本記事は、浅村正樹の著書『バカのための思考法』(クロスメディア・パブリッシング)の中から一部を抜粋・編集しています
SNSの驚異的な情報統制力
FacebookやTwitter、YouTubeといったSNSは、ユーザーである私たちがいつでもグローバルに他の人たちと繋がり、情報収集や情報発信を通じてコミュニケーションをするためのネットワークシステムである。
したがって、ネット上で検索可能なものもあるけれどもSNSという一応は閉じたパーソナルな空間ということもあり、自己責任の上、自由な表現活動と言論が許された空間である。
SNSの普及に伴って、多くの人がそれまで以上に自分の考えや意見を表現するようになった。
そういう意味では「ネット上では、自分の言いたいことが堂々と言える」時代になったはずだった。
しかし、それは大きな間違いだったと痛感する出来事が起きた。
2020年大統領選挙をめぐる不正疑惑騒動において、FacebookとTwitter、そしてYouTubeは私たちユーザーの知る権利と言論の自由を完全に妨害する側に回ったと言っていいだろう。
トランプ大統領支持派の多くがFacebookやTwitter、YouTubeを使ってトランプを応援したり、あるいは不正選挙に関する情報を積極的に発信した。
または、そういった情報に触れることで大統領選挙に関心を持つようになり、積極的にコンテンツの拡散に協力したり、自ら情報を発信するようになった人も多い。
残念なことに、バイデン支持派が熱心に不正選挙ではないことを訴えている投稿記事や投稿動画をあまり観たことがない。
ところが、Facebook、Twitter、YouTubeは、トランプを応援する内容の記事や動画を規制する動きを見せたのだった。
トランプは自身のTwitterで、度々、選挙において不正が行われたことをつぶやいていたし、自身のFacebookでも同様に不正が行われたことを主張する記事を投稿した。
しかし、TwitterもFacebookもトランプの投稿記事を規約違反という理由で勝手に削除してしまった。
それどころか、最終的にトランプのアカウントを永久凍結処分としてSNSという言論の場から追放してしまったのだ。
全米で数千万人、世界中で数億人のフォロワーを誇る現職の大統領の声を選挙期間中に勝手に削除するとは民主主義への挑戦としか言いようがない。
加えて、一般のユーザーによる選挙不正に関する情報やトランプを支持する内容の投稿記事や動画も未だに厳しい規制の対象となっている。
プラットフォーマー側の一方的な判断でトランプ支持の投稿記事や動画が削除されていった。また多くのトランプ支持者のアカウントが凍結されているのだ。
しかし、バイデン支持者の投稿記事や動画が削除されたといった話は未だに聞いたことがない。つまり、言論の平等はSNSの中には存在しないのである。
先述のように、今はSNSが新聞・テレビの代わりに世論誘導の役割を担っていることを考えると、言論の自由や平等といった綺麗事は関係ないのである。
都合の悪い情報や言論は遮断され、誰にも届くことはない。
SNSに投稿される記事や動画はすべて検閲されているはずだ。
規約違反の画像や映像、文言や言い回しなどかなり細かい部分まで検閲することは技術的には十分可能だ。
私も自身のYouTubeを通じて動画を配信しているが、すべての動画を検閲されていると覚悟している。
そのためNGワードやNGな言い回しによっては、AIが即座に反応して規制を加えてくることが多い。
極端に言えば、私がどれだけ有益な情報を発信したとしても、プラットフォーマーによって、その情報が誰にも届かないように規制されることもあり得るだろう。
また私がどれだけ検索をかけたとしても、特定の情報に辿り着けないようにコントロールすることもできるだろう。
なぜ、私たちはそのようにコントロールされなければならないのだろうか。
ミッションは「人々に考えさせない」こと
ここ数年間、主要SNSのユーザー数と利用率はともに上昇の一途を辿っている。中でもYouTubeの影響力が大きく高まっている。
その証拠に、毎日1人の割合で新規に芸能人が自身のチャンネルを開設していると言われている。
そうすると、それまでテレビしか観なかった人がその芸能人を観るためにYouTubeの視聴者になる。
また、新型コロナパンデミックの影響による「巣ごもり消費」の拡大に伴い、YouTubeなどのオンライン動画市場は活況を呈している。
総務省情報通信政策研究所が実施した2020年度の「主なソーシャルメディア系サービス・アプリ等の利用率調査」によると、日本におけるSNS利用率のトップはLINEで全世代の90.3%が利用している。
第2位は動画共有プラットフォームのYouTubeで、全世代の85.2%の人が利用しており、第3位以下のInstagramやTwitterなどを大きく引き離している。
YouTubeの利用率を各世代別に見てみると、20代以下の若年層では95%以上の人が利用している。筆者としては意外だったが、50代では81.2%、60代以上の世代でも58.9%の利用率である。
つまり高齢者の2人に1人はYouTubeで動画を視聴しているのだ。
今後は、間違いなくYouTubeがマスメディアとしての役割を担っていくと思われる。
現在の50代の約80%がYouTubeを利用しているということは、20年後には全世代の80%以上の人がYouTubeで動画を視聴するという時代が来る。
その分、国民のテレビの視聴時間は必然的に減るわけだ。
このままテレビ各局が電波独占という既得権益を解放して多チャンネル化の改革を受け入れなければ、テレビというプロパガンダ機関は姿を消すに違いない。
ここで私たちは「危機感」を持たなければいけない。
新聞とテレビが担ってきたプロパガンダ機関としての役割をSNSとりわけYouTubeが担っていく。
プロパガンダ機関としての役割とは「世論の形成」「世論を誘導」「大衆への洗脳」である。テレビ時代に比べて、自宅にいなくてもスマホがあればいつでもどこでも視聴者はプロパガンダの標的になり得るのだ。
しかも、テレビでは、どんな視聴者が観ているのかを把握するために視聴率調査などが必要であったが、YouTubeは視聴者の性別・年齢・趣味・価値観・思想など多岐にわたるパーソナルデータを把握している。
先述のターゲット・マーケティングのように「ターゲット世論誘導」や「ターゲット洗脳」という非常に効率的なプロパガンダが可能となるのだ。
つまり、これまでも大衆洗脳のプロパガンダは大成功してきたが、今後はさらに精度の高いものとなるわけである。一人ひとり個別にターゲットを絞った精緻なプロパガンダは、さらに私たちに「自分の頭で考えること」を止めさせる。
今はまだ、一般人ユーチューバーも活躍できるプラットフォームだが、視聴者が増えればスポンサーも増えテレビ化していくはずだ。
プロの映像技術や構成能力による動画が溢れてくることは明らかだろう。素人仕立ての動画は自然淘汰されていく。
また、今以上に表現への規制や情報統制などが強化されていく可能性も大いにある。すでに現在、新型コロナワクチンに関する情報は規制対象としてマークされており、とくにワクチンの危険性に触れた内容の動画は削除対象でもある。自ら検索しなければ、そういった動画には辿り着けないのだ。
私たちに求められているのは、自分は何を知らなければいけないのか、そのためにどんな情報が必要なのか、ということに意識をしっかり向ける癖を身につけることではないだろうか。
今一度、自分に必要な情報とそれを嗅ぎつける能力が備わっているかを確認しなければならない。
1978年岡山県生まれ。会社員時代は人材育成やチームビルディングで成果を挙げ、その経験と心理学や脳科学、量子物理学をベースとした独自のマインドコーチング「SATORISM」を生み出す。2020年に独立し、ATORISMに基づく情報空間書き換え術や多次元視力開眼秘法を使った企業コンサルティングやパーソナルコーチングを行っている。自身のYouTubeチャンネル『SATORISM TV』では世界情勢の裏側や真相を独特の考察で掘りする解説が大好評。「観るだけで頭が良くなる動画チャンネル」として視聴者から熱い支持を得ている。現在『SATORISM TV』はニコニコ動画を中心に展開している。インディーズでロックギタリストとしても活動している。
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