本記事は、川村明宏氏らの著書『驚異の「速脳速読」トレーニング』(日本実業出版社)の中から一部を抜粋・編集しています。
多くの速読法とは一線を画す認知機能トレーニング
一般的に速読と言われているものの多くは、「読む能力を増やす」ことを目的としていて、そのためのトレーニングを紹介するものでした。
しかし、速脳速読は「脳の処理速度を上げる」技術であり、トレーニングです。
そして脳の機能が数倍に上がった段階で創造に入っていく。それこそが速脳速読の真の目的です。
創造と一口に言いますが、仕事の内容によって必要な創造は異なるでしょう。
企画立案、戦略立案のようなわかりやすい創造を職業とする人もいるでしょうが、営業、事務、法務など、一見「創造的ではない」と思われがちな仕事であったとしても、仕事における創造は必要です。
たとえば営業パーソンの場合、提案し、顧客の要望を聞き、調整し、クロージングまで持っていくという過程は、大体いつも同じかもしれません。ただ、その過程の中に毎回新しい要素があり、よりよくブラッシュアップすることはつねに求められるでしょう。
どんな形の創造であれ、速脳速読なら対応が可能です。
なぜなら、速脳速読は「資格取得のための」や「読書のための」というように使用法を限定する速読法ではないからです。
速く読むのはあくまで手段、目的は情報の大量取得、整理、脳内のデータベース構築である以上、速脳速読はどんなニーズにも応えることができます。
1日10分のトレーニングで、1分で読める文字量が10倍アップする
ここまで、速脳速読の仕組みと得られる効果をお話ししてきました。
壮大な話だけに、非常に高度なトレーニングが必要だと感じられるかもしれません。
しかし、必要なトレーニングの時間は、皆さんが思うより遥かに短時間、具体的には1日10分、1か月程度で、視覚と脳の情報処理のスピードが上がり始めます。
個人差はありますが、1週間ほどすれば3倍、1か月ほど訓練すれば10倍ほどの文字量を速読できるようになる人もいます。
なぜ、そのような短時間で成果が出るのかと言えば、最初から速く読むことから始めるのではなく頭の基礎能力を向上させていく工程を徹底するからです。
まずは脳の情報処理スピードを上げる
まず脳が文字情報を今までよりも高速で処理できる状態にしなければ、どんなテクニックを使っても理解の伴わない、いわゆる飛ばし読みの状態になってしまいます。
たとえば、今まで1分間に10の情報しか理解できない方に、「同じ時間内で20の情報を理解してください」と急に言ったところで、処理が追いつかず速読は実現できないのです。
速脳速読トレーニングによって多くの情報量を処理できる頭の状態にすることで、はじめて大量の文字情報を今まで通り把握できるようになります。速読トレーニングを行なう上で、この工程を飛ばしてしまうことはおすすめできません。
速脳速読メソッドでは、脳の情報処理能力の向上を最初に行ないます。そうすることで、様々な「読書法」で挫折した方も成功する場合が多くあります。
くり返しますが、最初から飛ばし読みをすることを前提とした読書テクニックにはあまり効果はありません。単純に飛ばし読みのスピードが速くなるだけです。
世間に見られる読み方講座のような読書法は効果がないのではなく、自身の脳の情報処理能力が追いつかず再現できていないのです。
ここまでお伝えした基礎能力の向上を実現するためには、
- (1)速脳速読の3つのポイントを理解して実践する
(2)1日10分間トレーニングを実践する時間を確保する
(3)トレーニングのポイントを正確に再現できるようくり返す
これらを徹底的に行なうことで速脳速読の基礎能力となる頭の情報処理能力を向上させることができます。
「速読で覚える」とは「思い出せるようになる」ということ
ちなみに、「速読で覚える」とは、「思い出すことができる」ということです。たとえば、単語を覚えるとは、必要なときにその単語が思い出せるということです。
そのためには、脳の該当部分に記録していかなければなりません。
たとえば、青。青色というのは、空の青、海の青といった、あの特有の色を言葉で喚起させるために使われます。
でも実際は、その色が頭の中で再現されないと、青という色を確認できません。
思い出せるようにするにはどうするか。
これはもう、「あの色」=「青」とくり返し覚える。または強い刺激の信号によって覚える(忘れにくい記憶にする)しかないのです。つまり、「思い出せる」というのは、「五感の信号の強さ×くり返し回数」で表すことができます。
脳の情報処理スピードが上がれば、五感の信号が強まり、くり返し覚えるスピードが上がります。10分のトレーニングではパラパラと教材のページをめくります。この「ページめくり」の際に一定のルールに従い、指でページを弾くという行為が脳に刺激を与え、五感の信号強化と脳の処理能力向上に役立ちます。「これが青」「これも青」「あれも青」と信号を受け取る頻度が増えます。そして毎日10分のページめくりをくり返すことで、受け取った刺激が定着していきます。
1978年から40年以上にわたり速脳、速読トレーニングの研究開発を行っており、ベストセラー「頭がよくなる速読術」など関連著書は100冊以上。NintendoDS、ソニーのゲームソフトも多数。海外での普及及び、提携活動も行ない、eyeQ(英語版 速脳速読)は現在アメリカ国内シェアNo.1となっている。米国公私立学校では2,000校以上が導入。新日本速読研究会会長、川村速脳開発協会(旧・速脳研究会)名誉会長。
新日本速読研究会・速脳研究会・海外事業の運営管理を行う株式会社インフィニティ代表取締役社長。SOKUNOUの新技術開発やビッグデータ検証による効果的な学習システムの改善に取り組む。※画像をクリックするとAmazonに飛びます