株式を長期的に保有することで、リスクを抑えて資産を増やすことに魅力を感じている方は多いのではないでしょうか。そこで本記事では、株式を長期保有するメリット、長期投資に適した銘柄の選び方について解説します。
株を長期保有する3つのメリット
投資手法にはさまざまな種類がありますが、短期的に利益を狙う手法を短期投資、長期的に利益を狙う手法を長期投資といいます。まずは、株式を長期保有するメリットを3つの視点から解説します。
譲渡益と配当金を得られる
長期保有の1つ目のメリットは、譲渡益と配当金を得られることです。配当金は受け取るごとに再投資に回すと、保有株式数が増えることで配当金が増え続け、譲渡益も大きくなる可能性があります。また、企業が成長すると配当金を増やす場合もあるため、長期保有を続ければ大きな収益を期待しやすくなります。
コストを抑えられる
2つ目のメリットは、株取引のコストを抑えられることです。証券会社によって手数料体系は異なりますが、株式の売買には手数料がかかる場合がほとんどです。短期間で売買を繰り返す投資手法の場合は手数料がかさみがちですが、長期保有なら手数料を最小限に抑えられます。
収益率が安定する
3つ目のメリットは、収益率の安定です。投資期間が長くなるほど、1年あたりの平均収益率は安定する傾向があります。短期的には金融市場などの変化が年間の収益率に大きく影響しますが、10年などの長期保有の場合は値動きが平均化され、収益率がしていきます。
そのため、株式の保有から1年後に大きな損失が出たとしても、数十年にわたって長期保有すれば収益を期待しやすくなります。
長期保有する株の選び方・見極め方
短期投資と長期投資のどちらが優れているということはありません。短期投資と長期投資にはそれぞれのメリットがあるため、自分に合う投資手法を選択することが大切です。
続いては株式の長期保有に挑戦したい方に向けて、銘柄の選び方・見極め方をお伝えします。
自分の知識を活かせる分野を選ぶ
長期保有を前提とするなら、自分の知識を活かせる分野の銘柄を選びましょう。
長期保有では、特に銘柄分析が重要です。世の中のニーズやトレンドを踏まえ、企業の事業内容や経営方針を分析し、割安な銘柄や成長が期待できる銘柄を選ぶ必要があります。まったく知識がない分野の企業だと、必然的に銘柄分析の難易度が上がります。
自分が働く会社と関連する分野や、趣味に関連する分野の銘柄なら、事業内容を分析しやすくなります。またニーズやトレンドの変化、不祥事など、株価に影響を与える情報も自然と入ってきます。成長性の期待できる銘柄に投資し、企業の成長を応援するのもよいでしょう。
過去の業績や財務指標を分析する
銘柄分析では、過去の業績や財務指標に注目することも大切です。投資家向けに公開されている決算書等のIR情報に目を通しましょう。
まずは、売上や利益の推移を確認してください。増収増益などの傾向とともに、大きく増減している項目があれば報告書や関連するニュースなどを読み、理由を把握しましょう。
投資判断に役立つ財務指標には、PERやROAなどがあります。
PER(株価収益率)は株価が「1株当たりの当期純利益」の何倍かを表す指標で、株価の割安性を判断する際に役立ちます。一般的にPERが高いと割高、低いと割安と判断されます。
ROA(純資産利益率)は当期純利益を総資産で割った値で、会社の資産をどれだけ有効活用し、利益を生み出せたかを判断する指標となります。一般的に、5%以上あれば優良と判断されます。
PERやROAは業種によっても目安が異なるため、同業種間で比較するなどして慎重に判断しましょう。
損切りルールを決めておくことも大事
株式を長期保有している間に世界情勢が大きく変化したり、企業の業績が悪化したり、不祥事が発生したりするリスクがあります。そのため、万一の場合に備えて損切りのルールを決めておきましょう。
長期保有を前提に投資を始めた場合、損切りのルールが決まっていないと判断が遅れてしまう恐れがあります。損切りが遅れると含み損が拡大し、売るに売れない「塩漬け株」になってしまうことがあります。損切りのルールを決めておくことで、いざという時も冷静かつスピーディーに投資判断ができます。
ただし、短期投資のように「〇%下落したら損切りする」といった機械的な損切りルールは長期保有には適していません。「銘柄分析の際に立てた成長予測が外れた場合」「サービスを提供するエリア拡大やM&Aなど成長予測の根拠となるイベントがとん挫した場合」など、自分なりの判断基準をもとに損切りのルールを定めましょう。
長期保有を始めてからも損切りのルールに抵触しないかどうか、定期的に情報収集や分析を続けることも大切です。
株の長期保有は社会的にも意義がある
銘柄をしっかり分析し、成長性が期待できる企業にまとまった資金を投じる長期保有は、魅力ある投資手法です。複利効果を始め、投資家にとってもメリットが大きいといえます。
株式の長期保有には、良い取り組みを行っている企業を応援するという視点もあります。事業内容や経営方針を踏まえ、将来性を感じられる企業やビジョンに共感できる企業を探すのもよいでしょう。
投資家がこのような視点で企業を見極めて資金を投じることで、より良い企業が成長し生き残っていくことにつながるため、社会的にも意義があるといえます。
※本記事は投資に関わる基礎知識を解説することを目的としており、株式投資を推奨するものではありません。
(提供:Wealth Road)