新型コロナウイルスの感染拡大は、飲食店業界に大ダメージを与えた。特に酒類を提供する居酒屋業態やバー業態の店舗は、ひときわ影響が大きかった。国や自治体が酒類の提供を自粛するよう求め、休業や時短営業を余儀無くされたことから、売上は大幅に落ち込んだ。
コロナ禍と飲酒、人々の心理はどう変わった?
消費者の視点に立ってみると、デメリットばかりではなかった。家飲みをすることでお金の節約につながり、会社の飲み会が無くなったことで時間も節約できた。
もちろん、外飲みができないことでうまくストレスを解消できなくなった人も少なくないとは思うが、中にはコロナ禍が収束しても「今後も節約になるなら…」と、引き続き外飲みをしない人も出てくるはずだ。
「酒類提供の時短要請解除」に関するインターネット調査
お酒のオンラインストア「KURAND(クランド)」を運営するリカー・イノベーションが2021年11月3~5日にかけて実施した「飲食店における酒類提供の時短要請解除」に関するインターネット自主調査の結果によると、酒類提供の時短要請解除後に飲食店で午後8時以降に飲酒した人は3割未満、今後も家飲みいしたいという人が8割近くもいることがわかった。
午後8時以降に飲酒をした人の割合は?
調査では「飲食店における酒類提供の時短要請解除がされてから、20時以降に飲食店などにお酒を飲みに行きましたか?」という質問をしており、その結果が以下の通りとなっている。
調査の結果、酒類提供の時短要請解除後に飲食店で午後8時以降に飲酒した人は3割未満にとどまっている。まだ行っていないという回答者の中には「家飲みをすることに慣れてしまい、外で飲むことがもったいないと感じるようになった」と答えた人などもいた。
今後も家飲みを楽しみたい人は多い?
先ほどの調査結果から、酒類提供の時短要請が解除されても、まだ外飲みをしている人は少ないことがうかがえる。調査では、今後も家飲みを楽しみたいと思っている人がどのくらいの割合でいるのかも調べている。その結果が以下の通りだ。
「これからも家飲みを楽しみたい」と回答した人は実に79.0%に上っている。回答者の声としては「好きな酒を好きなタイミングで周りの目を気にせず飲めるから」「片付けは大変だけど、お店で飲むよりゆっくりできる」などがあった。
生き残りをかけた企業努力が求められる
このような調査結果を鑑みると、今後も居酒屋チェーンなどは経営が厳しい状況が続くかもしれない。
国は飲食店などの支援策としてGo To Eat事業を再開しており、これにより客足が回復するスピードがある程度加速すると思われるが、Go To Eat事業が終わったあとは、客足がそれ以上回復しない状況が続く可能性もある。
今後、生き残るためには、より一層の企業努力が欠かせなくなる。アフターコロナにおいては、多くの居酒屋やバーの経営者には柔軟な発想が求められそうだ。
文・岡本一道(金融・経済ジャーナリスト)