多様な分野においてブロックチェーン技術の活用が拡大する一方で、需要の増加に伴う課題が指摘されています。その一つが、トランザクションの手数料の高騰や処理延滞を引き起こすスケーラビリティ問題です。

高い処理性能を誇る次世代ブロックチェーン「高速L1」は、その解決策として期待が高まっています。

ブロックチェーンのL1とL2

ブロックチェーンの進化への新たなる一歩「高速L1」とは?
(画像=iconimage/stock.adobe.com)

現時点において、ブロックチェーンのレイヤー(層)は0~4が開発されており、それぞれに異なる役割があります。今回はネットワークおよびスケーラビリティ問題において重要な役割を果たす、L1とL2について見てみましょう。

L1(レイヤー1)

L1はBitcoin(ビットコイン)やEthereum(イーサリアム)などのエコシステムの基盤となるネットワークやインフラのことで、ブロックチェーンの別名称でもあります。既存のL1はエコシステム内の主要なネットワークですが、スケーリングが難しい(=トランザクションの手数料の高騰や処理延滞が生じやすい)点が、大きなデメリットの一つです。

L2 (レイヤー2)

L2は、トランザクションの増加によるネットワークへの負担を軽減するためのレイヤーです。具体例として、Ethereumのブロックチェーンネットワーク上で、L2を使用してトランザクションを効率的に実行する「Polygon(ポリゴン)」が挙げられます。

一方で、オフチェーン型(※)のL2はトランザクションや計算プロセスが不透明性になるリスクが、オンチェーン型のL2はハッキングされやすいというリスクがあります。

(※)ブロックチェーンの外(オフチェーン)で取引などを処理すること。

スケーラビリティ問題の解決策「高速L1」

近年開発が進められている「高速L1」は、L1とL2の両方の特徴に焦点を当てた次世代ブロックチェーンです。

例えば、シャーディング(作業負荷を分散し、トランザクションの速度を向上させる技術)を利用して、スケーラビリティやパフォーマンスの向上を狙う「Elrond(エルロンド)」など、複数の高速L1が生まれています。

その中で特に注目を浴びているのは、以下のような高速・安価な決済の実現を目指すブロックチェーンです。

Aptos(アプトス)

Meta(メタ、旧Facebook)の暗号資産プロジェクト「Libra(リブラ)」や「Diem(ディエム)」の元開発メンバーが手掛けるブロックチェーンです。メタが開発したスマートコントラクト向け高セキュリティ・プログラミング言語「Move」を使用するなど、実用化に至らなかった「Libra」や「Diem」の技術やコンセプトを取り込んでいます。

分散型ネットワークの機能性や安定性、セキュリティを保証するために、「AptosBFT」という、独自のコンセンサス・アルゴリズムを導入しています。

このアルゴリズムは、高速処理能力を持つプロトコル「HotStuff(ホットスタッフ)」 を基盤とするもので、実行タスクのスケジューリングを行うことにより、トランザクションが並行して実行されるようにデータを組織化します。これにより、一取引あたりの運用コストを極めて低く抑えながら、アプリケーションの処理能力とストレージの拡張を可能にします。

開発元であるAptos Labs(アプトス・ラボ)は、2022年10月に「Aptos」のメインネット稼働を発表しました。同社のネイティブ暗号資産Aptos(APT)は、Binance(バイナンス)などの大手暗号資産取引所に上場しています。

Sui(スイ)

Mysten Labs(ミステン・ラボ)が2022年3月に発表した、分散型パーミッションレス(※)のL1ブロックチェーンです。

(※)管理者の許可がなくても誰でもネットワークにアクセスできること。

Metaの元開発メンバーによるプロジェクトであり、「Libra」や「Diem」の流れを汲んでいる、ネットワークを水平に拡張するように設計されているなどAptosと共通点があるものの、スケーラビリティという課題に対しては異なるアプローチで取り組んでいます。

SuiはAptosとは別バージョンの「Move」を使用しており、アドレスやトランザクションなど、ブロックチェーン上の記録されたほとんどのオブジェクトを閲覧できる保存システムを採用しています。

さらに、高性能トランザクション・メンプール(検証待ちのトランザクションを保留するスペース)「Narwhal&Tusk」を活用し、データストレージを効率的にシャーディングすることにより、高速・低コストでの処理を実現しています。

Solana(ソラナ)

2020年に米暗号資産スタートアップSolanaが、暗号資産「SOL」の基盤技術としてローンチしました。2022年11月9日現在の時価総額は、67億ドル(約9,715億円)に達しています。

ノードが自動的にトランザクションに対応する「Tower BFT」や、リーダー以外のノードがメンプール内のトランザクションの検証作業を実行する「Gulf Stream」など、複数の革新的技術を取り入れており、異なるブロックチェーン同士の相互運用性に優れている点も高く評価されています。

ブロックチェーンの発展に期待

今やブロックチェーンの活用は暗号資産の基盤技術という枠組みをはるかに超え、多様な経済活動のプラットフォームを構築するための技術へと広がっています。Wealth Roadでは「高速L1」の開発状況とともに、ブロックチェーンの進化の新たなる一歩として、投資の視野からもブロックチェーン技術についてレポートしていきます。

※為替レート:1ドル=145円
※上記は参考情報であり、特定企業の株式や暗号資産の売買及び投資を推奨するものではありません。

(提供:Wealth Road