三菱UFJフィナンシャル・グループが好調だ。2022年3月期第3四半期の決算発表で、2021年4〜12月の純利益として過去最高の金額を計上したことが明らかになり、その後株価は上昇を続けている。
4〜12月の純利益は1兆703億9,800万円
三菱UFJフィナンシャル・グループの2021年4〜12月の連結業績は、売上高に相当する「経常収益」は前年同期比2.9%減の4兆3,629億1,800万円とやや落ち込んだものの、事業の儲けを示す「経常利益」は同65.8%増の1兆3,936億1,100万円と大幅に増加した。
純利益は同76.3%増の1兆703億9,800万円。前述のとおり、4〜12月期の数字としては過去最高となった。
2022年3月期の通期目標の見通しは「純利益1兆500億円」と据え置いているが、すでにこれを超える純利益を確保している。予測を上方修正してもよさそうだが、コロナ禍や半導体不足といった不確定要素が多いとして予測を据え置いた。
ちなみに他のメガバンクの4〜12月の純利益は、三井住友フィナンシャルグループが前年同期比44%増の6,247億円、みずほフィナンシャルグループは同35%増の4,786億円であり、三菱UFJフィナンシャル・グループが先頭を走っている。
業績好調の理由は?
三菱UFJフィナンシャル・グループの業績は、なぜ好調なのだろうか。その理由は2つある。与信関係費用が大幅に減ったことと、融資先の米モルガン・スタンレーの事業が好調に推移していることだ。
金融機関は融資先が倒産するリスクなどを勘案し、決算で事前に与信関係費用を計上する。コロナ禍の影響で倒産する企業が予想よりも少なかったため、与信関係費用が減ったのだ。
経常収益の推移は?
続いて、三菱UFJフィナンシャル・グループの業績の推移を見てみよう。同グループの経常収益は2021年3月期こそ前期比マイナスとなったが、2013年3月期から2020年3月期までは順調に伸びていることがわかる。
純利益は、2015年3月期に1兆円を超えた後やや減少したが、今期は再び1兆円を超える見込みだ。同グループの亀澤宏規社長は1兆円以上の純利益を安定的に稼ぐことを目標としており、今期はその始まりになるかもしれない。
株価は上昇基調、株式投資家から期待感
株価は過去1年で45%上昇、年初から16%上昇している三菱UFJフィナンシャル・グループ。日経株価指数のパフォーマンスを大きく上回っており、業績も好調なので、さらなる株価上昇を期待している株式投資家は少なくない。
引き続き、同グループの業績と株価の推移に注目したい。
文・岡本一道(金融・経済ジャーナリスト)