政策に反対する教職員や文部官僚を解雇・追放し、公的機関への再就職を禁止するよう命じている。

この指令によって全国95万人もの教職員と文部官僚が適格審査を強要され、3000人が不適格者の判定を受け、さらには約20万人の教職員と文部官僚が辞職した。

◇第三指令「神道に関する指令」

この指令によって、学校での神道行事の禁止と神道の意義などを教えることも禁じられた。加えて、天皇家に関することや日本の歴史・伝統の素晴らしさを教えることも禁じられた。

◇第四指令「修身、日本の歴史・地理の授業停止に関する指令」

この指令によって、道徳教育である「修身」は廃止され、歴史・地理に関してはGHQの許可が下りるまで授業は停止された。

この教育に関する四大指令を通じてGHQは日本人にどのような影響を与えようと画策していたのだろうか。

それを示す具体的な指示書や計画書などはないので、状況証拠から推察していくしかないのだが、学校での神道行事の禁止・神道を学ぶことの禁止・修身の授業を廃止したことから考えれば、日本人特有の精神性と感性を鈍らせ、心の拠り所を奪ってしまうことが狙いだったと言える。

何かを深く信仰し、それをベースに確固たる人生観を構築することは、主体的に人生を生きることに直結すると私は思うのだが、そういった精神性を破壊することを企図していたと考えられる。

加えて、正しい歴史認識ではなく「自虐史観」を植えつけることで、先人への尊敬や感謝の感性を鈍らせ、先人との繋がりを断絶させる狙いもあったのである。

戦前までと戦後とでは、同じ日本人でも全くの別物に作り替えられてしまったと言える。

この四大指令に基づいて作られた教育基本法によって、戦前までの日本の教育の質は大きく変わってしまったと言っていい。

戦前までの日本では「系統学習」といって、物事の成り立ちや現象について「なぜ、そのようになるのか。それがどのような結果を招き、未来にどんな影響を及ぼすのか」といった物事の系統や論理を学ぶことが重視されていた。

ところが、戦後の教育では「問題解決型学習」が基本となった。要するに、求められた答えを正確に答えることができるかどうかである。

したがって、大量に暗記して答えを詰め込むことが学習の柱となったのである。「〇か×か、良いか悪いか」といった二元論的思考であり、求められたことだけを正しく行う発想になっていき、自らものを考え、未来へと展開させていく能力は育たない。

GHQが行った日本の教育改革とは、マインドのないロボットのような機能を果たす日本人を大量生産することだったのである。

あなたの思考や価値観はマスコミが創っている

突然、話は変わるのだが、私はテレビが大好きな子どもであった。幼少期から青春期にかけての1980年代から2000年くらいまで、テレビを観ない日は1日もなかったと言えるくらいテレビばかり観ていた。

最近のテレビ番組をほとんど知らないので比較することはできないけれども、当時のテレビ番組は面白いものがけっこうたくさんあったのだ。バラエティもアニメもドラマもテレビ史上に名を残すような名作がいっぱいあった。

音楽番組も映画番組も各局で毎日のようにやっていたし、生放送番組も多かった。毎週日曜日にはプロレスも放送していた。

しかし、2001年頃から段々とテレビを観なくなり、今では全くと言っていいほど観ていない。その頃からインターネットが普及し始めたというのもあるが、私がテレビを観なくなっていった理由はテレビを信じなくなっていったからだ。

信じなくなっていったきっかけは「9.11」である。

「9.11」とは2001年9月11日にアメリカで起きた同時多発テロ事件の通称である。この日を境に世界は「テロとの戦い」というモードにシフトした。

本書のテーマから乖離するので詳細については割愛するが、この「9.11」というテロ事件は、「ヤラセ」である。決して陰謀論の類いではない。

当時、ハイジャックされた2機の旅客機がニューヨークのワールド・トレード・センター・ビルに突っ込むシーンと、その後の2棟の超高層ビルが垂直に崩れ落ちる様子をテレビは何度も映し出していた。

それはあまりにも衝撃的過ぎて、私たち庶民は「思考停止」にさせられてしまった。冷静になって少し考えれば、おかしな点はたくさんあるのだが、連日のようにテレビは、旅客機がビルに激突するシーンと超高層ビルが垂直に崩壊していくシーンだけを延々と垂れ流すだけなので、視聴者である私たちはそれ以上の分析もできないまま「思考停止状態」だったのである。

そして当時のアメリカ大統領がテレビを通じて、テロとの戦いと報復を宣言すると「思考停止状態」の世論は簡単に動いてしまった。そして、その後20年間も続くアフガン戦争・イラク戦争へと突入していくことになる。

21世紀になってから、これほどまでに世論形成・世論誘導にテレビが有効に機能した例は他にないのではないかと思う。

旅客機が激突する様子やビル崩壊の瞬間が、偶然にしてはあり得ないくらいのベストショットでカメラに収められている。しかも一箇所ではない。

ヘリコプターを含むいくつもの地点からそれぞれベストショットで撮影されている。だから、どれもが映画のワンシーンのように「衝撃的」なシーンとして映っている。また専門家やコメンテーターがニュース番組に出演し、テロリストの手口や狙いを解説したり、ビルの崩壊が不自然なことではなく至極当然のことのように解説する。

そのようなマスコミ報道が連日のように繰り返された結果、私たちは無意識のうちに思考や感覚をコントロールされてしまったと言っていい。

実際、多くの人々の意識の中に、「イスラム原理主義過激派のテロリストは、非常に残虐かつ暴力的で、目的のためなら手段を選ばない恐ろしい組織だ」という固定観念が植えつけられたのではないだろうか。

事件当時の私もすっかりマスコミ報道に洗脳されており、イスラム教や中東のアラブ人に対して偏見を持っていたし、「被害者」であるアメリカが報復することは当然の権利であり、世界平和のために野蛮なイスラム原理主義のテロ組織など全滅させなければいけないとすら考えていたほどなのだ。

しかし、真実はそのようなものではない。

野蛮で残虐な犯罪組織は人種に関係なくどこにでもいるし、イスラム教にも様々な宗派があり総じて平和的で敬虔な信仰者がほとんどだ。また、欧米と中東の経済的な結びつきは強固で基本的に相互依存の関係性を維持している。

つまり、世界は基本的には上手く成り立っているのである。ところが、テレビ・新聞などのマスコミによってミスリードされ、私たちの頭の中には「分断された世界」「対立する世界」「戦わなければ殺される世界」が創られていくのだ。

アメリカによって「9.11」テロの首謀者と断定されたビン・ラディンは、かつてアフガニスタンに侵攻したソ連軍と戦闘を繰り広げていたが、ビン・ラディンの背後にあって軍事的・経済的に支援していたのはアメリカである。

また、「9.11」テロ事件の首謀者としてアメリカから名指しされた際にも、衛星テレビを通じて事件への関与を明確に否定していた。

しかし、そのような情報は知らされないまま、私たちはマスコミが創り出す特定のプロパガンダを信じ込んで暮らしているのだ。

そのプロパガンダの誘導によって、私たちの価値観はおろか、物事に対する考え方まで影響を受けているのだ。

その役割を担っているのがテレビと新聞であるということを、ちゃんと理解した上で情報をインプットしなくてはいけない。

バカのための思考法
浅村正樹(あさむら・まさき)
YouTuber、情報空間コーディネーター、パーソナルコーチ、評論家
1978年岡山県生まれ。会社員時代は人材育成やチームビルディングで成果を挙げ、その経験と心理学や脳科学、量子物理学をベースとした独自のマインドコーチング「SATORISM」を生み出す。2020年に独立し、ATORISMに基づく情報空間書き換え術や多次元視力開眼秘法を使った企業コンサルティングやパーソナルコーチングを行っている。自身のYouTubeチャンネル『SATORISM TV』では世界情勢の裏側や真相を独特の考察で掘りする解説が大好評。「観るだけで頭が良くなる動画チャンネル」として視聴者から熱い支持を得ている。現在『SATORISM TV』はニコニコ動画を中心に展開している。インディーズでロックギタリストとしても活動している。

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