中国株に投資する場合には「経済指標」を必ずチェックするようにしたい。なぜなら経済指標の数字を追うことで経済や株式相場の先行きを予測しやすくなるからだ。本稿では「製造業PMI」「貿易収支」「消費者物価指数」など重要度が高い5つの経済指標について解説していく。

※本記事に記載されている数字は、2022年1月13日時点で公表されている指標を参照

目次

  1. 1.製造業PMI(購買担当者景気指数)とは
  2. 2.貿易収支
  3. 3.消費者物価指数
  4. 4.国内総生産/経済成長率
  5. 5.鉱工業生産
  6. 発表前に「市場予想」のチェックも

1.製造業PMI(購買担当者景気指数)とは

PMIとは、Purchasing Manager’s Indexの略で「購買担当者景気指数」のことである。つまり製造業PMIは「製造業の購買担当者景気指数」だ。製造企業の購買担当者に対してアンケート調査を行い新規受注や雇用などの状況を分析し、その結果が景況感として指数化され発表される。一般的に指数が50を超えると景気拡大、50を下回ると景気減速を示す。

ちなみに2021年7~12月にかけての中国製造業PMIは、以下のように推移している。2021年9~10月に50を下回ったが11~12月に再び50を上回った。

【中国製造業PMIの推移】

年月 製造業PMI
2021年12月 50.3
2021年11月 50.1
2021年10月 49.2
2021年9月 49.6
2021年8月 50.1
2021年7月 50.4

2.貿易収支

貿易収支は、輸出額から輸入額を指し引いた金額に関する指標だ。貿易収支が黒字だと中国のGDPの拡大を後押しするが赤字だと逆の傾向となる。以下が2021年6~12月にかけての貿易収支の推移だ。輸出額から輸入額を差し引いた金額がいずれも「プラス」となっているため、貿易黒字が続いている。

【貿易収支の推移】

年月 貿易収支
2021年12月 約944億6,300万米ドル
2021年11月 約717億2,000万米ドル
2021年10月 約845億4,000万米ドル
2021年9月 約667億6,000万米ドル
2021年8月 約583億4,000万米ドル
2021年7月 約565億8,000万米ドル
2021年6月 約515億3,000万米ドル

3.消費者物価指数

消費者物価指数は「CPI(Consumer Price Index)」とも呼ばれ中国国家統計局が毎月発表している商品やサービスの価格変動を測定している指標で、中国政府の金融政策の方向性に影響を与える。消費者物価指数は「前年比」や「前月比」で示され2021年6~12月にかけての推移は、以下の通りだ。前年比で2021年11月は2.3%、12月が1.5%と急速な高まりを見せていることが分かる。

【消費者物価指数の推移】

年月 消費者物価指数(前年比) 消費者物価指数(前月比)
2021年12月 1.5% -0.3%
2021年11月 2.3% 0.4%
2021年10月 1.5% 0.7%
2021年9月 0.7% 0.0%
2021年8月 0.8% 0.1%
2021年7月 1.0% 0.3%
2021年6月 1.1% -0.4%

4.国内総生産/経済成長率

国内総生産は「GDP(Gross Domestic Product)」とも呼ばれ国内で新たに生産・提供された財・サービスの合計金額のことを指す。国内総生産の発表では、GDPが四半期ごとに前年同期比でどれだけ伸びたかを示す「経済成長率」が明らかにされる。以下は、2020年第1四半期~2021年第4四半期までの経済成長率の推移だ。

2021年第1四半期の数字が18.3%と突出して高い。これは、前年同期が新型コロナウイルスの影響で大幅なマイナスとなったことが要因だ。その反動で18.3%という高い成長率を示す結果となっている。

【経済成長率(前年同期比)】

四半期 経済成長率(前年同期比)
2021年第4四半期 4.0%
2021年第3四半期 4.9%
2021年第2四半期 7.9%
2021年第1四半期 18.3%
2020年第4四半期 6.5%
2020年第3四半期 4.9%
2020年第2四半期 3.2%
2020年第1四半期 -6.8%

5.鉱工業生産

製造業部門や鉱業部門における景気の拡大や縮小を測る指標とされているのが「鉱工業生産」だ。各国の経済指標の中でも鉱工業生産指数は、重要度が高い指標の一つである。公表された数字によっては、相場の乱高下を引き起こすことも少なくない。以下が2021年6~12月における鉱工業生産の前年比の結果だ。

世界的な新型コロナの感染再拡大が影響して物流や建設の需要は、2021年8月以降伸びが鈍化している。

【鉱工業生産(前年比)の推移】

四半期 鉱工業生産(前年比)
2021年12月 4.3%
2021年11月 3.8%
2021年10月 3.5%
2021年9月 3.1%
2021年8月 5.3%
2021年7月 6.4%
2021年6月 8.3%

発表前に「市場予想」のチェックも

中国株への投資を検討しているならばほかにも以下のような経済指標も参照したい。

  • 小売売上高
  • 固定資産投資
  • 失業率
  • 新規借り入れ
  • 住宅価格指数など

なお経済指標を分析する際は「市場予想(コンセンサス)」との比較も欠かさず行いたい。多くの経済指標においては、発表前に市場予想が公表されている。市場予想とは、機関投資家やアナリストの予想などを平均化したものだ。市場予想と実際に公表された数値が大きく乖離すると相場参加者を動揺させ株価のボラティリティ(値動きの幅)が高まりやすい。

各経済指標は、事前に発表される日時が公表されているため、発表前に市場予想をチェックしたうえで公表のタイミングに臨みたいところだ。

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