要旨

楽天グループに対する独占禁止法被疑事件
(画像=PIXTA)

2021年12月6日、公正取引委員会は楽天に対して行ってきた独占禁止法上の懸念に対する審査について、楽天が約束した措置を確認することができれば終了することとした旨を公表した。

楽天は近年「共通の送料込みライン」という制度を導入し、3980円以上の購入については送料無料とすることとし、2019年8月からは、この制度に同意する事業者のみと出店契約を締結することとしている。

他方、既存の出店者にはこのような契約内容は規定されていない。しかし楽天は様々な不利益が生ずることを営業担当者が出店者に示唆などして、「共通の送料込みライン」への参加を出店者に余儀なくさせていた。これは独占禁止法が禁止する優越的地位の濫用に該当するおそれのある行為である。

楽天は、公取委から指摘された行為を行わないとする措置をとることとし、公取委はその措置が実施されたことを確認して審査を終了することとした。正式な処分である排除措置命令や課徴金納付命令を出さなかったのは、「共通の送料込みライン」そのものが正常な商慣習に対して不当とは言いにくかったことや、排除措置命令を出した場合に必ず出さなければならない義務的な課徴金納付命令を出すことのバランスを考えたといったことが推測される。