企業文化の構成要素は8つも!?成功する組織の作り方
(画像=VitaliiVodolazskyi/stock.adobe.com)

企業の目指す方向や価値観を社員と共有するには、企業文化が欠かせない。良い企業文化を醸成すれば企業は成長し続ける。今回は、企業文化の定義や浸透させるメリット、構成要素、定着方法について解説する。

目次

  1. 企業文化とは?
    1. 企業文化は事業の発展に不可欠
    2. ネガティブな作用もある
  2. 企業文化を持つ3つのメリット
    1. 企業文化のメリット1.企業の行動指針が明確になる
    2. 企業文化のメリット2.組織のチームワークが高まる
    3. 企業文化のメリット3.社員の定着率が高まる
  3. 企業文化を構成する8つの要素
    1. 構成要素1.ビジョン:Vision
    2. 構成要素2.ミッション:Mission
    3. 構成要素3.価値観:Values
    4. 構成要素4.慣行:Practices
    5. 構成要素5.人材:People
    6. 構成要素6.ナラティブ:Narrative
    7. 構成要素7.場所:Place
    8. 構成要素8.外部からの影響:Environment
  4. 企業文化を生み出す3ステップ
    1. ステップ1.自社の現状分析
    2. ステップ2.行動指針の決定
    3. ステップ3.企業文化の明文化
  5. 企業文化を定着させる3つの方法
    1. 方法1.明文化した内容を共有する
    2. 方法2.リーダーが適切にマネジメント
    3. 方法3.研修の実施と慣行への落とし込み
  6. 企業文化は社員と一緒に創造していく

企業文化とは?

企業文化とは、企業の全社員が共有する行動規範や価値観、信条だ。企業文化が根付けば、企業の社会的な価値を理解したうえで、社員が業務を行える。CSRを意識した行動もできるだろう。

企業文化は事業の発展に不可欠

企業文化が浸透している企業では、社員の行動目標も定まる。社員が目標を共有して行動できるため、業務の迷いが減って労働生産性も高まっていく。つまり、企業文化は事業の発展に大きく寄与するといえよう。

ネガティブな作用もある

歴史が長い大手企業などの場合、保守的な企業文化へ変遷すると、イノベーションの機会を失ってしまう恐れもある。

企業の持続的な成長には、確固たる企業文化を築いて共有するのはもちろん、市場や時代に合わせて修正する必要もあるだろう。

企業文化を持つ3つのメリット

企業文化の醸成が企業や社員にもたらすメリットを3つ紹介する。

企業文化のメリット1.企業の行動指針が明確になる

企業文化の構成要素には、企業の理想的な姿や使命といった行動指針が不可欠である。そのため、企業文化が醸成されている企業では、従事する業務に違いがあるとしても、社員が明確な共通目標に向かって行動できる。

企業文化のメリット2.組織のチームワークが高まる

企業文化が社員に認識されると、価値観を共有する仲間同士で連帯感が高まり、組織のチームワークが向上する。当然、チームワークには社員の性格も影響する。しかし、企業としての判断基準や行動指針が明確であれば、業務で不必要な衝突を減らせるだろう。

企業文化のメリット3.社員の定着率が高まる

社員が企業文化に共感していれば、会社にポジティブな感情を持ち続けられる。極端に給与待遇や就労条件などが悪くなければ、満足度の向上によって会社への帰属意識が高まり、離職リスクを減らしやすくなるだろう。

企業文化を構成する8つの要素

企業文化を構成する8つの要素を紹介する。

構成要素1.ビジョン:Vision

企業文化の重要な要素が、企業の目指す方向性を示すビジョンである。企業によっては企業理念と同義で扱われており、企業もしくは経営者の理想を言語化した内容だ。ビジョンを明確にすれば、経営に関わる営業活動なども含め、企業の行動指針が決まる。

構成要素2.ミッション:Mission

ミッションは、企業の理念に基づく行動や具体的な事業活動によって、世の中で果たしたい使命を示す。ビジョンとミッションが明確であれば、社会に提供する価値も明確にできる。企業文化を根付かせるために重要な要素だ。

構成要素3.価値観:Values

企業理念として掲げた目標を達成するには、全社員が価値観を理解して行動しなければならない。

価値観が共有されておらず、社員が独自の価値観で行動すると、企業文化の醸成が困難でバラバラの組織になりかねない。明確なコアバリューをビジョンやミッションと紐付けて確立させなければならない。

構成要素4.慣行:Practices

慣行なくして目標や価値観、企業文化を社員に根付かせるのは不可能だ。社員が日常的にビジョンやミッションを意識できるように、具体的な行動を企業から起こす必要がある。行動例は下記の通りだ。

・会議前に全員でミッションを指差し唱和する
・理念が記載されたカードを配布する
・目標管理シートに中期経営計画に基づいた行動を盛り込む

構成要素5.人材:People

企業文化は人材(社員)がいなければ生まれず、醸成されることもない。優秀な人材が多くても、ミッションや価値観に対して理解を得られないと、会社が望むビジョンを達成できない。

企業文化に共感する社員は定着率が比較的高くなる。企業文化が次の人材に受け継がれていくだろう。

構成要素6.ナラティブ:Narrative

ナラティブとは物語・語りという意味である。ストーリーは登場人物全体が紡ぐ物語であるのに対し、ナラティブは語り手が紡ぐ物語だ。企業文化も経営者や企業が語り続けていく。事業承継などで経営者が変わっても、歴史とともに色濃くなっていくだろう。

構成要素7.場所:Place

国や地域が違えば文化も異なる。山奥や海沿い、都心など、周辺環境の差によっても、企業文化は影響を受けるだろう。

構成要素8.外部からの影響:Environment

企業が参入している市場状況や社会情勢、トレンドの変化など、外部要因も企業文化に影響を与える。企業文化が醸成されても、時代の変化に合わせて修正・改革しなければ、企業の存続を脅かす可能性もある。

企業文化を生み出す3ステップ

企業文化は自然に発生して醸成されるわけではない。ここでは、企業文化を生み出す流れを3ステップで解説する。

ステップ1.自社の現状分析

企業文化の構成要素に関して自社分析が必要だ。自社を取り巻く外部要因は、経営計画などに落とし込まれているだろう。

人材の要素については、社員が企業をどう考えているか、認識の違いを知るためにも、満足度を含めたアンケートを取るとよい。社員が期待する会社の理想像について意見を集めよう。

ステップ2.行動指針の決定

企業の行動指針を決める要素は、ビジョンとミッション、バリューである。

行動指針を決めなければ、社員の行動目標も定まらない。ステップ1の調査結果をもとに明確化しよう。歴史が浅い企業の場合、調査結果と現状を照らし合わせて、行動指針の見直しを検討する。

ステップ3.企業文化の明文化

行動指針を定めたあとは明文化が重要だ。言葉で共有することで、社員が初めて行動指針を理解し、企業文化を意識できる。

ただし、社員が企業文化に馴染めないと、疎外感を感じて離職につながりかねない。そのため、企業文化を明文化したあとも定期的なアンケートを行うなどして、社員の意見に耳を傾けることも重要である。

企業文化を定着させる3つの方法

企業文化を定着させる方法を3つ紹介する。

方法1.明文化した内容を共有する

行動指針や目標とする企業文化について明文化したならば、それらを社員の目に触れる場所に共有しなければならない。社員証や掲示板への記載などさまざまな方法がある。自社のウェブサイトに掲載すれば社外向けにも発信できるだろう。

方法2.リーダーが適切にマネジメント

企業文化を明文化しても、社員が必ずしもその通りに行動するとは限らない。社員をマネジメントするリーダー層が、企業文化を理解して部下を育成しなければならない。

方法3.研修の実施と慣行への落とし込み

リーダー層の働きかけには限界がある。したがって、企業文化の研修を社員に実施するのも有効だ。朝礼や会議前に行動指針を唱和するなど、日常的に企業文化に触れる機会も取り入れたい。

企業文化は社員と一緒に創造していく

企業文化は、社員と一緒に理想像を追求していく中で創造していく。さまざまな構成要素があるが、行動規範に関わるビジョン・ミッション・バリューは特に明確化しなければならない。企業と社員で認識のずれがないか定期的にチェックしてほしい。

文・隈本稔(キャリアコンサルタント)

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