システム障害を繰り返したみずほ、純利益33%減 その要因は?
(画像=picturecells/stock.adobe.com)

2022年2月2日、3メガバンクの一角を成すみずほフィナンシャルグループは2022年3月期第3四半期の連結業績を発表した。第1〜3四半期の累計(2021年4〜12月)では、前年同期比35.0%増の純利益を確保したが、第3四半期単体の業績はどうだろうか。

第3四半期単体の純利益は33.0%減

第1〜3四半期の業績は以下のとおりだ。売上高に相当する「経常収益」は前年同期比1.3%増の2兆3,454億5,300万円、事業の儲けを示す「経常利益」は同10.8%増の4,976億5,600万円、純利益は同35.0%増の4,786億5,600万円だった。

システム障害を繰り返したみずほ、純利益33%減 その要因は?

第1〜3四半期の業績を見ると、みずほフィナンシャルグループは好調に見える。しかし、第3四半期単体の業績を前年同期と比較すると、少し見方が変わる。

同社の前期の第3四半期単体の純利益は1,388億8,100万円で、今期の第3四半期単体の純利益は929億9,900万円と、前期から33.0%も落ち込んでいる。なぜ、このような結果になったのだろうか。

コロナの再拡大で与信関係費用が増加

第3四半期単体の純利益が前年同期比33.0%減となった主な要因は、与信関係費用が増えたことだ。 2021年4〜9月の与信関係費用は496億円だったが、10〜12月に983億円増え、今期累計で1,479億円となった。

与信関係費用とは、「貸倒引当金純繰入額」などのことだ。貸倒引当金純繰入額とは、将来回収が困難になりそうな金額を事前にマイナス計上する勘定のこと。融資先がオミクロン株の感染拡大で打撃を受けたことで、与信関係費用が膨らんだのだ。

過去10年の業績の推移は?「システム」が過去も今も……

みずほフィナンシャルグループの過去10年の業績の推移を見てみよう。

2020年3月期までは連続増収となっているが、2021年3月期は減収に転じた。純利益は2014年3月期から2017年3月期までは6,000億円を超えているが、2021年3月期は4,710億円に留まった。

特に2019年3月期の純利益は965億円と、1,000億円を割っている。理由は、基幹システムの刷新に伴う減損を計上したからだ。システムを刷新したものの想定どおりの収益につながらないとの見通しから、減損を計上せざるを得なかった。

システム障害を繰り返したみずほ、純利益33%減 その要因は?

このシステムが、現在みずほを苦しめている。2021年2月以降、みずほ銀行ではシステム障害が相次ぎ、金融庁から行政処分を受けた。その結果、みずほフィナンシャルグループの坂井辰史社長は引責辞任を表明した。

今後システム障害によって顧客離れが深刻化するおそれがあり、システム問題は引き続きみずほ経営陣の悩みの種となりそうだ。

次回の決算は通期決算の発表

次回の決算では通期決算が発表される。第3四半期終了時点で今期の純利益の目標の90%を達成しているため、市場から好意的に受け止められる数字が発表されそうだが、再びシステム障害が発生して決算発表が重苦しい雰囲気にならないか、少々心配だ。

文・岡本一道(金融・経済ジャーナリスト)

無料会員登録はこちら